読書132 『銀河鉄道の父』
門井慶喜著
岩手花巻で質屋を営む宮沢政次郎。
長男・賢治は、家業を継ぎたがらず、適当な理由をつけては金の無心をする。
政次郎は厳格な父親であろうと努めるも、つい甘やかしてしまう。
「父の期待にこたえなければ」という義務感にさいなまれ、それはとてつもなく自分には無理なことに気づき、八方ふさがりの状況の賢治。
紆余曲折を踏みながらの宮沢賢治の生涯を、父の視点から描かれる究極の親子愛。
「一家の長とは」を頭に置きながら、つい賢治を甘やかし、そして「明治の男だから」と、心の中で納得している政次郎には、思わず笑ってしまうところがたくさんありました。
賢治がチフスで入院すると、医師が止めるのを聞かず、付き添って感染してしまいます。
「われながら愛情をがまんできない。不介入に耐えられない。父親になることがこんなに弱い人間になることとは、若いころには夢にも思わなかった」
賢治の下には妹三人と、弟一人がいます。それぞれの政次郎との関係も、身近にありそうな話に感じます。
しかし、家族が順風満帆に進むだけではなく、かなしい出来事もつらく押し寄せます。
父の葛藤も賢治の葛藤も、読みながら思いあたるところがありました。
いい作品でした。読めてよかったです。
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