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永青文庫「信長の手紙」展&出光美術館「物、ものを呼ぶ」展レポート

前のnoteで田中一村展のレポートを書きましたが、一村展の翌日。
貴重な上京の機会なので、前々から行きたかった永青文庫の「信長の手紙」展と出光美術館の「物、ものを呼ぶ」展に行って参りました。

*「物、ものを呼ぶ」展は10月20日㈰で会期終了しました。


①「信長の手紙 ー珠玉の60通大公開ー」展 @永青文庫
九州は肥後・細川家の歴史資料や美術品などを管理保存・研究する施設である永青文庫。平安時代の古典語を勉強していた学生の頃、永青文庫に収蔵された古典籍「永青文庫本」はゼミなどで使用する古典籍の1つだったので「永青文庫」という名称には馴染みがありました。
九州在住の私としては、熊本県立美術館にある「細川コレクション常設展示室」でも美術品を目にしたことがあります。

本家本元の永青文庫は文京区の目白台の、閑静な住宅街の一画にあり、現在の建物は旧細川侯爵家の家政所(事務所)として建てられたものだそうです。


鬱蒼と木の生い茂る閑静な場所です。


この永青文庫には細川家伝来の信長の手紙59通(重要文化財)があり、かつ、2022年に新たに発見された信長の手紙1通を合せた60通が今回展示されることになり、大変注目が集まっていました。


*YouTubeより、新発見の信長の手紙についての熊本朝日放送のニュース。


小雨降る平日の朝にもかかわらず、あまり広くない展示室にはすでに少なくない来館者が!地元の古文書の会の方々が団体でいらしていたようで、他にも(いかにも)歴史好きそうなオジサマ方や若い男性など数名が、熱心に展示を見入っていました。
(その中で食い入るように展示を見るオカンは私・・笑)


信長ほどの人物になると手紙はほとんど右筆(武家の秘書役を行う文官)が書くのですが、60通の手紙の内1通だけ信長の自筆の手紙があります。天正5年(1577)10月2日に書かれた与一郎(細川忠興)あての感状(戦功のあった者に対して主家や上官が与える賞状)で、側近の堀秀政の添状に「御自筆の御書を成され候」とあり信長の自筆であることが判明しています。
信長の字は、墨の濃淡こそあれ強弱はつけず、力強くさらさらと書かれたように思いました。信長45才の頃で、まさに脂の乗り切った感じです。


展覧会フライヤー。バックに使われているのが信長自筆感状です。



じっくり文字を読みながら見るには時間も足りないため『織田信長文書の世界 永青文庫珠玉の60通』という図録を購入。古文書の勉強にゆっくり読んでみたいと思います。


②「物、ものを呼ぶ -伴大納言絵巻から若冲へ」展 @出光美術館
美術館遠征のラストは丸の内の帝劇ビル9階にある出光美術館へ。初訪問でしたが、出光美術館自体がビルの建て替えに伴い今年12月をもって暫く休館するそうです。休館前にコレクションの全貌を見せるという展示でした。
(本展は2024年10月20日をもって終了しました。)

出光美術館前。品のいいオジサマが「美術館は9階です。」
とエレベーターを案内下さいました。


撮影コーナー。


伊藤若冲と『伴大納言絵巻』が目当てでしたが、それ以上に良かったのは酒井抱一の『十二ヵ月花鳥図』と古筆切!琳派は好きなので、酒井抱一の花鳥画はどれもよかったです。対して若冲の『鳥獣花木図屏風』は、数年前にプライス財団から購入されたときは話題になりましたが、「升目書き」と呼ばれる碁盤の目のように画面を分割して描き出す手法が用いられており、若冲らしくないといえば全く若冲らしくないなぁ、と。
あと、昔書道をやってたこともあり仮名文字が好きなので、仮名の名品である「高野切」「石山切」、そして和歌好きとしては外せない”佐竹本三十六歌仙絵”の「柿本人麿」「僧正遍照」が展示されていたのは良かったです。
食い入るように見てしまい、まさに眼福!のひと時でありました。

*出光美術館サイトより「高野切第一種」


*同サイトより「佐竹本三十六歌仙絵 柿本人麿」


*本展は撮影不可でしたが、紹介動画がYouTubeにありましたので貼ります。短いのでよろしければご覧ください。


ちょうど娘に会う用事もあり、実現した東京美術館遠征。今回は日本美術ばかりになりましたが、全て大満足な展示でした。

では、最後までお読みいただきましてありがとうございました。


*今回の見出し画像は「信長の手紙」に合わせ、「みんなのフォトギャラリー」より龍星光さんの作品・タイトル「流行り物やロングヒットに手を出してみると、たいてい面白い」を使わせていただきました。ありがとうございました。


*永青文庫の公式サイトはこちら。


*出光美術館の公式サイトはこちら。


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