どのような人が悟りに入れるのか(907)
意外と多くの人たちは、過去の経験にこだわっていたりするものです。たとえば、「以前にやった方法で対応すればいい」などと、過去の成功体験にこだわることが多いのです。
しかしよく考えてみると、過去に起きた成功体験は、そのままに現在に応用できるとは限らないのです。たとえば、競争相手、タイミング、その他の状況や環境が異なってきているからです。
悟った人の特徴を、過去のことや現在のことに満足している人と置いてみると、悟っていない人は、過去の成功体験にこだわっているし、現時点で過去のことを考えるのでは現在のことに満足していないというわけです。
このことから言えるのは、悟った人は「現時点(すなわち、今)」の状況をしっかりと把握して何をすべきかを自ずから理解している人だと言えます。言い換えると、次のことができている人なのです。
・「ただ今」に集中しており、必要な情報は何なのかをわかっている
・まわりの情報に、不用意にふりまわされない(こだわらない)
「ふりまわされない、こだわらない」ということは、不用意な判断などしないで、「目の前の必要な情報を深く正しく理解することができる」ということなのです。たとえば、SNSのフェイク・ニュースなどを見ても、「この点でおかしいな」と感じることができるようになっているのです。
このことから言えるのは、「悟り」はどのような人でも達成できるということです。 目の前の必要な情報を深く理解することができれば、それでいいのです。
禅の坐禅をしなければ悟れないかというと、そうではないのです。坐禅は単に自分の精神状態を落ち着かせるツールなのですから。 自分の精神状態を落ち着かせることは良いことですが、坐禅だけでなく、ヨガ、気功、マインドフルネスなどでもいいわけです。
大切なのは、言葉にこだわったり、過去の成功体験や失敗体験にこだわってはいけないということです。こだわっていると、ある極端な判断に陥り、周りにある正しい情報を見逃してしまいます。今、目の前で起きていることを不完全な知識で分別するのではなく、周りの情報すべてに対して、しっかりと深く正しく認識することです。 禅では、後者の生き方を、「今、ここ、自己」ということに重点を置いて生きなさい、と教えています。
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