BtoB メーカー視点での代理店経由か直販か | マーケティングはこれだけ!コラム⑪
こんにちは、Tak@ 外資流マーケティングです。
さて、今回は BtoB チャネルマネジメントについてお話ししたいと思います。BtoBメーカーマーケティングにおいて、代理店などの流通を起用すべきか、直販すべきかということは悩むことがあると思いますが、
大事なことは
『代理店に期待する機能は支払う対価に見合うかどうか』
これに尽きます。
代理店に販売にするということは、自社では足りないリソースを代理店に補ってもらい販売活動を行うということになりますが、一方でマージンを支払うため、最終顧客が購入する価格は上昇します。
また、自社のリソースを掛けて販売活動をする場合でも、コストが掛かり、その価格を転嫁すれば代理店経由と同様に販売価格は変動しますので、どちらが良いのかを検証する必要があります。
どのようなポイントで検討すべきでしょうか。
ビジネスで考えるべきポイントは『人、物、金、紙』、その観点で以下のような業務を自社でやるか、代理店にお金を払って依頼するかについて検討します。どちらにしてもより自社にベネフィットがあると考えられる選択肢を取る必要があり、3C (自社、顧客、競合)分析を踏まえて検討する必要があります。
人: 営業人員、営業品質、ネットワーク
物: 製造、在庫、出荷、品質管理
金: 売上回収、与信管理
紙: 受発注、納品書、請求書
1)自社状況
上記の自社リソース現状とこれからの戦略を踏まえて代理店活用すべきかどうかを検討しなくてはなりません。
例えば、自社内に活用できるリソースが多ければ無理に代理店経由の販売にする必要はありませんが、自社リソースが足りず、その拡充が難しい場合は、代理を起用すべきだと考えられます。
営業活動、在庫、配送、与信管理、受発注など多くの業務を依頼することになれば、その分多くのマージンが必要になり、自社で実施するよりも総合的にベネフィットがあるかどうか検証が必要です。
また、自社の営業人員の知識、市場での土地勘、ネットワークが不足しているという場合において、代理店を活用するベネフィットが高いという可能性があります。その市場で様々な製品を長年販売している商社などであれば、その先の流通や顧客、そのキーマンを知っているため営業力が高い可能性もあります。
営業人員としてアウトソースするようなイメージですが、教育が難しいのがデメリットです。
2)競合状況
競合がどのようなチャネル戦略を取っているのかも判断のポイントになることがあります。戦争で言えば相手の兵力がどれぐらいあるのかを知るようなものになります。
例えば、競合会社が業界内での主力商社を代理店として販売している場合、自社リソースだけで太刀打ちできるか、他の商社などを代理店にすべきかを考える必要があります。
3)顧客
市場によってかなり異なりますが、エンド顧客数が多い市場であれば、広範囲で営業出来る営業門を敷かなくてはならず販売代理店網が必要になる可能性が高くなります。一方で、寡占されている市場であれば、東京本社に集中していることが多いため、広範囲での営業工数は必要になりません。また、寡占市場では、大手企業が相手になりますので、専門性の富んだメーカー営業が必要になる可能性が高くなります。
一方で、在庫、配送、サプライチェーンについては販売代理店などに依頼した方がよいこともありますので、この観点でも検討が必要になります。
上記の通り、直販が良いのか、代理店などの流通販売が良いのかという点については、総合判断が必要になり、一概には言えませんが、上記の観点で検討を進めて頂ければ、良い判断ができると思います。
逆に代理店視点では、メーカーが抱える業務をできるだけ担うことができれば売上、利益を増やすことが出来る可能性が高まります。複数製品を扱う商社であれば、他社製品を扱う上で必要なリソースを転用できますのでメーカーが1製品で実施するよりも効率的に運用できる可能性があります。
最後に、独占禁止法上、販売代理店の再販価格の拘束はできませんので、代理店マージンをコントロールできない点は注意が必要です。(メーカーが直接営業した取次ぎ業務であればその限りではありません。)
お読みいただきありがとうございました。