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大前研一 日本の論点2025-26①:観光産業こそが日本経済の起爆剤となる(大前さんが提唱する「アンダーツーリズム」とは?)
読書ノート(176日目)📚
気がつけば、2025年の1月も最終週ですね…!
今月は最近読んだ本から2冊を読書ノートで紹介しようとしていましたが、残すところ今日を入れてちょうど5日間。
毎日投稿すればギリギリまだ間に合う…!!!
ということで、今日からは直近3年間の年末年始の課題図書にしている、
こちらの本を紹介していきます。
今年版の「大前研一 日本の論点2025-26」は全28種のテーマを取り扱っており、直近3年間の中でも特に多い印象です。
この読書ノートでは、その中から個人的に気になった
以下の5つをピックアップして紹介していく予定です。
・観光産業こそが日本経済の起爆剤となる
・繰り返される「政治とカネ」問題に終止符を打つために、何を行うべきか
・ヨドバシカメラの西武池袋出店から読み取れるのは
百貨店ビジネスの凋落か
・・プログラミングは時代遅れ?
生成AIで求められる人材像はどのように変わったか
・半導体から地震対策まで、
台湾の繁栄の方程式から日本は何を学ぶべきか
第1回目の今日は「観光産業こそが日本経済の起爆剤となる」についてです
・観光産業こそが日本経済の起爆剤となる
GDPの10%を観光産業で稼いでもおかしくない
・訪日外国人旅行者数が順調に伸びており、
2024年は史上最多の年間3500万人も視野に
・日本政府は2030年に訪日外国人の旅行者数6000万人と
消費額15兆円を目指す考え
・この目標は、私に言われると低すぎる。もっと引き上げるべき
・日本の観光産業がGDPに占める割合は2.0%に留まっている
・海外と比較すると、スペインは7.3%、イタリアは6.2%、
フランスは5.3%と日本の倍以上の比率
・日本が秘めているポテンシャルを考えると、
GDPの10%近くを観光産業で稼いでもおかしくない
・観光と富裕層の移住を併せたインバウンドの年間消費額は
15兆円どころか50兆円のポテンシャルがある
・観光政策の企画・立案を独立して担う「観光省」を設置して、
法改正も含めて国家として全面的に取り組むべき
・2024年はインバウンドの課題として
オーバーツーリズムも浮き彫りになった
・特定の観光地に外国人旅行者が殺到して、
地域住民が迷惑を被るケースが相次いでいる
・ただし、外国人観光客を対象に割増入場料を課す「二重価格」の導入は、
最も恥ずべき外国人差別であり、オーバーツーリズム対策として
訪日観光客を抑制につながる、下の下の策である
・訪日外国人を呼び込んで観光産業を活性化しつつ、
混雑緩和などで地域住民が安心して暮らせるという両立こそ、
真の観光大国と言える
・新たな観光アプローチ「アンダーツーリズム」とは
・訪日外国人旅行者の呼び込みとオーバーツーリズム対策の両立という、
一見矛盾する2つのことを同時に解決する方法がある
・それは、まだ観光地として注目されていない
ローカルな穴場地域への旅行「アンダーツーリズム」の推進
・私(大前研一氏)は学生時代から日本中を歩き回り、
最近もバイクで各地を回って私が見た「日本」には観光地としての
ポテンシャルを秘めた地域がまだ数多く眠っている
・それらを観光地化して整備すれば、
オーバーツーリズムに悩む観光地と平準化もでき、まさに一石二鳥
・今、世界で人気があるのは「何もない」ところを開発したリゾート地
・元々欧米の富裕層は、名所旧跡や観光施設で混みあう街よりも、
何もなくて一般の観光客がやってこない地域でのんびりと
長期滞在することを好む傾向がある
・そのスタイルは世界的に広がり、
この20~30年で新しいリゾートが次々と開発されている
・例として、スーパーラグジュアリーホテルの「シックスセンシズ」は、
モルディブにリゾート「ソネバフシ」を建てた。
砂浜に続く青い海と空以外、何もなく、チェックインで渡される
布袋には「No News, No Shoes」の文字が書かれている。
チェックアウトをするまでこの島で新聞は読めないし、
靴はその布袋に入れてフロントに預けなければならず、島内では
ずっと裸足で過ごすことになる。客は何もないところで、
何もしない時間を過ごす。それが最高の贅沢なのだ
・「アマンリゾート」も、フィリピンの島での「アマンプロ」は朝食後、
従業員が船で好きな場所に連れてってくれ、夕方に迎えに来るまで、
一日中、他に誰もいないビーチに放っておかれる。
富裕層は誰にも邪魔されずに家族や恋人と過ごすためなら喜んで
お金を払う。世界では「何もない」「誰もいない」に価値があるのだ
・とはいえ、本当に「何もない」ところに外から人はやってこない
・これらのリゾートに共通しているのは、豊かな自然に囲まれていること
・青い海や星空、生い茂る緑やきれいな空気、
何にも煩わされることなく自然を堪能できるので多くの人が訪れる
・タイのサムイ島にある、シックスセンシズのレストラン
「ダイニングオンザロックス」は、自然環境を見事に取り込んでいる。
レストランが立っているのは崖の岩の上。270度のパノラマビューで、
見渡す限り他の建物はない。夕陽を見ながらディナーが始まり、
テーブルの間隔も広く、かがり火にぼんやりと照らされた他の客すらも
風景の一つになり、ゆったりとした時間を楽しむことができる
・この地域は50年前まで、地元の人が見向きもしない無人島や寒村だった。
しかし、適切に開発すれば世界の富裕層が集まり、地域が潤う
リゾートに変わった。まさにアンダーツーリズムがスタートだった
・日本は「アンダーツーリズム」の宝庫
・例えば、長崎県佐世保市の九十九島は、複雑に入り組んだ海域に浮かぶ
大小さまざまな群島が絶景だが、観光リゾートが少ないため、観光客は
昼間に九州川の展望台から景色を見て、夜は佐世保市街など他の地域の
ホテルに泊まってしまう。九十九島の景色が本当に美しいのは
夕日が沈む時間帯なのに、それを楽しめるリゾートがない
・同様に、四国の西側、愛媛県宇和島市から高知県の足摺岬までのエリアも
素晴らしい。このエリアの海岸線は美しく、余計なものも建っていない。
しかしここも富裕層を呼べるだけのリゾートがない
・景色を楽しんでもらいたいのであれば、
その地域の特性を活かすことが大切
・長野県軽井沢町は豊かな自然に囲まれており、なかでも一番の眺望は、
昼間に見える浅間山の雄大な姿
・ディナータイムに景色を堪能しようとしても、真っ暗で何も見えない
・もし私が軽井沢にリゾートをつくるのであれば、
遅めのランチを売りにする
・日本の宿泊施設は15時チェックインがスタンダードだが、
チェックインは11時にする。まずはスパで汗を流してもらい、
13時や14時から浅間山を眺めつつ、ゆったりコース料理を楽しんでもらう
・逆に静岡県熱海市は夜がいい。夏の花火も最高だが、
私が熱海にスモールラグジュアリーホテル「ATAMI せかいえ」を
建てたときにこだわったのは、ムーンライトリバー、つまり月が海面に
光の道をつくる景色だった。となれば当然、月の道が見える場所や時間帯
を考えて施設やサービスをつくりこまなければならない。
・「ATAMI せかいえ」は高級ホテル予約サイト「一休.com」の
スモールラグジュアリーホテルカテゴリで4年連続日本一を獲得し、
月が見えるペントハウス「月の道」から予約が埋まっていく。
宿泊費は大人2人2食付きで一泊10万円前後~最高32万円ほど
・その地域の景色を生かした構想力を持って開発することで、
富裕層は惜しみなくお金を払う
・「世界遺産」は長期的な経済効果にはつながらない
・日本の観光産業に構想力がないことは
”世界遺産頼み”であることからもよく分かる
・自治体は世界遺産のブランドが欲しくて、
国に働きかけてユネスコに推薦してもらっている
・しかし、日本で世界遺産に登録された地域で、
観光地としてうまくいっているところは少ない
・世界遺産登録の経済効果は、せいぜい2~3年ともいえる
・また、世界遺産登録はその後の開発の足かせになる点が厄介でもある
・東京都の小笠原諸島は2011年に世界自然遺産に登録されたが、
そのために空港をつくることができない
・小笠原諸島へは高速船を使っても1000キロの距離があるため
24時間かかることと、天候の影響で欠航も多く、移動だけで
往復2日かかり、欠航のリスクもあれば、ビジネスパーソンは
旅行の予定を組むことができず、足を運びづらい
・また、開発を阻むさまざまな規制も課題
・例えば、アメリカのサンフランシスコの人気観光スポットである
「フィッシャーマンズワーフ」のレストランは、建物が海に張り出す
オーバーハングで建てられており、真下に海があってシーフードを
楽しむ気分を盛り上げてくれる
・しかし日本の建築基準法ではそれが難しく、私も熱海市に海沿いに
こうしたロマンチックなレストランを建てようと働きかけているが、
法規制や漁業権の問題があり簡単にはいかない
・オーストラリアの東海岸のゴールドコーストは、
地域で開発ルールを決めて魅力ある景観を保っている
・日本の観光に必要なのは、全国一律の規制ではなく、
地域の個性を生かし、なおかつ一定のコンセプトで
統一感のある開発ができる柔軟な仕組み
・2024年7月の観光立国推進閣僚会議では、
「全国35カ所すべての国立公園で民間活用による魅力向上事業を実施する」
と表明され、2031年までにすべての国立公園に
高級リゾートホテルを誘致するという
・これをきっかけにアンダーツーリズムを広げられるかどうか。
これからは日本の観光産業の未来を占う試金石になるだろう
今回は、大前研一さんが以前から提唱している、「日本を観光立国にする」というテーマで、オーバーツーリズム対策にもなる「アンダーツーリズム」を提唱するというものでした。
たしかに、景色が良いところは観光名所になり、混雑が避けられないのが常ですが、そんな絶景をプライベートで周りの目を気にせずに、ほぼ独り占めできる体験ができるなら高額な料金でも魅力に感じる人は世界には多いのでしょう。
本書の中で登場した、数々のリゾートについて、文字だけではイメージが掴みにくかったので画像を調べてみました。
まずは、モルディブの「ソネバフシ」
![](https://assets.st-note.com/img/1737977045-rdPSCWc3Ej5oqiQ6vRMzDYeg.png?width=1200)
ポリシーとのことですが、想像していた10倍以上は広い、
ものすごく見事な水上ヴィラでした…!!✨
各ヴィラには、ウォータースライダーも付いているようです…!!
続いて、フィリピンの「アマンプロ」
![](https://assets.st-note.com/img/1737977375-Uj8sS4FET2lmzi6v1aJtwrMQ.png)
そんな贅沢な時間と空間を過ごせるようです…!!✨
続いて、タイのサムイ島にあるレストラン「ダイニングオンザロックス」
![](https://assets.st-note.com/img/1737977613-Ux4LNuGV2JlKXo90ktA3sbWn.png?width=1200)
見渡す限り他の建物はなく、夕陽を見ながらディナーを楽しめる。
かがり火にぼんやりと照らされた雰囲気も素敵ですね…!!✨
そして、熱海にある「ATAMI せかいえ」
![](https://assets.st-note.com/img/1737977965-Pzfjyg0OQ8NCKqxitGdaYVcu.png?width=1200)
残念ながら肝心の「ムーンライトリバー」と呼ばれる、月が海面に光の道をつくる景色
を一目見たかったのですが、Googleでの画像検索でもすぐには見つけられず…
きっと宿泊した方々の特別な景色なのでしょう♪🌙
途中からリゾート写真ばかりで、かなり話が脱線してしまいました…笑
オーバーツーリズムは既存の住民の方々にとって大きな負担にもなっていますし、大前研一さんが提唱する「アンダーツーリズム」によって、日本の良さが再発見される地域が増えると、様々な課題も解決に向かいそうですし、旅行好きの僕としても凄く嬉しいです!
ということで今日はこの辺で。
それではまた明日ー!😉✨