理想の教育につながる?!幻のラーメン屋、がんこラーメン
これぞ究極のラーメン屋ではないか?
そしてこのラーメン屋には私が考える理想の教育につながるものがあったのです。
変な店
今も昔も学生街で知られる高田馬場は、同時に、全国有数のラーメン激戦区としても知られています。そんなラーメン激戦区として知られるこの街に、今から30年以上も前、私がまだ大学生だった頃「幻のラーメン屋」と呼ばれる店がありました。
その名も「がんこラーメン」
私が、がんこラーメンの存在を知ったのは大学生になった時のことです。
がんこラーメンは新目白通りと明治通りが交差するあたりにありました。
私は何回かその店の前を通ったことがあったのですが、それがラーメン屋だということに気づきませんでした。
なぜかというと、その店はラーメン屋という看板を出さず、店の窓に黒い画用紙が一面に貼ってあり、中が見えないようになっていたからです。
「この場所はなんだろう?」
ヤクザの事務所にしては作りが貧相だし(実際、ボロっちいお店でした)看板もないから何かのお店でもなさそうだ(実際はラーメン屋さんだったのですが)その場所は不思議なことに、夜中の12時過ぎくらいになると、長い行列ができるのです。タクシーの運転手さんも並んでいます。
窓に貼られている黒い画用紙の隙間から光がチラチラと漏れているのですが、中の様子はさっぱりわかりません。私は並んでいる人に「この場所は何なんですか」と聞いてみました。
「ラーメン屋だよ、がんこラーメン」
あ、ラーメン屋か、それにしても変な店だな。
普通のラーメンだけど、うまい!
それからしばらくして、がんこラーメンに行く機会が訪れました。
高田馬場で友人2人と遅くまで飲み、ラーメンを食べようという話になった時、私はがんこラーメンのことを思い出し、3人で行ってみる事にしました。
夜中の1時をまわっていましたが、お店の前には10メートルくらいの行列があります。順番が来てお店の中に入りました。
お店の中にはメニューがなく、何の貼り紙もありません。
私が「メニューはありますか?」と尋ねると、頑固そうなオヤジさんが「うちはラーメンだけだよ!」と言います。
「は?ラーメンだけ?」
普通、ラーメン屋さんというと、味噌ラーメン、塩ラーメン、チャーシューメン、などといくつか種類があるはずなのですが、その店は文字通り「ラーメン」しかないのです。
私たちが怪訝そうな表情を浮かべているのを見ると、オヤジさんが話しかけてきました。
「お兄ちゃんたち、飲んできたんだね。左のアンタは酔っ払ってるみたいだから、塩味濃い目だな、真ん中のアンタはそんなに酔ってないみたいだから普通味、それで、左のアンタは、、」
私たちの酔い具合を見て、塩味の加減をオヤジさんが決めています。
出てきたラーメンはというと。
うん、うまい!!
チャーシューとシナチクがのっている、見た目は普通のラーメンなのですが、なんか他の店とは違う。やはり、オヤジさんが一人ひとりの状況に合わせて塩味を調整しているせいでしょうか。
がんこラーメンがヒントを与えてくれた理想の教育のカタチ
がんこラーメンはその後も知る人ぞ知るラーメン屋でしたが、オヤジさんが引退するのと共に数年後、お店をたたんでしまいました。
お店がなくなってからも、がんこラーメンのことをたまに思い出すことがあったのですが、あのやり方は、実は色々な仕事に応用できるのではないか?成増塾の指導にも応用できないだろうか?、というより、かなり有効な方法ではないだろうか?という事に気がつきました。
少人数指導を実践している成増塾ですが、生徒5人のクラスでも、生徒一人ひとりの特性は違います。
英単語の丸暗記が得意な人、全くダメな人、文法の時は寝てるけど英文解釈になると俄然張り切る人、部活で疲れて授業のほとんどを寝ているけど予習だけは絶対やって来る人、ホントに生徒の数だけ特性がある訳です。
その一人ひとりに、微妙なさじ加減で最適な指導をすることが私の考える「理想の教育」のひとつのカタチですが、考えてみると、あの幻のラーメン屋、ガンコがやっていた事と基本は同じなんですよね。
うーん、がんこ、恐るべし。