変化しながら事物が存在することを空(くう)と言う(838)
「空」は「穴」と「工」から成ります。穴の上部に曲がったドーム状の形(工)を表したのが「空」という字だそうです。古くは、大きな穴の頭上に広がっているスペースを“そら”と呼んだと言います。中身がないから “から”とも呼び、何もない「無」と混同されています。
しかし、音読みでは「くう」なのです。いったい、空【くう】をどのように捉えればいいのでしょうか。
空(くう)は、恒常的・固定的実体が無いことを意味します。そして、何も存在しないスペース(いわば、宇宙空間)に一切の事物が存在しているのです。それが「この世」です。
私たちの周りには色々な事物が存在していますので、何も存在しないのではなく、さまざまな諸条件(状況や環境)によって事物(モノゴト)が存在・成立していると考えます。諸条件によって事物が成立していくことを「縁起」と呼びます。すなわち、
・恒常的・固定的実体は無い。常なるものは無いことを、無常と言う。
・諸条件という「縁」によって事物が成立する。変化している。
これを、縁起と言う。
・縁起によって成立したものには名前がつけられている。
例: 赤子=>乳児=>幼児=>小児=>大人 は時間などの縁で変わっていく
・変化をしながら(すなわち関係しながら)事物が成り立っていく。
それを空と言う。
と言うことなのです。
もう一つ補足しておきましょう。
何もない空っぽの状態を空(むな)しいと言いますが、虚しいとも書きます。虚もまた、高く大きいという意味を有しており、空(そら)と同じ意味合いを持っています。
すでに説明したように、本当は固定的実体が無いのを「空(くう)」と呼ぶのですが、縁起で事物が瞬間瞬間に成立していきます。変化し続けていくならば、瞬間的事物にこだわっても仕方がないことに気づくはずです。
そこで、「己(すなわち心)を虚(むな)しゅうして、先入観やこだわりを捨てる」ようにしていきます。そうすれば、固定的実体が無い「空(くう)」を受け入れ、縁起で世の中が動いていることが分かるようになります。「こだわらず、あるがママにある」ことが大事だと分かるではありませんか。
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