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辛さも幸せも詩にすれば

 生きているなかに欠けたところがあったから詩を書き始めました。
欠けたもの、得られなかったもの、失ったもの、それを弔うための言葉です。
対峙して私の中から取り出して、並べておくとなぜか少し救いを感じます。

自分の詩作のはじまりがそうであったからなのか、
さみしさ哀しさが詩の原動力のような気がしていました。
だから時々、詩を書くためにそんな気持ちにばかり注目していては幸せでいられないのではないかと考えました。

それでも詩を書いていると、ある日思わぬことを書き始める自分がいて、
生きる事の喜びや、世界のすてきを感受する自分に出会いました。
そういう喜びの詩の中で、自分というものは、
身幅0ミリ、無色透明の単なる感受性になっています。
もしかすると妖精ってこういうものかも知れないと思えるほどの身軽さです。
そうやって喜びを言葉に取り出すと、目に見える宝石になって「私はこんなすてきなことを考えられたんだな」と更にしあわせになります。

この頃では、辛さは書くことで和らぎ、しあわせは増幅するのかもしれないと思うようになりました。


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