観光路線に変わった?東海道新幹線
2023年のゴールデンウィークは行動制限のない連休という事で、多くの方が新幹線を利用されていたようです。JR各社もご利用状況を発表されていまして、概ねコロナ前の9割程度は回復してきているようでした。
「のぞみ」12本ダイヤ
東海道新幹線ではパターンダイヤになっていまして、1時間に「のぞみ」号を12本設定できるようになっています。それも、どの列車も東京ー新大阪間で2時間30分以内で結びます。なお、これ以外に「ひかり」号「こだま」号もそれぞれ1時間に2本ずつ合わせて4本運転されます。
世界の高速鉄道では、稀に見る高密度・高速路線です。これは、様々な高速鉄道に関する技術の集大成といって差し支えないでしょう。
今回のゴールデンウィークでは多くの時間帯でこの1時間に12本の「のぞみ」号が運転されました。
最も少ない運転本数
なお、平日の最も運転本数が少ない時間帯には「のぞみ」号4本と「ひかり」号「こだま」号それぞれ2本の合わせて8本です。内訳は、「のぞみ」号は博多行き2本、広島行き1本、新大阪行き1本です。「ひかり」号は岡山行き、新大阪行き「こだま」号は名古屋行き、新大阪行きそれぞれ1本ずつです。
週末の状況の変化
週末の金曜日になると、特に下り(東京から新大阪方面)では単身赴任などで利用するビジネスマンが増えるという事で増発していました。それは、設定できる運転本数のマックスまで運転されていることがありました。なお、コロナ禍以前は、12本設定できなかったので10本設定でした。
今では、連休前の平日では、5月2日(火)の18時台は11本運転されましたが、1本は設定されなかったようです。
最近の通常の週末(5月19日金曜)であれば、18時台は「のぞみ」号は1時間に8本です。つまり、まだ余裕が4本分もあるという事です。なお、平日の同時間帯は、1時間に6本です。
連休初日
下りのピークだった5月3日は「のぞみ」12本ダイヤは7時~13時台まで続きました。確かに、一部の列車では、指定席はグリーン席も含め満席になった列車もあったようですが、逆に一部に新横浜からでも自由席に座れる列車も散見されたようです。(午後の列車を中心に)
これは、JR東海の「のぞみ」号を輸送力に余裕をもって設定している効果と12本設定、さらに山陽新幹線直通列車の増加という努力の賜物だということが感じ取れます。
山陽新幹線直通の設定の枠は、今年の春のダイヤ改正からで東海道・山陽直通「のぞみ」号は1時間当たり6本から7本に増えました。
戻らないビジネス客、戻った観光客
これで、言えることは東海道新幹線が最も重視している大口顧客であるビジネス客がまだ、戻ってきておらず、観光・行楽客はかなり戻ってきているという事ですね。つまり、東海道新幹線が観光路線化してきている気がするのはそのためです。
今や、平日よりも土休日の方が運転本数もお客さんも多い傾向です。
東海道新幹線の車両運用
ただ、今の車両構成を見ると僅かなピーク日時、時間帯のために大量の車両を抱えていなくてはならず、もったいない気がします。今では、N700スモールAというタイプをN700Sに順次置き換えているところです。新造費用は前者が1編成約46億円に対し後者は1編成約60億円といわれています。
コロナで営業収益が大きく下がったことや、前述の高額な新車両もあり、なかなか置き換えが進まないのではないかと思います。最も古いタイプのN700スモールAのときには、5年間で80編成を導入しましたが、それより遅い置き換え速度です。また、コロナ禍での減便(臨時便がことごとく運転されなかった)で走行距離もそこまで長くなっていないという事情もあるでしょう。
恐らく、まだしばらくN700スモールAの活躍は続きそうですね。
まとめ
・「のぞみ」12本ダイヤはごく一部の日と時間帯だけ
・「のぞみ」12本ダイヤのお陰で行楽期のピークの日でも自由席に途中駅から座れることもある
・ビジネス客の戻りが鈍い反面、観光行楽客はほぼ戻りつつある
・上記のため東海道新幹線が、観光路線化している
・東海道新幹線の車両は普段は車庫で過ごす車両が多い
・N700系の最も古いタイプも暫く活躍するでしょう