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心をいかにして調(ととの)えるか(842)

人間の心は、状況・環境によって色々な状態になります。例えば、悲しみに打ち沈んでいたり、喜びでハイテンションであったりします。あるいは、初めて多数の人に対してプレゼンテーションを行う場合には、つい上がってしまうものです。しかし、そのような普段とは異なる状態のままでは、ものごとに正しく対処できにくくなったりします。

今回は、心の状態を四つに分けて、普段と異なる状態の対処策をまとめてみたいと思います。対処策としては、止観(しかん)行というものを参考にしてみます。
 [注] 止観行とは密教で行われる冥想法
  止  心の動揺を止めて、落ち着いた不動の状態にすること。
  観  正しい智慧を働かせて、ものごとを正しく観察する。

まずは、心が浮き沈みしている状態について見てみましょう。

・沈(ちん)の状態
  心がぼんやりして記憶もはっきりしない状態。
  [対処] 心を一つのことに集中して分散させないようにする。 
      気を下の方(沈んだ方)ではなく、鼻の頭に集中させる。

・浮(ふ)の状態
  心に落ち着きがなく、揺れ動いていて、つい他のことを考える。
  [対処] 気を上ではなく丹田(へそ下辺り)に向けて精神集中する。

沈と浮をわかりやすく言うならば、沈は下に沈んでいるので気を上に持っていき、浮は心がうわついている(上の方にある)ので気を下の方に持っていけばいいのです。

次に、心が緩やかか厳しい時(すなわち緩急の状態の時)について考えてみます。

・寛(かん)の状態
  緊張感が無くなって、心ここにあらずの状態。
  [対処] 姿勢を正して、心を引き締めることで集中する。

・急(きゅう)の状態
  胸や心が痛み焦っていて高ぶっている状態。
  [対処] 気を下の方におろしていくことで、落ち着きを取り戻す。

いずれも、気をどこへ持っていくかが対処法と言えます。自分の心の状態に応じて、気を引き締めるか緩めるかと言うことです。

参考までに、もう少し心の状態を補足します。

・渋(じゅう)の状態
  心に不満があって、悶々とする状態。

・滑(かつ)の状態
  心がうわずって不安定の状態。余計なことを考えてしまう。

これらは沈・浮・寛・急の状態の時に付随して起きてくるものです。

止観行は、上述した状態を静め無くしていこうとするものです。他にも坐禅があります。坐禅については、これまでに何回か述べています。その基本的なやり方は、身体全体をしっかりと、またゆったりと調えて、呼吸を調えて、その上で心の状態を調えるようにしていくものです。一度、坐禅会に参加するのもいいかもしれません。

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