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詩集おんなのうた

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アメブロで長年投稿していた「ポエム酒場いづみ」を2021年6月から、こちらにお引っ越しします。 心の中の影や底の部分を詩にして投稿します。 2021年中に三度目の自費出版「おんな…
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#詩

そのまんまで

そのまんまで

今朝めずらしく

娘が号泣した

保育園に行こうと

階段を降りてるとき

急に顔を歪ませて

ポロポロと泣き

やがて絶叫

なにがそうさせたのか

聞いても泣くばかり

抱き寄せ

落ち着いたところで

いろいろ聞いてみる

「一緒に階段降りたかったの?」

「抱っこしてほしかったの?」

「寂しかったの?」

「なにか嫌だったの?」

ふと思いついて

「プールが嫌なの?」

すると

深く

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蝶々

蝶々

蝶々はたましいをのせてひらひらと舞う

お気に入りの音楽を聴きながら歩くと

空も草花もアスファルトさえも

天国のように光る

蝶々がわたしに近づいてくる

歩くのとおんなじリズムでひらひらと舞う

ああ そうか

世界を美しいと思った心に寄り添っているんだ

家からお線香のにおいがしてくる

優しい澄んだにおい

その家の周りを

ひらひらと蝶々が舞う

ああ そうか

亡くなった人が会いにき

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自信

自信

ある作家が

エッセイのあとがきで

「自分に自信がないのは自分だけだと思っていた」

と書いていた

有名で才能あふれる彼女が

まさか自信がないなんて

驚いた

そして

思った

わたしも自信がない

わたしも自信がないことを

わかってる人は

どれだけいるだろう

わたしは人が好きだから

誰かに会えただけで

うれしいから

いつも元気で明るい

だから

自信がないなんて

気づか

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夏至

夏至

今日は

一年で一番

日照時間が長い日

パワーが

切り替わる日でもあるという

昨夜

ワイングラスの水滴を

ライトにかざすと

新しい世界が見えた

それは

夕暮れのような

朝焼けのような

眩しくて

神聖な世界

きっと

こんなふうに

いつだって

日常のなかに

新しい世界があって

気づいた人だけが

そこへ行ける

古い荷物を手放して

新しい世界へ

きっと

こんな

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ひこうき雲

ひこうき雲

ユーミンの
この歌を聴くと

あの子を思い出す
あまりにもぴったりすぎて
苦しくなる

若くして
死んでしまった
あの子

あまりにも若すぎた

そう言うのは
簡単すぎる

全うしたのよ
わたしはわたしで
精一杯
生きたのよ

あの子にかわって
そう言いたい

ひこうき雲
なのに
いつもイメージするのは
紙ひこうき

あの子を想うと
空に飛んでゆく
真っ白な
紙ひこうきを想う

飛んでそのまま

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海

寝不足でも
疲れてもないのに

海に行くと
眠くなる

それはもう
強烈な睡魔

海は
胎内にいた頃を
思い出すという

泣いたあとみたい
泳いだあとみたい
とにかく
だるくて眠い

それがとても
心地いい

わたしは
ううん
だれもが

ただただ
生きているだけで

誰かを
幸せにしている

胎内にいた時から
ずっと
今でも
これからも

生きているだけで
誰かを
幸せにしているよ

だから

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