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相手に伝えるのは言葉

ものごとを人に伝えるのは「言葉」によります。そもそも、ものごとを伝えるとは、ものごとの意義を表現することです。その表現方法には、表情、ジェスチャー、声(抑揚、スピード、強弱などを含む)、文字があります。その中でも重要なのが、声に出したり文字にしたりする「言葉」なのです。

「言葉」というものが、いかに重要かを示したものに、空海(日本真言密教の開祖)の『声字実相義(しょうじじっそうぎ)』があります。音字(音声と文字)は、そのまま真理を表すことを論じるものです。その中に、次の漢詩があります。

  五大皆有響 (五大皆響き有り)
  十界具言語 (十界に言語(ごんご)を具す)
  六塵悉文字 (六塵悉(ことごと)く文字なり)
  法身是実相 (法身は是れ実相なり)

  [訳]   「地・水・火・風・空の万物に皆、響きがあり、
       地獄にも人間界にも天上界にも仏の悟りの世界などにも
       言語が具わっている。
       色・声・香・味・触・法の六塵はことごとく文字であり、
       仏の真実の姿は声字において万物にそのまま現れている。」

森羅万象に言葉が出てくると言います。有情・無情のすべてから言葉が出てくるというのです。宇宙の一切の音・言葉は仏の説法だというのです。人の発する言葉も、風や雨の音もすべて説法として聞こえるではないか、と言っているのです。

私達は、鐘の音を聞いても川のせせらぎを聞いても、大禅師の法話を聞いても、あるいは聞くだけでなく見てさえも、「そのとおりだ」「何ともいえずに心が清らかになる」と感じ入ることはあるのではないでしょうか。

空海の漢詩は、「仏の教えは経典の中だけでなく、私たちをとりまくこの世界すべてにある」と高々に宣言しているのです。

私達は往々にして「忙しい」ことを言い訳にして、緑の美しさ、風の清々しい音を感じ入るチャンスを逸しています。時にはゆっくりと、周りの音字に五官を向けてみるべきではないでしょうか。

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