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「法」には色々な意味がある

法(ほう)と聞くと、私たちは法律・規則などと思い浮かべます。しかし、もともとは仏教の根本思想の一つであり、サンスクリット語のダルマdharmaの訳語です。dharma は他にも達摩・曇摩(どんま)などの訳もあります。

平たく言うと「法」は、法則・性質・教・真理などの意味と、仏道修行というような道の意味と、ダルマによって支えられる一切の事象をも意味すると考えればいいでしょう。たとえば事象とは、人間の身体を含む物質、人間が受け取る感覚、感覚で受け取ったものを概念化(想起)したもの、認識した(分別した)もの、といったものをすべて含んでいるのです。

[補足: dharmaの原義]
dharmaを「法」として訳すときのの原義は、保つもの、世界の在り方を支えるものという意味であり、そこから転じて秩序とか慣習の意味が出てきています。だから、もともと変わらない本性を有している(これを任持自性<にんじじしょう>)という意味があり、さらに事物の理解を生ぜしめる(これを軌生物解<きしょうもつげ>)という意味が付加されたというわけです。


一切の事象を意味する「法」には、厳密には75種あると言われていますが、それではややこしくなるので、大別して5グループを示しておきましょう。

1.物質的な存在を示すもの。人、物、カネなど。

2.意識そのもの。五感などから入ってきたものを意識すること。

3.意識したものを、何かに結びつけるはたらきのこと。心の作用。

4.上記3種のいずれでもないもの。1と2の関係とか、2と3の関係など。

5.上記4種は移り変わるもの(すなわち無常のもの:有為)であるが、
 そうでなく生滅変化しない常なるもの(無為)。

要するに、一切の事象とは、移り変わる(生滅変化する)もののすべてと、生滅変化しない恒常的なもの(たとえば、真理)があるということです。私達は、法の中で生きているのです。

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