萩尾望都、山岸涼子よ永遠に。90年代の雑誌クレアから、少女マンガベスト100!
ここに30年前の雑誌、クレアがある。1992年9月号。
特集は「永遠の少女マンガベスト100」。
ページをめくると懐かしい。
でも、ほぼ違和感なく楽しめたりする。
だって今でも読み続けられている、好きなマンガばかりがランクインしてるのだ。
そんなわけで今回は、1992年版クレア『永遠の少女マンガベスト100』から、上位20位までを一緒に見ていただきたい。
よみがえれ、90年代!
■第1位 ポーの一族 萩尾望都
これはもはや文学だ。SFの設定ながらもミステリの面白さ! これぞモーさま、おモーさま!
それでいて絵が美麗。言葉がステキ。幻想世界に酔いしれる。
高尚な少女マンガとして、90年代の憧れだった。
今でも色褪せることのない、本物の貫禄だ。
ちなみに『永遠の少女マンガベスト100』の順位は、漫画家・作家・文化人375名へのアンケート「私の永遠のベスト10」から上位100本が選ばれている。
↑これは「ポーの一族」新作。続編にあたる
続けて順位を見ていこう。
■第2位 日出処の天子 山岸凉子
2022年の今でも、私だったら絶対ベスト5に入れる『日出処の天子』。
単行本を処分して愛蔵版でストックしているファンの方、多いんじゃない?
冷徹孤独でミステリアスな厩戸王子と蘇我氏を中心とした、飛鳥時代の一大歴史絵巻。
厩戸王子(聖徳太子)に興味を持ち、梅原猛の書籍『隠された十字架』(もう絶版)にも手を出した。
飛鳥文化を訪ね歩くため、夜行バスで何度も奈良を訪れた。
マンガから歴史にのめり込む“あるある”の思い出だ。
■第3位 『ベルサイユのばら』 池田理代子
少女マンガかタカラヅカか、女子の心を鷲掴みにする大ロマン。本場フランスでもこの作品は大絶賛されてるらしい!
■第4位 『ガラスの仮面』 美内すずえ
2022年の今、未完のままでは死ぬに死ねないジリジリ感。美内センセイ、どうかどうか完結を。
■注目漫画家 魔夜峰央・高野文子・岡崎京子
ここでベスト100の中から、90年代初頭に話題になった「ちょっと変わりダネ」の漫画家を紹介しよう。今ではすっかりメジャーな先生方だ。
●まず魔夜峰央。
『パタリロ』33位。
淫靡なボーイズラブ以外にも、歴史、政治経済、国際情勢、スパイからミステリ、SFまで、容赦ない蘊蓄をブッ込んだ圧倒的なセリフ量。
少女マンガでここまで密度の濃いマンガ、ある?
小説読むより時間がかかる。いやマジで。
後に東村アキコが「人生のすべてを『パタリロ』で学んだ」と、YouTubeで発言するほどの知識と情報量だ。
●お次は高野文子。
『絶対安全剃刀』60位。
これまでの少女マンガといえば、まつげの長いキラキラ瞳。そして少女の切ない恋心。
高野文子はそれらをスパッとやめて、キラキラのない瞳、本音でクールで面白く、映画のような躍動感あるアートワークでマンガを確立させた金字塔。
穏やかでホッコリするんだけれど、どこか鋭い。
●そしてはずせないのが岡崎京子だ。
『pink』66位。
高野文子のアンチキラキラ瞳の影響を受け、さらに性と暴力を持ち込んだ衝撃の漫画家センセイ。
こんなオシャレで可愛い絵で、ここまで大っぴらに描いていいの? みたいな戸惑いを覚えた90年代。
このアンケートで岡崎京子はランクインしているんだけど、主な掲載誌は少年誌や青年誌。“少女マンガ家”と呼ぶかどうかは微妙かな。
↑きたがわ翔の熱くて深い解説は必聴!
▼またnoterのみらっちさんが「美の基準、環境的価値感の問題」から岡崎京子や『pink』について考察されている。興味深い記事なので紹介させていただきたい。
みらっちさん、無断掲載失礼します。
■閑話休題 カルトクイズ
この特集にはクイズも掲載されていたので、抜粋してお届けしよう。
少女マンガ好きさん、解けるかな。
■5〜20位 大島弓子、竹宮恵子、吉田秋生らが続々
では最後に、5位から20位までを一挙紹介していこう。
*19、16、13位が同点で2タイトル
大体これが90年代初頭「推し少女マンガ」の実態だ。
でも今同じアンケートがあっても、やっぱりランクインする名作がいっぱいあるんじゃないかと思ってしまう。
さて、あなたの少女マンガベスト10はどんな作品?