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【プロは厳しい】 感想:『エンタメ小説家の失敗学』 平山 瑞穂
はじめに
私にとって、この本での重要な部分を簡単にまとめると
プロの小説家の苦しみは、自分の作りたい物と、求められる物とのギャップにありそう。でも私はプロではないので、自分の好きなようにやったらいいよ。
ということです。
感想
一応、仮にも私は物を書くことを始めたので、プロの方が何を考えているか知りたくなりました。
失敗学というタイトルなので、きっと大変な困難があったはず。
趣味の物書きとは一線を画しそうです。ごくり。。
著者は本書の執筆までに29冊の本を出してきたそうです。
1-2冊は売れたそうですが、それ以外は
「ことごとく初版止まりで、注目されることもなく、おびただしい刊行物の織りなす大海のもくずとして消えていった」
のですって。
もうね、この表現がプロの物書きだと思いますよ。
売れなかった、ダメでした。ではないのですから。
しかしこれだけ表現されても「売れる小説家」になるのは大変なことなんだと思います。
苦しみはこの文章に表れています。
路線変更のリクエストを出された瞬間に、僕はこう思っていた。「ああ、いつものあれだ」と。作品を自分の望むままに書こうとする際にいつも僕の目の前に立ちはだかってくる「壁」が今度もまた現れたのだと。そしてそれは乗り越えることができないものなのだ。無条件に降伏しなければ、先へ進むことさえできない。
自分で思う良い作品と、売れる作品との間にギャップがあるから、なのでしょうね。読み進めるとこうした「ギャップ」が本のテーマになっていそうでした。
自分が書きたかったこと vs 書かざるを得なかったこと
いいと思う作品 vs 売れる作品
望むまま書きたい vs 編集の壁
書きたいこと vs 読者が求めること
しかしそうした現実に対して、
そのときどきの僕は、常に必死だったのだ。
会社を辞めたことを後悔はしていない。どちらかを選べと今言われても、やはり僕は作家として生きていく道を選ぶだろう。
と述べています。
ある小説家が、こうありたい、これを書きたいと思う気持ちと、それに対するさまざまなギャップがあって実現が困難だった話です。
失敗からさらに前を向いて!という方向性の本というよりは、小説家の辛い半生を追体験する本に感じました。
それでも書くことが好きな様子が紹介した文章だけでなく、本の端端から伝わるのでただ読んでいるだけの私も余計に苦しくなってしまいました。
読了後の意識/行動の変化
プロの作家という仕事は大変そうです。
どうしても売らなければいけませんしね。
これに対して自分の好きなように書けるKindle出版は気楽です。
ただ、気楽というのは手を抜けるという意味ではありません。
プロでなくても自分の思うことを文章にきちんと表現できたらいいなと思います。
基本情報
リンク:エンタメ小説家の失敗学
入手場所:Kindle Unlimited
読み始めた日:2024年5月24日
備考:読書ノート11冊目
おわりに
これと対照的なのは
岡田斗司夫氏の「プチクリ」という本です。
ここでいうプチクリは「プロじゃないけど楽しんで、自分から自由にクリエイティブしている人」です。
何にも縛られないので自由に書くことができます。
とはいえプチクリはプチクリなりの矜持をもって、本を書く作業を続けてみようと思いました。
読んで頂き誠にありがとうございました。
髙草木