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【手足はお腹から生えている】読み終わったら誰かに言いたくなる!その理由を解説

<アウターマッスル>
体の外側にあって、大きな力を生み出す筋肉。

<インナーマッスル>
アウターマッスルの内側にあって、関節を安定させ細かい動きや素早い動きを生み出す筋肉。



問題!

【バンザイする時に1番最初に働き出すのはどの筋肉でしょうか?】

その筋肉は上の図の中にもある。

腕を挙げるときに支点となるのは肩だ。

でも、肩の筋肉ではない。

正解は?

お腹のインナーマッスル
腹横筋だ。

よく見るとコルセットみたいに見えるが、
実際にコルセットの役割を果たす大事な筋肉だ。

この腹横筋は、「腕を挙げる動作に先行して働き始める」といわれている。

それを発見した伝説的研究報告がある。

【知っておくべき伝説的研究報告】

オーストラリア クイーンズランド大学の ポール W.ホッジス を中心とした研究チームは、
1997年に「腹横筋のフィードフォワード収縮は腕の動きに方向には影響されない」という論文を発表した。

タイトルからは、
ちょっと何を言っているのかわからないが、
この研究の中で計測した結果が面白い。

バンザイするとき、
腕を上にあげないといけない。

腕をあげる時の支点は肩だ。

だから、肩の筋肉である三角筋が主に働く。

図解YOGAアナトミー骨格筋編2011.P172より図を引用

当然、腕を上げるときに最初に働くのは肩の筋肉だと思う。

しかし、
ホッジス氏たちが、計測した結果はこうだった。

Hodgesら1997.P364より引用

上の図は、いろんな上げ方で腕を上げた時の、筋肉の活動を計測したものだ。

縦に引いた実線が三角筋の働きはじめを表し、点線が腹横筋の働きはじめを表している。

横軸は時間を表していて、右に行くほど時間が経過している。

よ~く図を見てみると、腕を上げるために働く肩の三角筋よりも、コルセットとして働くお腹の腹横筋の方が先に働き始めることがわかる。

だから、バンザイする時に1番最初に働く筋肉は、腹横筋だということも言える。

この結果を基に、
私たち理学療法士が肩のリハビリをする時には、
必ず腹筋のトレーニングを行っている。

さらにホッジス氏たちは、脚を動かす時にも同様の結果が得られたことを報告している。

ただし、
腰痛持ちの人が四肢を動かした時の腹横筋は、四肢の筋肉よりも遅れて働きだすことが分かっているので、指導するときには注意が必要だ。

【手足はお腹から生えている】

手足を動かす時に最初にはたらくのが、お腹の腹横筋だということは、

「手足はお腹から生えている」と思った方がいいのかもしれない。

部活動をやってきた人たちは、監督やコーチから

「手投げになってるぞ」とか
「手打ちになってるぞ」とか
「腰を入れろ」とか

言われてきたことだろう。

つまりは、「体はお腹から動かせ」ということだ。

太極拳の先生は、もっとスゴイことを言う。

陳沛山老師の太極拳「超」入門2012.P156より

「丹田から手を上げなさい。」

丹田というのは、おへそから指4本分くらい下のお腹のことだ。
つまりは、「お腹から手を上げろ」ということだ。

結局私たちは、経験的に腰やお腹を土台に体を動かした方がいいことを知っていたし、
太極拳をはじめとする東洋の武術家たちは、腹横筋辺りが最初に働きだすことを知っていたのだ。

そして、
これらの「お腹から動かせ理論」が正しいということを証明したのが、ホッジス氏たちということだ。

ホッジス氏が証明してくれたのだから、もう怖くはない!

私たちは自信を持って言っていいのだ。

「手足はお腹からうごかせ!」
いや
「手足はお腹から生えている!」

決して痛い人とは思われないだろう。
(※自己責任でお願いします)

インナーマッスルの世界はつづく。


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