若いPRマンを「経営感覚!」で追い詰めてはいけない。
「戦略PR」とのたまう人たちが経営者レベルで増えてきて、それに反応しているのが若いPRマンばかり、という構図がここ1年くらいnoteやPR系フォーラムのQ&Aを眺めていて思うこと。
若いPRマン、それって、つらくないか?
って思ってしまう。
社員と社長は根本的に立ち位置が違う。それを無視して「経営感覚を身につけろ!」だけあおりは無責任である。
プラクティスレベルで経営感覚や経営の視座を持つというのは、並大抵のことではない。社長と同じ目線に立て、というわけで。雇われて月給をもらっている以上(立場の格差がある以上)その視野を手に入れるのは無理でしょう。おまけに経営戦略に関する各種分析をならべて、「これをマスターしとけ、使いこなせ」な流れって、、、PR学部も出たことないし、上司はパブリシティくらいにしか目がいかない叩き上げしかいないし、どうしろと?
戦略PRは、世界の潮流で、そのフレームワークをいかに早く経営に取り込んだ方がお得かは、わかっていることだが、そのためには人を育てるためのステップがあり、その詳細解説が足らないよなあ、って思います。理想論で人が集まる会に経営者たちや経営者もどきの人たちが熱く語っても、じゃあその具体的なロードマップは?と注視していると、、、ない。。。わたしの調べ方が悪いのでしょうか?
まずは妄想程度でいいのでは
社員であるかぎり、社長の視座にワープなんてありえません。社長もそれを求めるのはミラクルのミラクルである、というのはわかってるはず。熱い思いに引っ張られて追い詰められている若手PRマン増殖中ですよ。なのでわたしは、まず妄想程度でいいのでは、と言いたいな。
部長や役員になる人も、最初は社員だった
歴史が長く、ファミリービジネスでない会社の場合、社長や役員は平社員からステップアップしてその座を手に入れた人が多いはず。平社員のままの人と社長になった人の差は、っていう話は、耳タコ話ですが、一言で言えば、「自分がリーダーだったらどうするかを常に考えていたかいないか」ですね。
昔っから言われているベタなことですが、このマインドを持つと持たないとでは、やっぱり仕事の方向性がまったく変わってきます。視座が上がるのは確か。ものごとをまず全体としてとらえ、その中で求められている「今ココ」は何か、を自動的に考えるようになります。
いきなり社長になれない、本業としての起業をしないかぎり
海の向こう、アメリカ。500以上の大学にあるPR学部卒業生も、等しく平社員スタートです。「常にリーダーだったら」マインドを含めながら、大学で培ったスキルを深化させていく人と、幅広く経営学などもからめた学位をとってPRコンサルから経営陣と近い位置に身を置く、というような出世パターンを描いています。
常に「リーダーだったら」マインド
与えられる職務のほとんどは下働きの作業であることは確実ですが、そういう環境の中でも常に「リーダーだったら」マインドは維持できるし、使わないといい作品が出来上がりません。
たとえば、記事クリッピングでは、社長や課長部長など上司がチェックするポイントと、平社員やパブリックが注目するニュースは違います。ですから記事をピックアップしながら上司に「これって、社長はどう読むんですかねえ」と質問をして、ひとつのニュースに平社員視点と社長の視点を得られるようにすれば良いわけです。
ギャップが担当者目線を強化する
たとえば報道発表では社長が推したい内容とパブリックが注目する内容が一致しているか確認が必要ですし、視点が違ったらすり合わせのための調査が必要でしょう。場合によってはパブリックの視点の正当性を社長に教導しなければいけないかも。この場合は平社員目線のほうが重要になります。
経営の視座はすなわちストラテジックコミュニケーションの真髄に迫るもので、経営コンサルたちがいうなんたら分析やなんたらマネジメントなどが見えてきますが、、、プラクティスレベルの確実な積み上げがなければ成立しないことばかりだし、今プラクティスレベルにいるな、とわかっているなら、まずはそのポジションを進化と深化させることが重要で、かつ近道です。
すべての作業に「社長だったらどうするか?」と問うてみて、「んーこのままじゃいけないぞ」とか、「なんかへんだよなあ」と出てくるだけで十分なのよ。
ただし、へんだな、おかしいな、と思ったら、真実を追求すること
ところがへんだな、とせっかくの新しい視点の芽が出てきても、作業に流されてそのままにしてしまったり、忘れてしまってはもったいない。わからないことを調べる、はっきりさせることでやっと経営の視座の土台の一部が積み上がっただけです。
大抵の凡人は、気づいても行動なんてしないので、10あるうちの1か2つでも成し遂げれば、大きな成果をふと気づいた時に得ています。
経営の視座に焦ることはない。しかし、気づいたことに必ず決着をつける。経営はまさにその連続だから。
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