面接官になったら読んで欲しい3つの評価の落とし穴。他者を評価しすぎない、求めすぎないことの大切さ。
他社でも知っている採用基準
リクルートは「自分よりも優秀な人材」、サイバーエージェントは「素直で良いやつ」を採用することを採用活動のセンターピンに据えて社内へ発信し、社外からの認知も獲得した。
ただ本当に「自分よりも優秀な人材」を採用するのであれば、最終面接の担当者が社長や役員だった場合、内定を出せた方の全員が「社長や役員よりも優秀」かとなると、決してそう言うわけではない。
実際は「リクルートの採用8か条」の中の一つの言葉なので、他の言葉で意味や意図を補完している様にも見受けられる。
また、本当に「素直で良いやつ」が基準となっており、それだけでサイバーエージェントから内定をもらえるのであれば、日本順にもっと多くのサイバー社員が存在しているはずなので、それだけが合否が決まっているわけではないことが分かる。
そもそも、採用する基準の高さや、人材を優秀かどうか判断する観点は、その会社や求める求人のレイヤー(役員クラスが欲しいのか、第二新卒が欲しいのか等)、担当者によって異なる。
それらをできるだけ標準的にしていくために「構造化面接を導入する」という手段があるが、このnoteでは、そもそもそういった面接手法を取り入れる前に「面接官として他者を評価する」とはどういうことで、その際に気をつけなければいけない5つのポイントをまとめてみたいと思う。
面接や書類選考の経験が浅く「どの様なスタンスで面接に臨んだり書類を審査すれば良いかが分からない、面接初心者の方」にぜひ読んで頂きたい。
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面接官として他者を評価するとは?
面接で「他者を評価すること」とは、その方があなたの会社・組織に入ってくることによって未来がどう変化するかを予測し、合否の判断をすることです。
面接の中での会話を通じて「チームに入ったら教育コストがかかりそうだな」とか「Aさんとの相性が良さそうだから切磋琢磨してくれて売上に貢献してくれそうだな」とか「今の会社にはいないスキル・経験を持っているから新しい事業やサービスを作ってくれそうだな」とか、さまざまな未来予想図を描くことが可能です。
ただ、上記の感情に加えて「でも…」とか「ただ…」とか「とは言え…」が続くことが多く、限られた時間で他者を評価=合否判断をすることは難しい、というご相談をよく受けます。
では、どの様なスタンスや観点を持って面接・選考に臨むと求職者を適正に評価・合否判断することができるのか、3つの避けるべきポイントをまとめて解説していきます。
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1.文字情報だけで他者を評価しない
まず履歴書や職務経歴書の情報に依存し、個人の実際の対話や面接を通じて得られる洞察を無視することは、候補者の真の能力を見落とす原因になるので辞めましょう。
また「人は自らの成功体験の延長線でしか答えを出せない」と言われることがある様に「自らを採用基準」に据えて評価・合否判断する方も多い。
例えば、知らず知らずのうちに自身の学歴や職歴と照らし合わせた上で、文字情報を取得し、
「自分はこの会社に入社する際に20代で1社しか経験していなかったのに3社も経験しているからジョブホッパーに違いない」
「すでにこの会社で3年以上働いている自分が⚫︎⚫︎大学出身なのだから、それより偏差値が低い大学出身の方はあまり優秀ではなさそうだな」
など、悪い先入観を持って評価・合否判断してしまう面接官がいます。
一般的に短期離職は良くないとされている事実はあるが、その離職の裏側の理由を正しく判断せずにお見送り判断をすることは良くないし、成長企業に3年間所属している人物が、(3年前は内定を獲得できたかもしれないが)現在の採用基準で内定を獲得できるかどうかは全くの別問題です。
個人の経験や過去の成功を基準に他者を評価することで、多様性や異なる背景を持つ候補者がもたらす価値を見過ごすリスクがあります。
採用において、書類選考は「迷ったら会う」、面接は「迷ったら落とす」という通説があるように、明らかにNGだと思う方はお見送りでも良いでしょうが、少しでも通過の可能性を感じることがあれば、オンラインで第一印象の確認をするだけで構いませんので会ってみましょう。
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2. 転職市場価値だけで他者を評価する
市場価値(学歴や現職の人気度)や前職の給与を重視し過ぎることで、候補者の実際のスキルや役割への適合性を正確に評価できなくなる可能性があります。
知らず知らずのうちに「良い大学を出ているから」「有名企業での就業経験があるから」「求人票で求める条件に書いた歓迎条件を持っているから」などの理由で「優秀に違いない」と思い込んで面接に臨むと、正しい評価・合否判断ができなくなってしまいます。
「優秀な人材だが、事業の非連続的成長をもたらす程の人材ではないので、希望される条件をお出しすることができずお見送り」
「優秀な人材だが、入社後に当社が大切にする行動指針の⚫︎⚫︎の項目で著しく低い評価を受ける可能性が高そうなのでお見送り」
もちろん、上記の様な一文だけでお見送りをするのは判断材料が少ないが、「(世間一般的に)優秀な人材であること」を認識できた上で、結果的にお見送りの判断をすることも出てきます。
あくまで現在と未来の組織及び提示可能条件から考えて、課題を解決してくれる人材なのか、必要な機能を代替してくれる人材なのか、事業の非連続的成長を必要な人材かどうかを判断することに集中しましょう。
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3. 他者を評価しすぎない、求めすぎない
前提として、「入社・選考を希望する求職者」と「その評価=合否判断をする面接官」はどの選考フェーズであっても対等な立場であり、上も下も存在しません。
カジュアル面談で志望動機を聞いてしまう様な事件が日常で起こっている事実など、「自社でなければいけない具体的な理由」や「入社に向けた熱量のアピール」を必死に求める面接官が存在する。
面接官は現場の管理職以上の方が担うことが多いので、将来の部下候補を面接する際の「マネジメントのしやすさ」を下手くそなコミュニケーションによって確かめようとしている故の現象かもしれない。
採用活動におけるスカウトを「ロジックがあるラブレター」に例えられることがあるが、内定を告白、面接を「告白する前のデート」に例えた場合、初めてのデートで「自分と付き合って欲しい理由を具体的に教えて欲しい」「熱量高く自分の好きなところをアピールして欲しい」と求められたらどうだろうか?それと同じことを面接で行っていないだろうか?
もちろん、非言語で通じ合う相性が良かったり、告白する側がGAFA君の様に圧倒的にハイスペック要素を持っているのであれば話は別だが、他にもお会いしている方がいる(他社の選考を受けている)事は分かっている上で、必要以上に相手に求める事は避けましょう。選考辞退やレピュテーションリスクに繋がります。
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最後に
今回は「求職者を適正に評価・合否判断することができるのか、3つの避けるべきポイント」を解説しました。
自分はこの会社が存続し続ける限り、何度も何度も、繰り返し言い続けますが、労働人口が減少し続ける日本での採用活動は、日毎に難易度を増して行きます。
今回ご紹介した観点が抜けていると、本来であれば活躍人材になり得る方をお見送りにしてしまったり、内定をお出ししたいと思えた方から辞退されてしまいます。
自社の理想状態から逆算された採用活動を目指し、適切な面接・評価を行うことによって、難易度が高くなり続ける1名の採用を獲得できるよう、自社の採用戦闘力を高めて行きましょう。
弊社・CHEMI株式会社では、成長企業における人事・採用領域の課題解決を支援しております。
これまで、多くの企業の採用支援を行う中で「母集団形成」に施策の重きを置いたり課題視される採用担当者の方が多くいらっしゃいましたが、本来は100名の応募をして一人を採用することではなく、理想は1人の応募に対して一人の採用を行えている状態です。
さらに、せっかく「内定を出したい!」と思える方がいらっしゃっても、辞退をされてしまうと応募〜内定までに掛かったコストの損失(当社の計算では一人の内定辞退で216時間・70.4万円の損失)はとても大きなものとなります。
この内定辞退を防ぐために、多くの企業は内定後の会食設定等のアトラクト施策を行っておりますが、実は「初期接点での体験」の工夫が辞退防止に大きく貢献します。
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