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リサーチ&データ活用の教科書②:P&Gのリサーチの特徴は、戦略と解決策の作成フェーズを必ず分けて考えるプロセスにあるということ
読書ノート(107日目)
さて、今日もこちらの本の紹介です。
著者の米田さんは元P&Gの執行役員で
CMK(Consumer Marketing Knowledge)部門
のヘッドを務めていらっしゃった人物。
P&Gのマーケティング戦略をデータで検証して
成功の確度を高めていく、そのための秘訣を
知ることができればと思って読んでいます。
・リサーチ&データ活用をデザインする
・的確で優れたリサーチをデザインするにあたり最重要なのは
今が「理解を深めるべき」段階なのか、
「仮説を広げるべき」段階なのか、
「仮説を絞り込むべき」段階なのかの判断
・それは「自分たちが問題解決のどの段階にいるか」によって変わる
・P&Gでの問題解決の枠組み
「ダブルダイヤモンドプロセス」の2つの特徴
(※実際の画は以下で紹介させて頂きます)
・特徴①:具体案を考える「解決策作成段階」の前に
「戦略作成段階」を踏む2段階構造の問題解決プロセス
解決策の具現化に着手する前に、
まずは解決策の骨子を固める段階を設ける
・特徴②:まずは最大限にオプションを広げ切ってから
絞り込むという考え方をする。
仮説やアイデアを絞り込む前に、必ず一旦広げるフェーズを
通してオプションを網羅し切ってから最良のものを選ぶ。
・この2つの特徴で、問題解決のヒントが見つかる可能性が
広がり強力な解決策が出来上がる確率が高まる
・ダブルダイヤモンドプロセスの最初に行うのは「現状理解」
・自分たちがどういう状況にあり、解決すべき問題は何か、
そして何が課題なのかを把握する
・問題と課題の違い
「問題」とは目標値や現状との間にあるギャップ
例)売上前年比の目標が前年比130%に対し現状は前年比90%
⇒この場合の問題は、前年比40%の不足(売上〇億円不足)
「課題」とはギャップが生まれている理由・背景、
そのギャップを埋めるため乗り越えなければならない障壁・ハードル
例)売上前年比40%のギャップを埋めるためには
より有効な常連客向けプロモーション企画と開発が課題
仕事でリサーチや分析をしていると
あれ、そもそもだけど…
得たい成果や目的は何だっけ?
という会話になることがあります。
このダブルダイヤモンドプロセスが
優れているのは、
戦略作成フェーズと解決策作成フェーズを
必ず分けて考えるルールがあること。
そして戦略作成も解決策作成も
必ず仮説を出し切ってから絞り込む
というルールを設けていること。
この2つの特徴(ルール)があることで
問題解決に繋がる確率を高めている
のだろうと、そう感じました。
ちなみに
ダブルダイヤモンドプロセスは
このような画になっているそうです。
(写真が歪んでいてすみません…)
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それぞれのフェーズで、仮説を出し切ってから絞り込むという流れです
ちなみに、この手法は
製品イノベーションでも活用できる
とのことで、この後のページで
柔軟剤「レノア」の事例も紹介されていました。
(詳しくはぜひ本書を
読んで頂ければと思います)
印象的だったのは
レノアの構想から発売まで5年ほど
掛かっているという話でした。
花王のクイックルワイパーも
構想から発売まで5年ほど掛かっていた
ようですので、プロの方々が揃っても
それくらい世の中の常識を変えるような
イノベーションを創り出すのは時間も掛かる
ということなのでしょう。
結果として、レノアは柔軟剤でありながら
「服を着ている時の臭いも防ぐ」という
新たな付加価値で柔軟剤の常識を変え、
毎年前年比90%で縮小続きだった柔軟剤市場を
2倍に拡大させ、レノアはシェア1位を獲得する
という大成功に至ったとのことです。
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僕も柔軟剤を日常的に使っていますし
もはや洗剤と柔軟剤はセットで使うもの
という考えになっています。
そういえば、
少し前から花王のワイドハイターEXも
漂白剤としてはもちろん、
日常的に洗剤に混ぜて使うことをCMで
アピールしているのを思い出しました。
企業側も消費者の日常に入り込もうと
様々な工夫をされていますね…!
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ということで、今日はこの辺で!
次回以降はいよいよ各プロセスの
「現状理解」「仮説出し」「絞り込み」
の具体的な内容を紹介していきます。
それではまたー!😉