捨てられたバイオリン|価値観とセルフイメージを正月に見直そう
あなたの価値観を見直す
ショートストーリーをお届けします!
あなたは自分や周りの人をどのように取り扱ってますか?
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花の都・パリ 郊外! ヴァンヴ
"蚤の市"(フリーマーケットのような古物市)では、
アンティークな年代物から、可愛い雑貨まで、
とにかくなんでも揃って
多くの市民や観光客が集まり、週末、大賑わいで行われていた。
そこにある男が、アンティークな小物を並べて、今週末も店を開いていた。
馴染みの隣の露天商に
「今日は楽しみだよ。
どうだい、これは年代物で優れものだから、
900フラン(10万円で)も高くないよ!
楽しみ、楽しみ!」
と 今回の目玉・バイオリンを目立つように一番前に展示して
売る準備をしていました。
正札には「900フラン(100,000円)⇒本日のみ 800フラン(88,000円)」となっている。
彼がほくそ笑むのにも理由がある。
実はゴミ捨て場にたまたま置かれていて、拾ったものだが、
それを磨いていくとアンティークな味わいが出てきて、
汚れてボロボロだったものが、、、、
見事に蘇ってきた(ように見えた)
「アンティークなバイオリンだから、450フランくらいで売れるだろう、
興味を持っている人には本来900フランでも安いぐらいだが、他ならぬあなただから450フランでいいよ、とでも言って売り捌けるのに違いない」
「ここは花の都・パリだ! 世界中から金持ちも集まってきている!」
そんな思いを持ちながら、ワクワクする蚤の市が始まった。
人の流れは素晴らしい!
いつもよりも人の入りはとても多い。
どんどん期待は広がっていく。
しかし、彼の思いとは裏腹に、
道行く人はバイオリンを見てはくれるものの、
誰も買おうとまではしません。
なかには試しに手に取ってくれる人もいる。
弾いてみる人もいたが、
調律もされていないバイオリンは
ひどい音をたてるばかりだった。
売っていた男は、悩みだした。
バイオリンの値段が「800フランが高すぎのかな?」と
正札に「900フラン(10万円)⇒450フラン(5万)」
「900フラン(10万)⇒300フラン(3.3万)」
「100フラン」「50フラン」「30フラン(3,300円)」と、
だんだん価格を下げていく。
それでも、誰も「買おう」とは言ってくれません。
とても集まりの良いこの日、隣の露天商は笑いが止まらない表情を浮かべて、小物が飛ぶように売れていく。人だかりも絶好調の午後3時!
それを後目にとうとう勝負に打って出た!
「オー、オー、オー、道行くお客さんよ、ちょっと足を止めて、聞いてくれるかい!」
パイアリンを高く掲げ、振り回し、大きな声を張り上げる。隣の店の人だかりも何事か、と一斉に目を向ける。
(よし、いいぞ!)
「こちらのバイオリン! 見てくれ! 時代は今を遡ること数百年! ここは花の都・パリ。無数の芸術家を生んできた! しかーし、音楽と言ったら、それもバイオリンと言ったら どこだーーー? そう、イタリア! ストラディバリやアマティなどが生み出したイタリアだ! そこから名家に伝わり、数々の愛好家の手に渡ってきたのが、この代物だ!」
「本来なら、値段をつけられるようなものではないよ! でもそう言っちゃー、誰も手にすることができない! だから破格の900フランにしたんだ! ところがここにいるお客さんのように、目がしっかりしているお客さんに出会えなかった! はい、世界に一点もののこの名器!
900フランでも安いところをエーイ! 450フランでどうだ!」
こんな口上にも慣れてるお客さん。一向に声を上げる人は出てこない!
「イタリアだったら、ローマだったら、何も言わずに売れてるよ! 花の都も残念だが、落ちたもんだね! 」
と言いつつ、これだけ注目されてるのはこの時間を置いてない! 勝負に出るぞ!
「そこの可愛いお嬢ちゃんがコンクールに出ることを想像してみなよ! 素晴らしい音色に聞き惚れ、心が奪われる人たちの表情が思い浮かぶじゃないか! そこのお父さん、200フランに今ならしておくよ、どうだい?」
バイオリンに興味があると言うより、この口上の巧みさと掛け合いを楽しむかのように、人がさらに集まってくるが!みんな、ニヤニヤ笑って聞いているだけで、一向に興味を持った人も現れない。
「じゃーー! 100フランでどうだ! パリでお値打ち物を手に入れたと土産話にだってなるもんだよ!」
しかし、、、
これだけの人だかなのに、気持ちは焦っていく!
「(エーイ、どうせ拾ってきた物だ!! いくらでもいいや! 誰でもいいや! どうせ偽物なんだから。それも捨てられてたボロボロのバイオリンだ!)」ヤケになってきた!
「エーイ! もう70フランだ!どうだ!」
今日1番の人だかりを舐め回すように見るが反応なし!
「ジャー、もういい、いい! 今日のお客さんの目は節穴かい! 50でも30フランでもいいから誰か持っていけ!」
そう叫びかけたところ、ひとりの紳士が出てきて、男に声をかけました
「ちょっと僕に貸してください」
その紳士は、バイオリンをハンカチで愛おしむように磨き、
弦を一本一本、入念に調律しはじめました。
しばらくして、
紳士はバイオリンをあごにはさんで静かに弾きはじめた。
するとどうだろう?
そのバイオリンは、とても美しい音色を奏ではじめます。
その場にいた人は、バイオリンの奏でる音色に
幸せな顔になって聞き惚れています。
一曲、弾き終わると紳士は、
バイオリンをしみじみと眺めながら言いました。
「これは本当にすばらしい名器だ。
きっと価値のあるものに違いない。
でもその価値がわからない人が手放してしまったのかな?
それとも事情があって、手放さざるをえなかったんだろうか?
このバイオリンを大切にする人に出会えば、
きっと喜んで感謝して、このバイオリンは素晴らしい音を奏でて
持ち主を幸せな気持ちにしてくれるに違いない」
そのとたん、紳士の演奏を聴いていた人の中から手を上げる人が出てきました。
「10万で買うよ!」
「待て待て、20万、いや、30万でもいいから、このバイオリンをぜひ売ってくれ」
「いや、僕はそれ以上、出すよ。息子がバイオリンを習っているのだ」
何人もの人がバイオリンの持ち主になることに名乗りをあげたのでした。
僕たちの周りにも同じ様な話がたくさん、たくさん転がっています。
あなたが手にしているもの、集まっている商品、サービス。
そして、あなたの隣の人の価値、
特にあなたが一番親しい人=自分の価値を勝手に決めていませんか?
人から評価されないといって、簡単に値段を下げたりしていませんか?
幸せを与えてくれる人がいないからといって、自分が幸せになる価値がないと決め付けてしまっていませんか?
もう、自分を「捨てられたバイオリン」だと思うのはやめましょう。
もっと自分を愛してあげましょう。
紳士がやったのと同じように、自分の価値を信じて自らを調律してあげましょう。
いままで、自分の調律の仕方を知らなかったかもしれません。
でも、今は自分の価値を発見する時代ではなく、自分の価値を創造する時代。
あなたは、この世界に、あなたらしさという、最高に美しい音楽を奏でるためにここにいるのです。
幸せになるために、ここにいるのです。
あなたを生んでくれたご両親は、あなたがこの世に誕生したとき、最高の幸せを感じたのです。
赤ちゃんの時の笑顔は、周りの人を皆、幸せな気持ちにしたのです。
バイオリンを手にした紳士の様に見る目があれば、あなたは自分の価値を周りに贈ることができます。
たまたま、ゴミ捨て場にあったバイオリン。調律もされていないバイオリン。でも、その存在は聴いている人を幸せにする力があるものなのです。
あなたにはもっと、もっともっと、人を幸せにする力があります。
そしてあなたの隣の人も、
あなたの観る目があり、聴く耳があり、感じるハートがあれば、
その人の価値は無限大に広がるかも知れません。
そんなハートサイエンスが広がったら素敵ですね!
【お礼】
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。
そして貴重なお時間をいただきありがとうございます。
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