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中西邦春さんのプレ詩集を読みました

 第六回永瀬清子現代詩賞で優秀賞をおとりになられた中西邦春さん。(お名前に春が🌸)
授賞式でご一緒させて頂いたご縁で、プレ詩集を頂きました。
こういうのを頂くのは初めてなのでとても嬉しく、詩の初心者のわたしですが中西さんの許可を頂き感想を書かせて頂きます。

「人物を書いた詩」があると、最近初めて知った気がします。
「人物を書いた詩」を書くことが詩作から外れていると思っていたわけでもないけれど、それはまるで喫茶店で二人語り尽くし少しの沈黙のあとで話される話題のようで、妙に心に残りました。

中西さんのプレ詩集にも3篇「人物を書いた詩」があります。
どれも周りにいたら少し気になるけど、日々が忙しくてその人を気にすることすら忘れてしまうかもしれない、そんな人が主人公の短編映画のような詩です。
あたたかい希望が詩集全体に流れていて、優しさゆえに選ばれた(とわたしは感じました)小さなディテールが全体の雰囲気を効果的に後押ししています。
奇をてらわず、なんでもないようなふとした事柄が積み重ねられ、誠実な言葉の力で詩全体が心に響きます。

プレ詩集全編をとおして語り口は素朴であたたかく、そして人生は続くというような、生きていくんだねというような、力と呼ばれるものよりもっと柔らかい何かを感じました。
第六回永瀬清子現代詩賞の優秀賞に選ばれた中西さんの作品「一日」にも、わたしは同じ気配を感じました。

できれば2024年中くらいにはこの詩集「山が近くみえる日」(仮題)を出されたいそうです。
中西さんご自身もとてもあたたかそうな方でした。
明日を生きる背中にそっと添えられる、大きくて暖かい手のような詩集になる気がして、わたしは今から楽しみです。


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