見出し画像

【地域のいいところを知る 体験するプログラム 4】多賀町の植物と食べ物

 地域のいいところを知る、体験するプログラムの4は、多賀町の植物と食べ物についてです。多賀植物観察の会 森小夜子さんにお話しいただきました。 

 滋賀県多賀町では令和5年度から3年計画で、町内の歴史文化自然の調査を実施しています。
 これからのまちづくりやひとづくりのために、地域の特色を調査・記録して、地域の課題とも関係づけ、新たな価値を創出します。

森さんは、多賀町富之尾のご出身です。昔の食や植物については、森さんの祖母の年代、110歳くらいの人が知っている知恵ですが・・・と。


多賀町の植物と食べ物

 これは、大瀧神社の社務所横の写真です。ヤマナシの木があるところです。今年はヤマナシが不作でしたが。
 アザミ、ミツバ、クサソテツが写っています。ぱっと写真を撮った範囲だけでも食べられる植物がたくさんあります。ここには、山奥にもある植物があります。大瀧神社周辺では、82種野草が確認されています。ぱっと見て目に入る雑草はほとんど食べられます。しかし、マムシグサ、ムラサキケマンは食べられません。

 YOBISSHIプロジェクトが、多賀町で食べられていた山菜などの植物をよく調べてくれています。そこに出てきた野草をここに書いてみました。

イタドリ

 イタドリ煮物レシピがありますが、高知県でも食べられています。

 高知市のひろめ市場では、イタドリを炒め物にしています。

 ゴマが入っていて油でいためています。
 イタドリは、仙台に行ってもありました。

 長浜市木之本町金居原のイタドリは、塩漬けして保存したものを戻して調理しています。

スイバ・ギシギシ

 イタドリとよく似たのが、スイバとギシギシ。
子どもの頃は、イタドリはおやつで、イタドリが無いシーズンはスイバの茎を食べていました。これを料理に使うことはなかったです。

山菜豊富な犬上川土手

 富之尾や楢崎ではイタドリはフキが出ました。食べるものがあった時代なので、富之尾ではイタドリを調理して食べることはなかったです。

イタドリの花

 大君ケ畑(おじがはた)で撮った、イタドリのたけた写真。(たけるは、盛りの時期をすぎたこと。)
 イタドリは、雄花と雌花があり、花が終わると雌花に種が付きます。

一ノ瀬の谷水

 富之尾はイタドリを食べませんでした。イタドリを調理するには谷水で数日晒さないと食べられません。谷水が豊富な一ノ瀬は、各家庭にホースで山の谷水が運ばれています。谷水が自由に使えるところでないと、晒せません。富之尾は井戸水でした。井戸水では、イタドリの水替えをするのが大変です。

利用価値大ワラビ

 ワラビが伸びたものが右写真。葉が伸びる前のものを採って食べます。ワラビは最も利用した山菜で、収穫できる期間も長く、夏を越えても出ます。
 こぬか(糠)と塩で保存食にします。
 根っこはわらび餅の原料です。今スーパーで売っているのは、本物のワラビ粉が使われているものは少なく、ほとんどが馬鈴薯デンプンです。

ゼンマイ
 ゼンマイは出てもあまり採りませんでした。食べられるようになるまでの処理が大変。
 オトコゼンマイ、オナゴゼンマイがあって、オナゴゼンマイは綿毛をとって、灰をまぶして、ムシロの上で揉んで保存するまでの行程が非常に面倒くさい。

フキ

 雄株雌株があります。雌花と雄花です。雄花の方は枯れます。雌花は綿毛になって散ります。
 フキノトウは、家の畑に植えていました。トウ味噌などにしました。

ツクシ・スギナ

 ゼンマイように緑色が光合成します。スギナ茶をうっていますが、昔スギナ茶にした覚えはないです。
 ハカマを取らんと食感がごわごわするので、掃除が大変です。つくしは、茎の短い若いのが美味しいです。 

滋賀県立大学 野草を食べる会

 つくし、よもぎ、スミレ、たんぽぽ、スギナ、ヒメオドリコソウなどをキャンパスで採ってきます。野草は、だいたい天ぷらにすると食べられます。

クサソテツ(コゴミ)

 兵庫県の旅館で出た料理の中にコゴミがありました。茹でてマヨネーズが添えられています。

長野県ではミョウガとクサソテツが和えられています。

 大君ケ畑で撮った写真にクサソテツとエゴマなどが生えていますが、これらは、シカが食べません。

ワサビ

 ワサビは昔たくさん自生していました。鹿が食べてしまう以前に、人間が乱獲して激減しています。ワサビはお砂糖を入れてさっとゆでます。茹でたものを一日置くと辛みが出ます。

タケノコ・山椒

 タケノコと山椒を炊いたもの。同じ時期に出ます。山椒は冷凍保存にしておきます。

ズイキ

 赤いズイキは食べられます。二杯酢でいただきます。

エコキャンパスプロジェクト

 滋賀県立大学の学生と野草を採ってきて食べます。中には毒草もあるので、すべてチェックします。

ノビル、フキ、タンポポ、スミレ、カワラハハコ、セイタカアワダチソウ、ノヂシャ、スイバ、クローバーなどがあります。

 県立大学の水路には、セリがたくさん自生しているので、セリと鶏肉ですき焼をします。これがメインのお腹がふくれる料理になります。

ウド

 ヤマウドの花。ヤツデの仲間です。

あけび

 バナナみたいな味がします。皮を天ぷらにします。また、皮を乾燥させて、目を洗う時の目の薬にしたそうです。

イチイ

 庭木になった実を、子どものころのおやつで食べていました。先輩からの聞き伝えで食べられる実を教えてもらっていました。

アキグミ

マツグミ
 松に生えるヤドリギで、チューインガム。ガムのように噛んでいるとミントの味がしてきました。アカマツが昔はたくさん生えていて、松茸もたくさん出ました。山に行ってシートを敷いてお昼ご飯を食べるのに、松茸を採ってからでないと敷けないくらいたくさん松茸が出ました。

イワナシ

シャリシャリして、梨のように美味しかったです。日本海側の植物です。

カヤの実

メスとオスの木があります。アーモンドのように炒って食べます。長浜の方では、昔は油を採るために実が集められました。長浜の油を集めた木は、2mほどの低木でチャボガヤと言われ、雪に抑えられて背が伸びにくいそうです。

クサギ

 多賀町では食べたという事は聞かないです。葉を乾燥させて保存食にしたそうです。山奥の方では食べられたのでしょうか。実は染物に使われます。

コシアブラ

 山奥の高木で、写真は幼木。天ぷらにするとおいしい。

タカノツメ

 芽が曲がっている。大量に採れます。

タラの木

 トゲがたくさんあります。最近は人に採りつくされて探すのも大変。

リョウブ

 あく抜きしなくても食べられる。平安時代から食糧難の時はお腹を膨らます、ご飯をかさ上げする植物。


いいなと思ったら応援しよう!