【カムヌナカハミミ】あやうく暗殺されそうになった!?欠史八代最初の天皇が即位をした話【日本神話】
どーも、たかしーのです。
前回のお話で、初代天皇・神武天皇がオオモノヌシの娘イスケヨリヒメと結婚し、3人の皇子を儲けた話を書いていきましたが、
今回は、この第三皇子であり、のちに第2代天皇『綏靖天皇』として即位した「カムヌナカハミミ(神沼河耳命)」を中心としたお話になります。
綏靖天皇の即位
※今回も「古事記」をベースに書いていきます。
【おさらい】神武天皇、実は即位する前に嫁と子供がいた!
前回のおさらいになりますが、実は、神武天皇には、橿原宮(現在の奈良県橿原市)で即位するずっと前、つまりカムヤマトイワレビコとして、 日向(現在の宮崎県)にいた頃、アヒラヒメ(阿比良比売)と結婚して、タギシミミ(多芸志美美命)とキスミミ(岐須美美命)という名の子供を儲けていました。
ですが、 大和まではるばる向かい、日本を統べる天皇に即位した神武天皇は、天下を治めるのにふさわしい正妻を探した結果、出自のよいイスケヨリヒメと結婚することにしたのです。
綏靖天皇、誕生!
正妻となったイスケヨリヒメは、神武天皇との間に、3人の皇子を儲けました。
長男・ヒコヤイ(日子八井命)
次男・カムヤイミミ(神八井耳命)
三男・カムヌナカハミミ(神沼河耳命)
この三男である「カムヌナカハミミ」が、のちに第2代天皇 綏靖天皇として、即位することとなります。
神武天皇、崩御。イスケヨリヒメ、再婚…!
そして、時は流れ、神武天皇は即位してから76年が経った3月11日に崩御してしまいます。享年127歳。(めちゃくちゃ長生き!)
すると、これまで蚊帳の外であった神武天皇の腹違いの子タギシミミが、神武天皇の崩御をきっかけに動き出すことになります。
まず、タギシミミは、未亡人となった神武天皇の正妻イスケヨリヒメを妻として迎えます。つまり、タギシミミは、父の再婚相手と結婚することにしたのですが、もちろん、これは皇位継承を狙ってのことでした。
タギシミミ「次の天皇に、俺はなる…!」
次に、タギシミミは、イスケヨリヒメが神武天皇と設けた3人の皇子の暗殺を企てます。これも、タギシミミが皇位を継承するためには、3人が邪魔な存在であるからと言えます。
このことを知ったイスケヨリヒメは、皇子たちへ身の危険を知らせるため、和歌を2首詠んで送ります。
「狭井川」は、イスケヨリヒメの出身地であることから、イスケヨリヒメが産んだ3人の皇子のことを、「畝傍山」は、麓に神武天皇の宮(橿原宮)があることから、神武天皇の子、つまりタギシミミのことを隠喩しています。
そこから「木の葉がざわめく」「風が吹く」といった表現を使うことによって、3人の皇子に危機が迫っていることを、イスケヨリヒメは伝えたのです。
カムヌナカハミミ「先にボコしておくか…」
これらの歌により、タギシミミの謀を知った3人の皇子は、先にタギシミミを討つ決心を固めます。
しかしながら、いざタギシミミと対峙した際に、次男のカムヤイミミは、手足が震えてしまい、討つことができませんでした。
そこで、三男のカムヌナカハミミが、武器を取り、タギシミミを討つことに成功します。その上で、カムヌナカハミミは、自分の兄であるカムヤイミミに即位を勧めますが、カムヤイミミは政敵を倒した弟に位を譲り、自身は忌人(※)になることを誓います。
※忌人・・・神をまつる人、神職。
ちなみに、カムヤイミミは、のちにこの『古事記』を編纂した太安万侶の多氏の先祖と言われています。
太安万侶は、自身のときに、氏の文字を「多」から「太」に改めました。
こうして、カムヌナカハミミは、第2代天皇として即位し『綏靖天皇』となりました。
「綏靖」とは、後世に撰進された諡ですが、「綏」も「靖」も「やすらか」の意味があり、これらを二つ重ねて「安らかに落ち着く」という意味が込められています。
欠史八代
即位後の事績は不明な綏靖天皇
しかしながら、綏靖天皇が即位したあとの事績は、『古事記』『日本書紀』とも記載がなく、実はよくわかっていません。
唯一、残っているのは、第9代天皇・開化天皇まで続く系譜であり、このことから、第2代~第9代までの天皇のことを「欠史八代」と呼びます。
欠史八代の系譜
「欠史八代」と呼ばれる歴代天皇と系譜は、以下の通りです。
そして、次の天皇である、第10代崇神天皇から、記紀に事績が記されることとなります。
おわりに
今回は、「カムヌナカハミミ」こと、第2代天皇『綏靖天皇』について書いていきました!
ちなみに、タギシミミの暗殺の際に、長男であるヒコヤイが全く現れなかったので、なぜなのかを調べてみましたが、正直よくわかりませんでした…。
もしかしたら、すでに亡くなっていた、もしくは、高齢すぎて行動が起こせなかった、といったことが理由なのかもしれません。
とはいえ、普通に考えたら、長男に皇位が継承されるはずなのに、出てこないというのは、とても不思議な話ですよね。
他にも、歴史上の人物や神話などをベースに、記事を書いていく予定ですので、是非フォローなどしてもらえるとありがたいです!
それでは!