【子育てエッセイ】ヘクソカズラ
私は田舎出身だ。
幼い頃、田舎道を歩いていると、季節ごとに何かの匂いがした。
なんの匂いかはわからないけど、おそらく道端の雑草、あるいは野山から匂っている。
なんの匂いかを調べるすべはないし、調べようともしない。
ただ心の中で一瞬「あ、この匂いだ」と思い、忘れる。そんなかんじだ。
時は流れ、30代後半になった。
都会暮らしも長くなりすっかり「季節の匂い」のことは忘れ去っていた
先日のこと、娘が保育園で秋の公園へ散歩に連れて行ってもらい
茶色っぽい小さな実がたくさんついたツルを持ってきた。
臭い。
この匂い…
田舎道の秋の「何かの匂い」だ。
こいつだったのか。
そう思いながら家に帰ると
娘のチャレンジが届いていた。
娘にせがまれて中に入っていた本を読む。
季節の草木を紹介するページを見ていると
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