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私の中の西田敏行
大好きな俳優、西田敏行。
はじめて生で見たのは、1999年大学4年生の春だった。新宿の紀伊国屋ホールで行われた西田敏行主演舞台「リセット」を見に行った時だ。
青年座の舞台だった。
当時青年座に演出家として所属していた友達のツテでチケットを2枚入手できた。
女性を誘うための口実にしたのだ。
彼女はチェロを弾き、映画好きで、1人でインド旅行するような女性だった。演劇も好きだった。
ドキドキデートのはずだったのだが。
舞台が幕を開けると、スグに西田敏行の圧倒的な歌唱力と演技に引き込まれてしまった。
隣にいる女性の存在を忘れるくらいだった。
一線級の俳優の力はこんなにもスゴイのかと思えた。
案の定、この恋は実らなかった。
次に見たのは2012年。
東日本大震災の被害を受けて1年が経とうとしていた福島でのことだった。
スペシャルオリンピックス日本 冬季ナショナルゲームが福島で開催されてたのだ。
私は福岡選手団のスノーボード・ヘッドコーチとして参加してた。
その開会式ゲストとして、福島県出身の西田敏行が来ていたのだ。
ゲストの挨拶が始まる。
その挨拶の中で、私の心をとらえた言葉があった。
「スペシャルオリンピックスみなさんありがとう。ここ福島は、もう被災地福島ではありません。今日からは開催地福島です!」
と高らかに宣言したのだ。
本当は開催すら危ぶまれた大会を、福島のみなさんの努力によって開催できるようになった。
そこには被災地としての苦労があり、それを乗り越えてきた誇りを力強く表現された素晴らしいスピーチだった。
こんな思い出を、思い出した今日でした。
西田敏行さん、ありがとう。
そして、ご冥福をお祈り申し上げます。