楽問のススメ⑤ 2024共通テスト日本史B
この記事は、大学入学試験共通テストに出題された問題の中から、私がもっと知りたいと思った項目をピックアップしたものです。
従って受験技術的には全く役に立たないかも知れませんので念のため。(笑)
2024年の共通テスト 日本史Bから「食」関連の話題に注目。
問題と解説は、ここを参照。
第2問(問1)は、古代の炊飯用の土器について。
甕(かめ)と甑(こしき)、どっちがどっち?
甕(かめ)は何となくわかるが、その前に、壺(つぼ)とどう違うの?
口が広いのが甕(かめ)、狭いのが壺(つぼ)らしい。
甑(こしき)というのは、現代のセイロ、つまり蒸す道具だ。
米などの穀物は古くは雑炊のように煮て、時代が下ると「おこわ」のように蒸して食べていたそうな。
甑(こしき)は蒸し器だから、底部には蒸気を通すための穴があいている。
ということで、底に穴があるほうが甑(こしき)。
古墳時代には、ポータブル竈(かまど)の上に湯をわかす甕(かめ)をセットし、その上に甑(こしき)を置いて蒸していたようだ。
第2問(問2)は、租・庸・調のうち、調の品目の一つである「塩」の問題。
「塩」は人間生活にとって必須ミネラルであるから、時代・地域にかかわらず採取・製造されてきたはずだが、納税していたのは中京地区以西が多い。
製塩に有利な土地が多いのだろう。
(下記、丘陵人の叙事詩「都にもたらされた特産物」の図参照)
第2問(問4)は、乳製品である「蘇(そ)」にまつわる出題。
蘇(そ)については、国史大辞典に以下の記述がある(そうだ)。
ただし、蘇(そ)の実態(物性)については諸説あるらしい。
いずれにしても、それは貴族専用であり、医薬品のような位置づけだったという。
蘇の中央への貢進体制については、以下の文献に詳しい。
http://jshm.or.jp/journal/28-3/352-362.pdf
奈良時代、貴族社会における蘇の需要増大とともに、諸国を6つのグループに分け、6年おきに蘇を献上するように定めた。
・畿内・志摩国・飛騨国・出羽国・佐渡国・隠岐国については「蘇」は免除
・当番にあたったグループの納期は11月(出雲国は12月)まで
・西海道(九州)は太宰府経由で納入
なので、
・近江国は献上義務のある地域
・西海道(太宰府)の納期が正月行事に間に合っていないのはルール違反
ということになる。
なお、上記文献には、史料2「小右記」のエピソードの後日談がある。