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採用広報が上手くいかない理由と改善方法の話。

こんにちは、採用コピーライターのオヤマダです。

近年、労働人口の減少により求職者有利な売り手市場になっており、また、求人サイトの乱立やその他人材系サービスの台頭により情報量が急増しており、これまでのような求人情報を媒体に掲載するような「待ち」の採用手法では採用が難しくなってきています。

そのような流れから、自社で働くことのメリットや働いた時のイメージを求職者に伝え、自社を選択してもらう「理由」を作り・伝えていく採用広報が注目されているのはご存じのとおりです。

ところが、そんな採用広報が上手くっていないという話をよく聞きます。そして、どうすれば状況が改善するか見当もつかないというお悩みもよく聞きます。そこで今回は、採用広報が上手くいかない理由と改善方法の話をさせていただきます。
 

「手段」から考えていない?

採用広報が上手くいっていない採用担当者さんの話を聞いていてよくあるのは、「手段から考えている」ということです。

twitter、instagram、TikTok、YouTube、Wantedly、note…。
なんでもいいのですが、「何を発信していくかは特に決まっていないのですが、とりあえず初めてみることにしましたー☆」というノリの採用広報は失敗確率が高いです。

なぜか?

それは、採用広報で大切なのは「何を伝えるか」だから。内容よりも手段から始めていることが間違いだからです。

「何を伝えるか」が決まっていないのに「手段」から考えていくというのは、富士山の山頂に行かなければならないのに「電車で行く」と決めているようなもの。富士山の山頂まではJR私鉄各線の路線がありませんので、たどり着けないのは当たり前です。

富士山の山頂に登りたいのなら、「自宅からどこまでは電車に行き、そこから登山道の入り口まではバスを使い、登山のために必要な道具を忘れずに持っていく」といった計画を立てなければなりません。

採用広報に置き換えると、

「富士山の山頂に行くという目的を決めること」
「富士山の山頂に行ける方法を考えること」
「その方法で富士山の山頂を目指してみる」

のセットが、採用広報担当者がやらなければならない仕事というわけです。

twitter、instagram、TikTok、YouTube、Wantedly、noteといったものをとりあえずはじめてみるというスタートが間違っていることがお分かりいただけたと思います。

もちろん、将来使うことになるかもしれないのでアカウントを開設するのはいいのですが、アカウントを目的に合わせて機能させるためにはどんなフォロワーを集められるかがキモであり、ここでも「何を伝えるか」の目的が大切になってきます。
 

「採用広報」はどう考えていくのか

「採用広報の何から手をつけていけばいいのか分からない」という話をよく聞きます。僕はいつもこのように答えています。「採用課題の抽出から考えてみたほうがいい」と。

採用課題とは、人材を獲得するための採用活動における課題のことです。採用活動の効率を低下させてしまう要因を指しており、採用活動が上手くいっていない場合に改善したいポイントですね。採用課題の抽出は、起きている事実から考えられる仮説から導き出します。

例えば、

【事実①】求人広告からの応募数が少ない
  ⇒【仮説①】求人広告が見られていないのでは?
  ⇒【仮説②】何をやっている会社か伝わっていないのでは?
  ⇒【仮説③】何をする仕事なのか伝わっていないのでは?
  ⇒【仮説④】自分が応募できると思われにくいのでは?

「【事実①】求人広告からの応募数が少ない」の原因として【仮説①~④】が考えられるわけで、これからが本当にそうなのか検証を行ないます。

検証はできるものとできないものがあります。【仮説②~④】は実際に応募してきた求職者に話を聞くことである程度分かりますが、【仮説①】に関しては応募してこない人の気持ちは拾えないので仮説のまま進めて考えるしかありません。

で、

【採用課題①】求人広告が見られていない
【採用課題②】何をやっている会社か伝わっていない
【採用課題③】何をする仕事なのか伝わっていない
【採用課題④】自分が応募できると思われにくい

上記のような採用課題が抽出されます。

これらはフツーに求人広告を出しているだけではできていないことによって起きている事象なので、何かしらのテコ入れすることによって課題の解決を狙うことが、採用広報担当者がやるべき仕事になります。
 

「採用広報」の仕事の実例

前章の【採用課題①~④】を解決するために僕がやっていることをすべて紹介すると、この記事の文字数がとんでもないことになってしまうので、【採用課題③~④】の解決策をご紹介します。

【採用課題③】何をする仕事なのか伝わっていない
【採用課題④】自分が応募できると思われにくい

とある水道工事会社さんの場合です。

水道工事の作業員募集だったのですが、「職種名を聞いただけで、特殊な専門知識や資格が必要な仕事というイメージが持たれてしまう」ということが応募阻害要因と仮説を立てました。でも実際は、そんなに敷居が高い仕事ではありません。実際と印象にギャップがあるわけです。

このギャップを埋めるために

・noteによる仕事紹介記事
・YouTubeによる仕事紹介動画

を考案しました。

noteによる仕事紹介記事は、求人広告では伝えきれない水道工事の作業員の仕事内容を画像付きでもう少し分かりやすく伝えたもの。

YouTubeによる仕事紹介動画は、その会社の事務スタッフさんがホームセンターに普通に売っているモンキーレンチを使って、実際に家庭用の蛇口を取ってみてパッキンを交換するというもの。「この動画を見て、自分でもできると思った人は素養があります!」というメッセージ付き。

このnoteによる仕事紹介記事と、YouTubeによる仕事紹介動画のリンクを求人広告に貼ったところ、

・応募数が増えた
・応募者から「仕事内容と自分に向いているかが分かりやすかった」というコメントをいただけた

という結果を出すことができました。

これは地味な仕事でしたが、このような小さな仕事を積み重ねていくことで、採用広報という仕事は成果を上げていけるのだと僕は思います。
 

さいごに

話は以上です。
今回の記事で僕が伝えたかったことは、

①採用広報は、手段よりも「何を伝えるか」が大事
②伝えるべきことが、「最大限伝わる手段」を選ぶ
③採用課題を軸に考えていくと、成果が出やすい

ということでした。

この記事が、採用広報のお役に立てれば幸いです。御社の採用活動が上手くいくことを願っております。

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