読書64 『羊は安らかに草を食み』
宇佐美まこと著
認知症の症状が顕著になってきている益恵は八十六歳。益恵の夫は、二十年来の益恵の友人の二人に、あるお願いをする。
益美が十一歳の時に話は遡る。満蒙開拓団として、一家は満州に住んでいた。一九四五年八月九日、ソ連軍の侵攻で開拓団の人たちは広野を逃げまどう。
いのちからがら、日本に帰ることができた益恵だったが、その後は長崎、松山、大津に住んでいる。
益恵の人生を辿るために、時代を交錯していきながら話は進んでいくが、そこには衝撃の事実が・・・。
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満州の話は壮絶すぎて苦しくなります。残酷であまりに理不尽です。
戦争は絶対にいけないことだと思い知らされました。
表紙と題名のイメージで、なんとなく穏やかな話の内容かと思っていました。
レビューで、戦争の悲惨さに触れていたので、そのつもりで読みましたが、それは想像以上のものでした🥲その事実から目を背けたらいけない。知っておかないといけないと痛感しました。
印象に残ったところは
「混乱を極める満州から死なずに生きて帰れた者と、凍てついた大地の下で眠ることになった者との差は、それこそ紙一重だったのだ」
「だから、生きて帰った者の体の一部は、あの場所に囚われている。そこから遠く離れ、どれだけ月日が流れても解放されることはない」
益恵さんの中で凝り固まり、核となってその後の人生を作り上げたという、認知症にならなかったらきっとわからなかったことを、友人が知れたこと。そして、最後に友人たちが取った行動です😊友人たちのパワーに無敵さを感じまました。
「羊は安らかに草を食み」で検索してみました。〝優れた領主の下で、人民は安寧に暮らす〟と意味で、J.S.バッハの楽曲のようです。
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