娘に自分の仕事について説明した話
6歳(年長さん)の娘に私の仕事を説明してみました。
理解していもらえるように話すのはとても難しいですね。
もっとも難しかったのは「放射線とは」の説明でした。
というかうまく説明できませんでした。
私は放射線治療の専門医なのに。。。
さて、以下はやりとりをかいつまんで記します。
ちなみに娘は私のことを とと と呼びます。
まぁそうですよね。
そこまで話したことはありませんでしたから。
私が専門とする放射線治療は、簡単にいえば がんを放射線で治す仕事です。
これを娘に伝えるには?
まずは対象となる がん について説明しなければいけません。
ですよね。
では正常の細胞の話をしないと。
なんと!
これは話が早い!
教育テレビの「バビブベボディ」を見ていた賜物です。
怪しげなところもありつつも、病気の説明まではできました。
ここまではよかったのですが。。。
む!?
放射線とは、が説明できない!!
ひょんなきっかけで話が始まったので、放射線とは の回答を準備していませんでした。
でも当然聞かれますよね。
あらためて放射線を説明しようとすると難しい。。
電離を発生させる電磁波でナントカカントカ・・という説明は完全に不適切です。
実際の診療では、「レントゲンやCTをとるときに用いるX線と同じですよ、治療用に高いエネルギーのものを使います」のような感じで説明しています。
でも子どもにそれを説明するには???
うーむ。。。
でも何とか答えないと。。
モリモリ質問がきます。
もちろん答えられるのは答えられるのですが、細胞分裂やDNAの話までしていかなければなりません。
この記事は大人の読者を想定しているので、簡単に解説します。
細胞の核の中に入っているDNA、いわば細胞の設計図のようなものですが、放射線が作用するのはこのDNAです。
放射線によってDNAに傷がついた細胞は、細胞分裂の際にうまく分裂できず死滅する、というのが放射線治療の作用の仕方です。
この作用は全ての細胞に対して引き起こされますが、一般にがん細胞のほうが、通常の細胞よりも放射線に対する作用が出やすいです。
放射線に対する反応性が異なるからこそ、放射線は治療として成立するのです。
さて、話を戻します。
その場ではなんとなく有耶無耶に「ととはそういう放射線でがんを治す仕事をしているんだよ。」という感じで話は終わりました。
でも、改めてやりとりを振り返ると、とことん話してあげればよかったかなーと反省しています。
言い訳をすると入浴中でしたし、寝る時間やそのための準備などが頭をよぎりました。
せっかく興味を持って話してくれたのだから、もうちょっと時間があるときに話ができたらよかったなと思います。
きっと先ほど述べた内容をもっと易しくすれば娘は理解できるはずです。
でもまたの機会にまた詳しく話してみようと思います。
ちょっとだけシミュレーションをしておきます。
よし、きっと次はうまくできるはずです。
翌日。
昨日話したことを聞いてみました。
うん、娘よ。
父はもう それだけわかってもらえたら十分だよ。
おわりに
仕事の話を子どもに教えるのは難しいですね。
もし同じようなエピソードをお持ちの方がいらしたら是非教えてください!
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