人生を救う「コントロールできる感」
1.仕事を変えて気づいた大切なこと
私は今オンライン診療を専門にするクリニックを経営する「開業医」ですが、
ちょっと前までは病院に勤める「勤務医」でした。いわゆる「会社員」のようなものですね。
「勤務医」にも「会社員」にも共通して言えるのは、一定のスケジュールに従い働く必要がある、ということです。
これは色々なことを考えなくてもよいので楽と言えば楽なのですが、何か臨時のイベントが入る時などに融通を効かせづらいというデメリットがあります。
例えば、こどもが熱を出したような時に、休みたいけれど自分が休むことで仕事に穴を空けるわけにはいかなかったり、ですね。
その結果、どうなるかと言えば、多くの人は「仕事を休まざるを得ないほど事態が悪化してからようやく休む」ということになってしまうのです。
しかもその時だけならまだしも、そういう環境が半永久的に続いてしまうというのですから、無理をせざるを得ないという労働環境が、ある意味で働く世代の病気を生み出しているという側面は確実にあるでしょう。
このような環境は肉体的な負担も勿論ですが、精神的にもかなりストレスを感じ続ける環境だと言えるのではないかと私は思うのです。
というのも私が病気に根本原因として重要視している「ストレス」というものは、一言で言えば「思い通りにならない状態」だと言いました。
今、私がオンライン診療医という特殊な開業医となって感じるのは、
「仕事の忙しさを自由にコントロールできる」ということの素晴らしさです。
勿論、オンライン診療の仕事が現時点でそれほど忙しくて首が回らないわけではありません。
しかし私はもしも忙しくなった場合、自分の診療枠を少なくするなどしてコントロールすることができるのです。
あるいは今忙しくないから体力に余裕があるという場合でも、仕事を増やそうと思えばいくらでも増やせる環境にあるわけです。
もっと言えば、仕事ではなく今このように文章を書くという時間に当てることもできますし、
大きな旅行に行こうと思ったら、診療枠を旅行期間中だけ閉じて、旅行の時間を捻出することもできます。
要するに仕事における「思い通りにならない状態」をある程度「コントロールすることができる」環境を手に入れている、ということなのです。
2.価値観を変えて「コントロールできる感」を手に入れる
この「コントロールできる感」は何事においても非常に重要です。
例えば受験勉強において、テストで良い点数を取ることだけが勝利、良い大学に入ることだけが成功という価値観の中で生きていると、
テストで良い点が取れなかったり、受験に不合格となってしまうことは「思い通りにならない状態」であり、到底自分をコントロールすることが出来ておらずストレスを感じ続けてしまうわけですが、
「自分の出来る範囲で勉強を吸収し、勉強以外にも学ぶべきことはたくさんある」「失敗したとしても、それは次の成功への糧となり、なぜ失敗したのか、どうすれば失敗しないように出来るのか、などを考えるための貴重な経験を得ることができる」
そのような価値観を持っている人にとってみれば、テストで良い点が取れない出来事や受験に不合格となった出来事はむしろ自分をさらなる高みへと育てていく必要なステップとなります。
つまりそれはどっちに転んでも何かしらの利が得られるという状況であり、価値観の如何によって「思い通りにならない状態」が「コントロールできる状態」に変わるということです。
このような価値観の転換を、「屁理屈」だとか「ただの負け惜しみだ」などと解釈してしまうのはもったいないですね。
むしろ「上手に世の中を生きるための処世術」だと思ってもらいたいところです。
そしてここで言う「上手に世の中を生きる」ということの中核にある要素は、
「心と身体がともに健康な状態で」という意味です。
3.「思い通りにならない状態」を「コントロールする」ための方法
だから今、何かしら「思い通りにならない状態」で悩んでいる人に対して送りたいアドバイスとして、
その「思い通りにならない状態」を生み出している価値観の軸を少しずらす、ということをおすすめしたいですね。
仕事が忙しくて心身ともに疲れてしまうのが悩みやストレスとなっているという人は、
私のように仕事を自分でコントロールできる状態にするために自分で仕事を作るというのも一つの具体的なやり方の一つだと思います。
そんなこと無理だという人は、今の仕事の中でコントロールできる部分を増やしていくという方向のアプローチもあると思います。
それが無理だという人は、やはり仕事自体を見直した方がいいのかもしれませんよ。
仕事の場合は何十年も、下手したら一生自分の心身に影響を与えうる環境ですからね、健康に生きたいのであれば避けては通れない課題です。
自分の人生をコントロールするために多様な価値観を試していくというアプローチはなかなかいい作戦だと私は思いますよ。
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