体力はベースとして、やっぱり技術が大事だよなと思う話。
「心」「技」「体」その全てがバランス良く高い状態を理想に掲げる、「心技体」という言葉をスポーツの現場ではよく耳にします。
どの要素も非常に大切で欠かすことのできないものなのですが、最も重要だと思う要素は、個人の価値観や考え方によって意見が分かれるところであります。
勝負事おいては精神力が一番大事だと考える人もいれば、フィジカルが上等なものであれば精神や技術を凌駕することができるという考え方もあると思います。
僕の最近の考えは、体力はベースとしてやっぱり技術が一番大事だなと思っています。
この類の話はコンディションや体験によって考え方が変わる事があるので、今現在そう感じている理由をつらつらと記しておきたいと思います。
①力まない技術
スポーツにおいてパワーやフィジカルといった体力の要素が重要であることは言うまでもなく、スポーツ初心者がまず最初に取り掛かるべきなのは体力のベースを作ることで、体力的な弱点は早く埋める必要があります。
スポーツは体力がベースですが、ある程度の実力が着くと今度はいかに力まずにやれるかが鍵になってくると思います。
わかりやすい例で言うと、リフティングをするときに体全体が力んでいてはできないし、百回、千回、一万回と上のレベルに到達できる人ほど体の力が抜けていると思います。
パワーだけで勝てるのであればコンタクトスポーツの多くはボディビルダーのように力のある選手が勝つはずですが、一昨日の井上尚弥選手のボクシングを見ていても、力を入れる瞬間はインパクトの一瞬で、多くの場面ではリラックスしながらフットワークをしています。
井上尚弥選手も当然パワーはすごいものがあると思いますが、それ以上にパワーを適材適所で発揮する技術がある様に見えます。
それは全てに共通することだと思っていて、レスリングをしていて最近すごく感じることです。
力を抜いてやるレスリングが1番楽しいし、最も練習になりますが、問題は力を抜いてレスリングができるかどうかで、動きやキメ、方向が正しくないと力が入ってしまうんですよね。
必要のないところで力んでしまうと言うことはそれだけ不要なエネルギーを漏電させていることになりますし、試合などの緊張感のある状態ではなおさら起こりやすい状態になります。
これが試合で思うようなパフォーマンスを出せなかったり、練習以上にバテてしまう要因の一つだと思うので、練習の段階から必要のない力みを抜く技術、正しい動きの習得が必要だと思っています。
もちろん、ベースとしての体力の向上は日々やっていかなければならないし、体力レベルに差がありすぎたら「技術」や「力み」以前の話になりますので体力レベルはそれなりにあるという前提で技術が大事だなと思います。
②体力は単純だけど技術はそうじゃない
体力は割と単純でやればやるだけついてくるし、走れば走るだけ一定のレベルまでは走れるようになります。筋トレや勉強を頑張ったことのある人ならわかると思いますが、短期的には伸び悩むことはあっても長期的に継続していれば間違いなく向上します。
それに対して技術は体力ほど単純ではない気がします。
技術の向上には段階があると思っていて、まずは量をこなして体に動きを覚えさせる段階です。
この段階は体力トレーニングと同じで量をこなして積み上げていくしかありません。頭で理解するだけでなく体に馴染ませるまでには時間と根気が必要ですが継続してやっていれば体力と同じようにそれなりにできるようになってきます。
技術が体力と違って単純ではないのは次の段階で、習得した技術を適材適所で正しく使えるように頭で整理し、最適な判断を瞬時に引き出してくる必要があります。
たとえ同じ技であっても置かれた状況の微妙な違いであったり、相手のリーチやパワーによっても何が最適か変わってくるので、ある程度パターンを持っておくことと最適解を瞬時に導き出す判断力が必要です。
これらを体力を鍛えて強引に持っていくという手もなくはないのですが、体力トレーニングはほぼ全員がやっているので先天的に段違いなパワーを持っていないとなかなか強みにはなりにくいというのが僕の印象です。
時間がかかるし量をこなさないといけないし、整理して最適解を引き出してこないといけないし、センスも問われる要素であるが故に重要だし、単純でないからこそ状態の良い時は圧倒的な強みになると思います。
僕の好きな言葉に「センスは違和感から生まれる」というものがあります。
日々のスパーリングや技術練習の中で、なんかこれ違うなと思うところにセンスが形成されていくし、成長のチャンスがあると思います。
これは競技だけではなく、日々の生活でも同じだと思うので、常に何かに気がつけるような心の余裕と、整いを日頃から持ち合わせていたいですね。
③精神をコントロールするのも技術の一部
「心」や「メンタル」といった大きな概念がありますが、「心」に指示を出しているのは自分の「脳」です。
要するに「メンタル」というよりは「考え方」で、考え方を正しく持っていればメンタルはコントロールできるものとして扱う事ができると思います。
何か悲観的なことがあったとして、ポジティブに捉える性格かどうかではなく、ポジティブに考えられる「考え方」を持ち合わせているかや、ポジティブな視点を探そうとする頭になっているかどうかが重要です。
これは先天的な性格の要素が大きく占める領域ではあると思うのですが、考え方次第で状況や視点は変えられると理解できていれば、メンタルはコントロールすることができるという視座に立てるし、状況を自分でコントロールできます。
「心」をコントロールできるものだとするのであれば、「心」をコントロールするのも技術の一部です。
「心」のコントロールを技術の一部として認識し、普段から自分を客観視し、不安や焦りに支配せれないような「考え方」を自分の中で構築していきたいです。
というわけで。
冒頭でも書きましたが、この類の話は考え方が変化する可能性があるので2022の年末の考えをここに記しておきます。
天皇杯まで残りわずか。
2022の終わりを良いものにできる様に、最後まで良い準備を心がけてやっていきます。
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