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ビジネスの本質を突く"センターピン"という考え方/折口雅博著「アイアンハート」を読んで
先週投稿しましたこちらの旅行記が、「note公式マガジン」に追加されたとのお知らせが来ました。
レビュー数が急激に増えており、読んでくださった方にはこの場を借りて改めてお礼申し上げます。
その旅行記の結論としては、
「あることが得を生むこともあれば、損を生むこともある。逆に、ないことが損を生むこともあれば、得を生むこともある。」
そしてこの結論に至るには、
「この興居島ゲストハウスは、清潔さこそ高いレベルで保たれているものの、食事は付いていないし、アメニティだって最低限のものしかない。でも、寧ろそこが良かった。」
という部分での気付きがあったわけなのですが、そこに至ったのは、ちょうどその頃読んでいた本の影響を受けていたのかもしれない、と後になって気が付いた自分がいました。
本は好きなのですが、一旦飲み込んで咀嚼し、消化してから自分の言葉で語りたいという想いが以前よりあったため、直接的に紹介することはこれまでなかったように思います。
ただ、今回はそれを紹介する形を取ることで、より話を展開できると思ったため、敢えて直接的に紹介する方法を取ってみたいと思います。
■ビジネスにおける「センターピン」という考え方
内容としては、ジュリアナ東京や派遣業のグッドウィル、そして介護のコムスン等の経営で知られる折口氏の自叙伝であり、日本でもトップとなる企業を生み出しては手放してきた本人が、当時何を考え、どう経営を展開してきたのか、そんな波瀾万丈の人生を記した本である。
元々自叙伝のようなものは積極的に読む方ではないのだが、面白いからとお勧めされて読み始めたのがきっかけであった。
その中の一節で、一際目に止まった言葉があった。
"ビジネスは、本質、つまりセンターピンを見極めよ"
曰く、「投じられた球の勢いがどれほど強くても、このセンターピンに当たらない限りストライクを取ることはできない」ので、正しい優先順位を付け、本質を外してはならないという考え方である。
具体的として、ホテルや旅館など宿泊施設のセンターピンが挙げられていた。
宿泊施設は、部屋の広さ、利便性、接客サービス、料理、目を引く浴場等の設備など、顧客が望む要素としては多くの要素があるだろう。
折口氏の考える宿泊施設のセンターピンは、「清潔さ」なのだと言う。
旅先で泊まる場所というのは、心も体もリラックスできる場所と同義であることから、最初に倒すべきセンターピンは清潔さになるのだと言う。
確かにどんなに部屋が広く、利便性が高く、接客が行き届いていて、料理が美味しく、設備が整っていようが、清潔でなければ全てが水の泡になりそうである。
勿論どの要素も大切であることは間違いないのでかろうが、その中でも絶対に外してはならない本質部分、そのセンターピンを見極めよということなのだろう。
これはとても腹落ちした考え方であった。同時に、冒頭話したような興居島ゲストハウスで感じたものに影響したように思えた。
ちなみに折口氏の考えるセンターピンの具体例は、他にもいくつか紹介されていた。
・航空会社のセンターピン:エコノミークラスのシートの角度
・ディスコのセンターピン:常に満員であること
・人材サービス業のセンターピン:マッチング力
・介護サービス事業:居心地の良さ
その理由や詳細については、是非書籍を手にとってその目で直接確かめて頂きたい。
どれも本質を捉えた折口氏ならではの視点と観点が散りばめられており、ビジネスの捉え方の参考になると思う。
■センターピンの見極め方
センターピンの重要性は理解したとして、その見極め方はどう養えば良いのか。そんな質問が、実際にスタートアップ経営者から折口氏へと日々多く寄せられているのだという。
そしてそれについての結論は、
"顧客目線と経営者目線を同時に持つこと"
なのだという。
例えば、レストランで味が悪かった場合には、顧客目線でのまずいという感想で終わらせることなく、経営者目線でシェフへの味見を徹底できているか等の視点で考えてみるのだという。
つまり、自分が顧客として商品を買ったりサービスを提供されたりしたときに、今度は自分がその店の経営者になったつもりで物事をみてみるという思考。
これらの経験をデータベースとして蓄積すると、モノの見方に変化が表れ、それまで見えなかったものが見え始めてくるのだという。
"経営者の立場では常に顧客目線で"
"顧客の立場では常に経営者目線で"
考え方としては以前書いたこちらの記事に通じるものがある。
要は、物事を両目から捉えることで、物事の本質をあぶり出して理解せよ、ということなのだと私は解釈している。
■おわりに
ところで、noteのセンターピンは何なのだろうとふと考えてみた。
イイネやフォロワーの数、あるいはプレビュー数だとは私は思えない。
私の考えは、「自作の記事を通じた他者とのコミュニケーション」。これだと思う。
この点が一般のいわゆるブログとも、SNSとも異なる点であり、いわば本質、最初に倒さなければかあけないセンターピンになるような気がしている。
ライターでなくとも自分で作品を作り、それを世にリリースし、それを通じて他社とコミュニケーションが図れる。
私自身は別にこのnoteという世界で成功しようなどと偉そうな気も、そんな自信も微塵もないし、折角続けているものなのでマイペースに続けていけたらという想いしかないが、個人の旅行記等といった一見誰に需要があるのかわからないようなものでも新しく人と繋がれるきっかけになっているのは素晴らしいことだと思う。
今回は、そんな考え方のヒントを与えてくれた本を通じて、ビジネスの本質を考えさせられたというお話でした。
それではまた!