『銀の匙』の泉を求めて
-中勘助先生の評伝のための基礎作業 (158)釣り日記
『蜜蜂』は昭和17年10月27日の記事で終っています。この日、中先生は「兄さんは今月の十二日になくなりました」と書きました。「私は泣きました」とも言い添えられていますが、亡くなったおりの事情は何も書かれていません。その日は結婚式だったことにも触れられていませんし、結婚にいたるまでのあれこれのことも何も記されていません。中島さんは7月11日の記事に登場するのが最後です。この日は末子さんの百ヶ日でした。中先生は外出して帰り、汗になった衣類の洗濯をしました。女中さんの手もいくらか省