読書219 『おいしくて泣くとき』
森沢明夫著
中学三年の心也、四月にサッカー部の公式戦で大怪我をしたことで退部をした。
心也の父が食堂を営んでいて、三年ほど前から「こども飯」をやっている。こども飯とは、ご飯を満足に食べられない子どもたちに無料で食事をサービスするもので、近所の小中学生合わせて20人くらい利用している。お腹が空いてどうしようもなくなったときだけ、店に予約を入れて約束した時間に食べにくるという形をとっている。
幼なじみで同じクラスの夕花も、弟の幸太と一緒に、こども飯を食べにくる。
夕花は勉強ができ、そこそこかわいいから妬みの原因になっていて、素直で平和主義だから言い返すこともない。少し前から家庭がかなり荒んでいるという噂が流れ、夕花はクラスでいじめにあっていた。
夕花と心也は押しつけられるような形で、クラスの新聞作成の担当になった。
夕花は「私たち、部活に入っていないし、ひまだから「ひま部だね」と言う。
夕花の境遇があまりにつらくて、でも心也と関わるようになって、あることを境にどんどん変わっていったのだと、ずっと後になって聞かされるのですが。
心也のお父さんがとてもいいです。親子の会話がすごくいい。
警察ざたになる出来事があり、お父さんに怒られると思って覚悟したのに「お前、いちいちかっこいいんだよ」と言われ、そのときの会話が特に印象に残りました。
なんて心にしみる、あたたかい話なんだろう。森沢さんの本は『ロールキャベツ』に続いて、二作目ですが、たちまち大好きになりました。
決して悲惨なだけで終わらず、希望を見いだします。その過程が良くて、読んだあとは気持ちがいいです。
そして、ちょっと気づいたのですが、ひょっとしたら、この、ある場所や人物が他の作品にも出てくるのではないでしょうか。
それは、わくわくする、とても好きなパターンです。そうだったらいいな😊
とりあえず他の本も読んでいきます。
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