消費税は必要なのか 2 お金のプール
前回、税は公平な富の分配のための調整弁であり、お金が足りないから消費税で国民からかき集めようという発想自体がおかしいのではないかというお話をしました。
消費税は必要なのか 1 消費税で財源確保!?|Takahiro@明け方の民の調べ (note.com)
財務省や政府の発想は
「今お金が足りないし既にいっぱい借金しているから国民から徴収して補填するノダ!」
です。
お金のプール理論とでも呼ぶべき考え方ですが、お金の仕組みを調べていくうちに
「これってどうも変だよね」
と思い始めてきました。
ということで今回は、なぜこの「お金のプール理論」が変なのかを理解するため、まずはお金の仕組みについて考えてみたいと思います。
ここがわかれば、本題である消費税が必要かの答えが見えてくると思います。
フェイからお金の本質を学ぶ
昔、ミクロネシアのヤップ島というところでフェイという石のお金が使われていました。
大きなものでは直径が人間の身長の2倍くらいあるようなものもありました。
こんな大きなものを持ち歩けるわけがありませんので、フェイはずっと同じところに置かれたまま流通していました。
持ち主が変わっても移動せずそのままです。
例えば、「このフェイはAさんが作ってAさんの住んでいる土地に置いてあるが、AさんはこれでBさんから豚を10頭買ったので、今はBさんのもの」
という感じです。
詳細を以前の私のブログにまとめてありますので、よろしければご覧ください。
お金のことあれこれ 6 お金とは何か - 明け方の民の調べ (dolphy.verse.jp)
経済が大きく複雑になった現代社会で石のお金という訳にはいきません。
しかし現代の貨幣システムとフェイは原理的に同じなのです。
そしてフェイは私たちにお金の本質に迫る重要なことを教えてくれています。
足りなくなったら作ればよい
その本質とは、
「足りなくなったら作ればよい」
ということです。
ヤップ島の人たちは、家を建てたい、家畜が欲しいとなったときにフェイを作りに隣の島まで行きます。
フェイはその大きさ(作って運ぶ苦労の度合い)によって価値が決まりました。
一度作られたフェイは持ち主を変えながら島内で流通し続けました。
人口が増えるなどしてフェイの需要が高まればフェイは増産されました。
ここが重要な点ですが、フェイが増えることは島内の経済(GDP)が大きくなることを意味します。
つまり経済規模に適した量のフェイが作られ流通していたのです。
当たり前ですが島民がいくらフェイを使ってもフェイは減りません。
減らないどころか経済が大きくなればフェイは増えていきます。
現代社会でも同じ
現代の貨幣経済においても基本は同じです。
ただし、今の日本では円が流通しており、円で税金を納めることになっています。
お札や硬貨を勝手に作ったら罰せられますので個人で円を作ることはできません。
もちろん円に代わる独自のサービス券のようなものを個人や法人で発行することは可能ですが、それで何でも買えるわけではありませんので、それはお金と呼べるようなものではありません。
しかし、誰かがお金を作らなければお金が流通しませんので経済はストップしてしまいます。
いったい誰がお金を作るのでしょうか。
これについて考える前に、再びヤップ島に戻ってみたいと思います。
「お金のプール理論」の矛盾
ヤップ島にはフェイを貯めておく場所があって、そこのフェイの量が足りなくなったら島民からフェイを借りたり、税として回収するようなことをしていたでしょうか。
そんなことをしていたとは到底思えません。
なぜなら、フェイが足りなくなればフェイを作りに隣の島へ出かけて行き、作って運んで来れば良かったからです。
それで経済はうまく回り、人口が増えればフェイの量に比例して経済規模も大きくなっていったはずです。
実は現代の貨幣経済は複雑になったとはいえ、理屈は同じです。
お金は足りなくなれば作れば良いのです。
これが原則です。
それができるのは日本政府だけですが、彼らのやっていることは、この原則に反していないでしょうか。
プールのお金が足りないからと言って、どうして消費税で国民からお金を回収しようとするのでしょうか。
そんなことしたらますますお金が足りなくなって逆効果だと思いませんか。
次回は、この辺りを掘り下げて行きたいと思います。
つづく
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