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ジュラシック・パークは、世界一贅沢な前奏だ。【映画評論】

 『ジュラシック・パーク』を観ました。はい、今更です。自分でも何故このタイミングで観ることにしたのか、不思議でなりません。

 正直に言って、内容はそれほど完成度が高いとは思いませんでした。しかし、当時のCG技術からして、あの恐竜の映像は驚くべきものだったとは想像できます。また、琥珀の中に埋まったアリから恐竜のDNAを採取するといった設定や人間が自然を支配しようとする西洋的な考え方に対して警鐘を鳴らすメッセージ性には、人工知能やバイオテクノロジーの進化に注目が集まる現代にも通じるものがあり考えさせられました。

 設定やストーリーについて語りたいことはありますが、今回は音楽について書きたいと思います。

 ジュラシック・パークのテーマは、ジョン・ウィリアムズという方が作曲しています。この方は『スター・ウォーズ』や『E.T.』『ハリー・ポッター』などの誰しもが一度は聞いたことのある曲を生み出し、映画音楽界のレジェンドと言われています。

 実は、僕が『ジュラシック・パーク』を観ようと思ったきっかけが、このジョン・ウィリアムズだったのです。僕は元々、『ホーム・アローン』の"Somewhere in My Memory"という曲が好きで、そこから彼の存在を知りました。

 そして、彼がつくった曲を調べていくうちに、『ジュラシック・パーク』のテーマに辿り着きました。それからというもの、YouTubeで聴くことが日課になりました。ここまでくると、『ジュラシック・パーク』を観ない理由がありません。それでも、観たい映画が山のようにあったので、一ヶ月ほど観ることはありませんでした。

 きっかけというのはどこに転がっているか分かりません。ある日、朝起きた瞬間に「今日しかない」と思いました。何故かは自分でもよく分かりません。とにかく、こうして僕は人生初の『ジュラシック・パーク』を観ることになりました。

 二時間ほどして、物語が結末を迎えた後、今まで何度も聞いたはずのテーマが、別人かと思うくらいに違う顔を見せました。奥行きや臨場感、ワクワク感。恐竜の恐怖とロマン。全てにおいて、これまでで最高の体験でした。最後のこの曲を聴くためだけに観に行きたいくらいに満足感があったのです。

 このとき、僕は確信しました。『ジュラシック・パーク』とは、テーマを聞かせるための、スピルバーグによる、二時間にわたる大いなる前奏なのだと。

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