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台北郊外・金山 テレサテンの墓がある街は温泉天国だった

台北から日帰りで行ける温泉は、台北の北にある北投(ほくとう)や、原住民タイヤル族の街烏来(ウーライ)が有名です。

しかし、テレサテンの墓がある街・金山にも温泉があり、兵庫県の有馬温泉に匹敵する泉質など5種類の泉質が一度に楽しめるということは、ほとんど知られていません。

今回は、この知られざる温泉の街を紹介します。

台湾では「原住民」が正式な呼び方です。
台湾のことを紹介している記事なので、台湾式の呼び方で表記しました。

金山は鉄道が走っていないので、行くのに不便なイメージがありますが、台北駅に隣接するバスターミナルから国光客運の高速バス1815番「金青中心」行きに乗り終点で降りればいいので、意外と簡単に行けます。

5種類の泉質とは

台湾観光署の温泉紹介のページでは、下記の5種類があると書かれています。

碳酸氫鈉泉(炭酸水素ナトリウム泉)
硫磺泉(硫黄泉)
鐵磺泉(含鉄泉)
海底溫泉(海底温泉)
硫酸鹽氯化溫泉(硫酸ナトリウム泉)

 台灣觀光署 台灣好湯のページ(日本語版)

 泉質の分類の方法が日本とは違うので単純には比較できませんが、とても種類が多いことがわかります。

日本統治時代に台湾総督府が建てた温泉


町のはずれに風格のある洋館「舊金山總督溫泉」があります。
日本統治時代の昭和14(1939)年に、台湾総督府によって完成した温泉施設なので、このように呼ばれています。
日本時代当時は、新しくできた温泉なので「新館」と呼ばれていました。

戦後は軍の施設になった後廃墟となっていましたが、修復して2000年に営業を開始しました。

1階の左側は小さな資料室になっていて、無料で見学できます。

台湾の温泉は水着を着て入る男女共用の温泉プール形式が多いのですが、ここの4階は、男女別の裸で入るスタイルです。男湯からは海が見えます。(女湯は入ったことがないので、わかりません!)

 海を眺めながらゆったりと温泉に入っていると、外国にいることを忘れてしまいそうです。

レトロな雰囲気のロビー


1階にある故事館(資料室)


台湾総督の説明があります


温泉の説明


泉質は、中国語で「酸性含鹽 鐵質石膏泉」と書かれています。
日本式にいうと「含鉄-カルシウム-硫酸塩泉」になるでしょうか。
(私は温泉ソムリエを持っているのですが、泉質名の表記方法をすっかり忘れてしまいました)
海水も含まれているので、少ししょっぱく感じます。

大浴場の料金は、平日330元、休日380元です(2023年11月現在)

台湾の温泉は日本と違い、湯上がりに一休みできる場所がないので、入浴前に心の準備をしておいてください(笑)

町の中心部にある無料の「旧館」

旧館の建物

金山で最もにぎやかな場所、金包里老街の裏側に金包里公共浴場があります。ここは「新館」ができる前からあるので「旧館」と呼ばれています。

建物は改装されているので、歴史があるようには見えませんね。
私も地元の人に教えてもらって、初めて知りました。

無料で誰でも利用できますが、開館時間は朝と夕方のみです。

 

兵庫県の有馬温泉に近い泉質の足湯

珍しい茶色の温泉で、黄金之湯と呼ばれています

老街から海の方へ15分ほど歩いて行ったところの「磺港」に足湯があります。
足湯の浴槽を見ると、泥が入っていると勘違いしてしまうほどの茶色で、足元がまったく見えません。温泉の色から「黄金之湯」と呼ばれています。
日本でもここまで茶色の温泉は、あまりないのではないでしょうか。

2017年に政府の関連団体「台灣溫泉研究發達中心」が泉質を調べたところ、鉄分が豊富で兵庫県の有馬温泉に近い泉質であることがわかりました。

総鉄イオンが日本では20mg以上、台湾では10mg以上含まれている場合、鉄分を含む温泉と呼んでいます。
この温泉は総鉄イオンが43mgもあり、日本の基準の2倍以上の鉄分が含まれています。

足湯の浴槽は3つあり、それぞれ温度が異なります。

においがほとんどないので、見ただけでは温泉とは感じませんが、足を入れてしばらくするととても気持ちよくなり、温泉に入っていることを実感できます。

入る前に足を洗うのが台湾ルールです。地元のルールを守って足湯を楽しんでください。

3種類の温度の浴槽があります
足湯につかる前に足を洗うのが台湾ルールです。
鉄分が多いので、温泉からあがった後も足を洗うのをおすすめします。


この付近には、無料の公共浴室がたくさんあります


路地裏の隠れ家で食べる漁村料理

路地裏の細い道をくねくね曲がって進んでいくと、質素だけどどことなくおしゃれな食堂やカフェが並んでいるところに出ます。

そのうちの一軒「阿嬤家漁家料理」に入ってみました。
阿嬤とは、台湾語で「おばあちゃん」という意味です。店名のとおりスタッフはみんな60歳以上です。

料理は、台北のような都会で食べるものと違い豪華さはありませんが、さっぱりとした味付けで、「漁村に住んでいるおばあちゃんの家で食べる家庭料理」といったイメージです。

阿嬤家漁家料理 古い建物をリノベーションして使っています


料理の一例


料理の一例


オシャレなカフェ


有名な老街

老街の様子 休日はお祭りのようににぎわいます。
(コロナ禍の2020年4月に撮影したので、人があまりいません)

金山で最も有名な場所は、金包里老街です。毎日お祭りのようににぎわっています。

道の両側には金山の名物タロイモを使ったスイーツなど、B級グルメのお店もたくさん並んでいます。ここでは食べながら歩いても行儀が悪いと怒られることはありません。おいしいグルメを思いっきり楽しんでください。

老街の裏には川が流れています。清の時代ここは運河でした。商品の運搬に便利なように店の裏側に船を泊めることができました。残念ながら当時のおもかげはほとんど残っていません。
復元すれば、より魅力的な観光地になりそうです。

老街の裏に流れる川 昔は運河で船が通っていました。

老街の隣には伝統的な市場があります。老街は観光客向けですが、市場は地元の人が買いに来る場所です。地元の人になった気分で、市場をのぞいてみてはいかがでしょうか。
お昼すぎには閉店してしまうので午前中がおススメです。

伝統市場の入口

台北からすぐに行ける場所です。ぜひ珍しい温泉を楽しんでみてください。

 今回は、「金山漫遊」という地元の人が日本語で説明するツアーに参加した内容をもとに、自分自身で行ったときに印象に残ったこともまじえて記事にしました。

 金山漫遊ホームページ(中国語のみ)

 

参考資料(本文で紹介したもの以外)
新北市金山區公所 磺港公共浴室の説明(中国語のみ)
・時空を超える旅 金山と萬里の懐かしの旅物語(日本語版)
       交通局観光局北海岸及び観音山国家風景区管理処 発行 

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