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相手との関係性をミスリードしてしまう危険なフレーズ - 「すみませんが」 -

エピソード

ビジネスの依頼において、なにかと「すみませんが」を使っていないだろうか(もしくはそういう人が周りにいないだろうか)。
特に悪いことをしているわけでもなく、相手に迷惑をかけているわけでもないのに、メールや会話での枕詞に「すみませんが」を使ってしまうケース。
これが危険なのは、相手との関係性をミスリードしてしまうことにある。何が原因なのか?ポイントは、”共通目的の意識”にあった。どのようにすればよいのか?

「すみませんが」から始まる依頼の例

以下2人の依頼を見ていただきたい。

お客様に次回アポ調整の依頼を依頼するとき

  • Aさん「すみませんが、次回アポはx月x日でいかがでしょうか?」

  • Bさん「次回アポはx月x日でいかがでしょうか?」

上司に提案書のレビューを依頼するとき

  • Aさん「すみませんが、提案書のレビューをお願いします」

  • Bさん「提案書のレビューをお願いします」

恐らく、2,3回くらい上記のことがあっても何ら違和感はないと思う。また、実際何か後ろめたいことがあり(時間外の依頼とか、急な依頼など)本当に「すみませんが」とつけるべき時はある
ただ、Aさんのように毎回特に理由もなく「すみませんが」から始まると違和感につながるだけでなく、徐々に相手から見たAさんの位置づけが変わってきてしまう危険性がある

違和感の正体 - 共通目的の意識 -

違和感の正体は、”共通目的の意識”の欠如にあった。
上記のAさんは、相手との”共通目的の意識”がない、と相手から捉えられてしまうリスクをはらんでいる。
ビジネスにおいて何らかの依頼をする際は、基本的に相手にとってもメリットが大前提としてあるはずである。対お客様であればビジネス課題の解消、対上司や関係者であれば案件の獲得など。この共通の目的があるからこそ、お客様や上司、関係者と対等な関係を持てるのであり、パートナーという関係性が作れる
にもかかわらず、常に「すみませんが」という枕詞をつけることによって、その”共通目的の意識”が失われ、自分が作業者である感覚を相手に与えてしまうことになる(相手も不安になる)。また相手との不要な上下関係を作ってしまうことにもつながる。

どうするのがよいのか?

とはいえ、何の枕詞もなしに依頼するのは気が引ける、ということもある。その場合、「すみませんが」の代わりに枕詞でオススメなのは、「ありがとうございます」。「お時間頂きありがとうございます」や、「ご連絡ありがとうございます」を頭につけて始めるとよい。

お客様に次回アポ調整の依頼を依頼するとき

  • Aさん「すみませんが、次回アポはx月x日でいかがでしょうか?」

  • Aさん「ありがとうございます、次回のアポはx月x日でいかがでしょうか?」

上司に提案書のレビューを依頼するとき

  • Aさん「すみませんが、提案書のレビューをお願いします」

  • Aさん「お時間頂きありがとうございます、提案書のレビューをお願いします」

そんなことを考えていたら、以前読んだ「仕事が速い人はどんなメールを書いているのか」(平野 友朗著)という本に以下の興味深いことが書かれていたことを思い出した。

すべてのビジネスメールには「目的」がある
ビジネスメールは、どんなものでも「目的(=何のために送るのか)」があります。もし目的が不明確だと、相手にこちらの意図や要望を正しく伝えることができません。
仕事が速い人は、これが業務の停滞につながることをよく知っているので、常に〝何のために送るのか〟を意識しています。
当然ですが、メールを送る目的は、仕事の内容によってさまざまでしょう。
営業職であれば、会ったことのない人や一度顔を会わせたことがある程度の人に、面会の約束をするためにメールを送ることがあります。
依頼なら、最終的な目的はその仕事を引き受けてもらうことですし、謝罪なら、お詫びの気持ちを受け入れてもらい、今後も取引を継続できる状態にすることが目的になります。
また、クレームなら、問題が発生した理由や今後の対応を説明してもらうことが目的であり、上司への相談なら、事実関係を理解してもらった上で、次のアクションを指示してもらうことが目的のはず。
ところが「メールが苦手だ」と感じている人の多くは、この目的を見失っているように思えます。
メールを送ることにばかり意識が向いていて、自分は何のためにこのメールを送るのかという意識が、スッポリ抜け落ちているのです。

平野友朗.仕事が速い人はどんなメールを書いているのか
文響社

参考になった書籍

まとめ

  • ビジネスの依頼において、特に理由もなく「すみませんが、」から始めてしまうと相手との関係性をミスリードしてしまう

  • 原因は、”共通目的の意識”にあるので、相手のメリットをしっかり考えたうえで、堂々と依頼するのがよい

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