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マーケッター的『現地•現物』主義の大切さ
「現地現物」は問題解決のために現場を無視してはならないというトヨタ創業者 豊田喜一郎氏の思いから生まれた言葉です。
2009年み社長へと就任した豊田章男氏は社内メッセージにて以下のように発信しています。
「現地現物とは、現地に行って、現地を視察することではありません。目の前ので起こっていることを『自分事』と捉え、さらに良くしようと、努力するためにある言葉なのです。そして着実に『カイゼン』を続けることによって、自分も楽になり周りの人も幸せになっていくのです。」
本当の課題を見いだして、自分事として打ち手を講じていくマーケティングを行うためには現地現物はとても重要なことです。
しかし、マーケティングの仕事範囲は幅広いがゆえに、現地へ都度足を運ぶことが難しく、聞いたことの情報で整理して施策を打ち出すことも多くなりがちです。
優先順位を付けて自ら足を運ぶ先を決めていかないと机にばかり向かってしまいます。
私自身の経験ですが、ある時、半分以上の展示会出展を取りやめたことがあります。BtoBでリード取得するための手段として展示会はひとつの施策です。担当営業から聞くには出展することで顧客とのタッチポイントが増え、過去から継続しているので意義があると聞いていました。
年間大小50件ほど展示会に出展し、2,000万円近いコストを掛けていたので、費用対効果を見る対象として、その年の私自身のアクティビティとして優先順位を上げ、全国各地20件以上に同行してどれだけ効果的なのかを確認して回ってみると、集めている名刺の数が少なく非効率と思われる展示会が結構あるということ、また営業が説明している内容もマンネリ化しているため説明ツールをリニューアルすべきだということが分かりました。
継続は力なりとは良く言ったもので、惰性でやっているだけならば、ゆでがえる現象です。
これまで通りに出店しているだけになってしまっているものは、次回以降出展を取りやめ、約半分にしました。1,000万円のコスト削減をする代わりに、自社で市場トレンドなどを説明するセミナーを開催したり、それらをコンテンツとしてウェブサイトの拡充をしたり、海外視察ツアーを企画するなどの費用に振り替えたのです。我々が発信するコンテンツのあり方も変えていく施策にしました。
セミナー後のフォローアップを行いリードの成約率を見てみると、展示会よりセミナーの方がこの事業の場合は効率が良いことも分かりました。展示会でもセミナーでも名刺1枚あたりの取得コストは1万円程度と変わらなかったのですが、成約率はセミナーの方が高かったのです。
製品開発においても同様です。次年度の売上計画や5か年計画としても重要な位置づけになるとある新製品の開発において、予定通りのコストに納まらず開発スケジュールに遅れが生じることがありました。
話を聞いていると、どうやら歩留まりが悪いことが主要因でコストを押し上げている、と。
歩留まりを改善するよう指示をしていたのですが、一向に改善されません。
上市への必要要件としてコスト上限を設けていましたため、これを解決しないと上市できず、そうなると来期予算や中長期計画にも影響が出てきます。
私はどうしても間に合わせたかったので、工場へ出向いて製造プロセスを確認し、どうして歩留まりが悪くなるのか徹底して確認させてもらいました。
『これ以上のコスト削減は難しいです。』
どんな作り方で何がボトルネックなのかを追求していくと、色柄が一番大きな問題と分かったのです。製品自体が少し特殊な色柄になるため、品種切り替えの際にロスが多くなるということでした。
生産サイドは顧客の要望、つまり営業の〇〇さんの強いリクエストがあったので、これは変えてはならないものだと認識して、この要件を変えようという発想がなかったのです。
直ぐに営業と共に顧客を訪問し、色柄見本を持って許容範囲について了解を貰って想定コスト、想定利益での販売にこぎつけることができました。
このようなことは机の上で考えていても見出すことはできず、人からのまた聞きでも解決案は出てきません。
『現地現物』で当事者意識で見ていくこと、また、1度きりではなく何度か繰り返して現地を確認し、仮説検証を頭の中で繰り返すことで何が課題なのかが見えてくるものだと思います。
繰り返しになりますが、現地現物のために時間をどうやって作るのかが重要になります。
時間を作るには、、、、移動しながら仕事を進める、やらないことを決める、様々な仕事の効率化を図る、手帳から過去に遡ってみて、何に時間を割いていたのかを統計的に確認、分析し、明日からの時間の使い方をコントロールしていくなど、意識的に絞りださないとなりませんね!
お読み頂きありがとうございました。