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Harvard Business Review 25年1月号④:経営の多角化を成功へと導く"5つの論点"とは?
読書ノート184日目📚
前回に続いて、今回もハーバードビジネスレビュー2025年1月号「経営課題としてのテクノロジー」から以下の5つを順に紹介していきます。
①私たちは技術の進歩をどう捉え、どのような社会を構築すべきか
マイケル・オズボーン オックスフォード大学 教授
②生成AIとの協働を実現する3つのスキル
H. ジェームズ・ウィルソン
アクセンチュア グローバル・マネジング・ディレクター
③AIがチームに加わるとパフォーマンスが落ちる
ブルース・コグー コロンビア・ビジネススクール 教授
④経営の多角化を成功へと導く5つの論点
バラット N. アナンド ハーバード・ビジネス・スクール 教授
⑤退職してからの人生をどう生きるか
テレサ M. アマビール ハーバード・ビジネス・スクール 名誉教授
4回目の今日は
「経営の多角化を成功へと導く5つの論点」についてです。
今回もChatGPTに搭載されている「GPTs」を活用して、落合陽一先生の論文の読み方フォーマットで要約&解説をしてくれる「論文要約くん」を利用しています。
論文要約:
経営の多角化を成功へと導く5つの論点
~なぜ付加価値の創出は難しいのか~
著者:
バラット N. アナンド (Bharat N. Anand)
(ハーバード・ビジネス・スクール 教授)
デイビッド J. コリス (David J. Collis)
(ハーバード・ビジネス・スクール 非常勤教授)
翻訳: 倉田幸信
掲載:
Harvard Business Review (2024年9-10月号),
Diamond Harvard Business Review (2025年1月号)
どんなもの?
本稿では、複数事業企業(多角化経営) の戦略について論じている。
多くの企業は 事業ポートフォリオの組み合わせ を最適化することに注力しがちだが、各事業の付加価値の創出 については軽視する傾向がある。
この論文では、企業が どのようにして各事業の価値を最大化し、企業全体の成功に結びつけるか について、「企業戦略の連続体」という考え方を用いて解説する。
先行研究と比べてどこがすごい?
従来の研究では、多角化経営の成功要因は 「シナジー効果」 に焦点を当てることが多かった。
本研究では、単なるポートフォリオの組み合わせではなく、各事業自体がどのように価値を創出するか を重視している。
「企業戦略の連続体(Corporate Strategy Continuum)」という概念を導入し、企業の立ち位置によって最適な管理プロセスが異なることを示した。
技術や手法のキモはどこ?
1. 企業戦略の連続体とは?
企業の多角化戦略には、事業間の関連性の強弱 というスペクトラムが存在する。(詳細は以下に添付の図表を参照)
左側 にある企業: 事業間の関連性がほぼゼロ
(例:政府系ファンド、プライベートエクイティ)
中央 にある企業: 部分的に関連性を持つ事業を持つ
(例:ディズニー、ダナハー ※米国の医療診断機器メーカー)
右側 にある企業: 事業間の関連性が非常に強い
(例:クロロックス ※米国の大手日用品メーカー)
・企業の立ち位置による最適戦略事業間の関連性が低い企業
(例:投資ファンド)
→ 価値創造の方法:事業の売買、資本配分の最適化
・事業間の関連性がある程度ある企業(例:ディズニー)
→ 価値創造の方法: ブランド管理、経営プロセスの共通化
・事業間の関連性が強い企業(例:クロロックス)
→ 価値創造の方法: 製品開発・販売チャネル・R&Dの統合
どうやって有効だと検証した?
多くの企業のケーススタディを分析し、企業戦略の連続体上の異なる位置にいる企業 の成功・失敗パターンを比較。
ゼネラル・エレクトリック(GE) の事業縮小や ダナハー、ディズニー、ブラックストーン などの成功例を分析。
さらに、過去の学術研究を引用し、「多角化ディスカウント」(企業価値が各事業の合計よりも低くなる現象)を克服した企業の特徴を探った。
議論はある?
・シナジー効果は万能ではない
企業は シナジー効果を過大評価しがち であり、無理に事業を統合しようとするとコストが増加する。
例: 事業同士を強引に統合しようとすると、調整コストが増え、企業全体の効率が下がることがある。
・事業の「最適な距離感」が重要
あまりにも多角化すると、企業価値が下がる(多角化ディスカウント)
しかし、適度な関連性を持つ事業同士を組み合わせることで、価値創造が可能。
・管理方法を適切に選ぶ
事業間の関連性が強い企業は 業務プロセスを統合 しやすいが、独立した事業を持つ企業は 資本配分を重視 するべき。
次に読むべき論文は?
・「企業戦略とポートフォリオマネジメント」
著者: Michael Goold & Andrew Campbell
内容: 企業のポートフォリオマネジメントと事業間シナジーの関係を分析。
・「企業の多角化戦略は本当に価値を生むのか?」
著者: Vijay Govindarajan
内容: 企業の多角化と収益性の関係をデータ分析した論文。
・「ゼネラル・エレクトリックの失敗と教訓」
著者: Jeffrey Immelt
内容: GEの多角化戦略がどのように失敗したかを解説し、企業が学ぶべきポイントを整理。
まとめ
企業戦略では 「事業ポートフォリオの組み合わせ」 だけでなく、「各事業自体の価値創出」 が重要。
企業戦略の連続体 という概念を用いることで、自社の立ち位置に応じた最適な管理方法を見極めることができる。
シナジー効果を過信せず、適切な事業の組み合わせと管理方法を選択することが成功のカギ。
今回の内容は「経営の多角化を成功に導く5つの論点」というタイトルでしたが、今回の「論文要約くん」の出力結果からは5つの論点が何かが分からずタイトル回収がされなかったのと、"企業戦略の連続体"という言葉も解説がもう少し欲しかったので、ChatGPT o3を使って改めて要約してみました。
そして、要約文の中に登場した「左側・中央・右側」というのは
以下の図表のことで、左側=事業間の関連性が低い、右側=関連性が高い
ということを意味しています。
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それではChatGPT o3での再出力の結果です。
今回はちゃんとタイトル回収するように指示をしました。
1. 「経営の多角化を成功へと導く5つの論点」とは?
論文では、複数事業企業が成功するために経営陣が自らに問いかけるべき5つの重要な視点(論点)が提示されています。各論点は、企業全体としてどのように各事業に付加価値を与え、全体としてシナジーを生み出すかという戦略設計の基盤となるものです。
(1) 会社のビジョン
内容: 企業全体が何を目指し、どのようにして各事業に価値を付加するかという基本理念や方向性。
ポイント: 自社が連続体上のどの位置にあるか、どの位置を目指すか、また各事業に共通して使える「接着剤」(例:ブランドや独自の資源)は何かを明確にすること。
(2) 自社に適したポートフォリオと組織構造
内容: どの事業をポートフォリオに加えるべきか、またそれらの事業をどう連携させるかという組織の設計。
ポイント: 自社のビジョンに沿い、各事業間のシナジーをどの程度狙うか(つまり、事業間の関連性の高さに応じた組織設計)を決定すること。
(3) 自社にふさわしいプロセス
内容: 戦略の実行を支える日常の経営プロセスや業務のルーチン、評価制度、資源配分の方法。
ポイント: 各事業の業績向上やシナジー創出を実現するために、経営プロセスをどのように構築し、実行するかが重要となる。
(4) 本社と各事業の上下関係と経営のマインドセット
内容: 本社が各事業にどのように関与するか、その関係性の在り方(例:厳格な指示・管理型、パートナー型、サービス提供型など)。
ポイント: 本社と事業部との間でどのような責任分担や連携体制を取るか、また双方がどのような心構えで戦略に臨むべきかを明確にすること。
(5) 本社のサイズ
内容: 本社に配置すべき人員や資源の規模、役割の範囲。
ポイント: 単に大きければよいのではなく、自社の戦略や事業間の連携(シナジー)の必要性に応じて、本社の機能や規模を適切に設計することが求められる。
2. 「企業戦略の連続体」とは?
・概念の説明
連続体の考え方:
企業がどのような事業群を持つかは、ある「連続体(コンティニューム)」上に位置づけることができるという考え方です。
左端: 事業間の関連性が非常に低い場合(例:多角化投資ファンドや極めて分散された事業群)。各事業は互いに独立しており、シナジー効果を狙うよりも、単にポートフォリオのバランスや投資効率を追求する形態。
右端: 事業間の関連性が非常に高い場合(例:クロロックスのように、同じチャネルやブランド、共通のオペレーションを持つ企業)。各事業が密接に連携し、業務の共有やシナジー効果が戦略の中心となる形態。
・分かりやすい表現例
イメージ例として
一方の端では、まるで「寄せ集めの企業群」のように、全く違う種類の事業が一緒に存在しています。ここでは、各事業はそれぞれ独自の方法で価値を生み出すため、連携よりも個々の経営努力が重視される。
もう一方の端では、事業同士が「家族のように」関連性を持ち、同じ技術やブランド、販売網などを共有するため、連携して全体として大きな付加価値を生み出すことが可能となります。
戦略的意義:
自社がこの連続体上のどこに位置しているかを正確に把握することで、最適な組織構造、経営プロセス、本社の関与の仕方などが決まります。
また、連続体上での自社の立ち位置は、各事業間のシナジーの追求方法やトレードオフ(例えば、統一感と自主性のバランス)にも大きな影響を与えるため、戦略の選択肢を決定する上で非常に重要です。
まとめ
「5つの論点」は、企業が複数事業戦略を成功させるための基本的な問いかけの枠組みとして提示されています。それぞれ、会社のビジョン、ポートフォリオと組織構造、実行プロセス、本社と事業部の関係性、そして本社のサイズという具体的なテーマに沿って、自社の戦略の実行方法を明確にするための要素となります。
「企業戦略の連続体」は、事業間の関連性の度合いを表す概念で、企業がどこに位置しているかによって、適切な戦略や組織設計、経営プロセスが大きく変わることを示しています。つまり、連続体の左側では事業間の独立性が重視され、右側では事業間の統合やシナジー創出が鍵となる、と理解すれば分かりやすいでしょう。
「どの論点にどれだけ注力するか」や「連続体上での自社の位置を正しく把握すること」が、成功する複数事業戦略の設計と実行に不可欠であると説いています。
今回はタイトル回収のために、2回の要約文を出力したため、長文になってしまいました…
結論としては、事業間の関連性によって、以下の5つのことを考えるべし
①会社のビジョン
②ポートフォリオと組織構造
③実行プロセス
④本社と事業部の関係性
⑤本社のサイズ
ということで、多角化経営でまことしやかに信じられている&期待されている「シナジー効果には過信し過ぎないこと」という内容でした。
個人的には、事業間の関連性が低そうな多角化経営の例として、紳士服や快活CLUBやブライダル事業を持つ、AOKIホールミーティングに興味があり、どのようにして今のような多角化経営に至ったのか、そして上手くいっているのかどうかを調べたいなぁと思っていたところでした。
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今日はこの後で予定が詰まっているので時間が無いのですが、また近いうちに時間をとって調べてみようと思います!
ということで皆さんも素敵な三連休をお過ごしください!✨
それではまたー!😉✨