【紀行文】火山がつくった奇景~大室山と城ヶ崎海岸
大室山山焼きとシャボテン公園のかわいい動物たち
大室山は、約4000年前に平らな土地のところに突如として噴火口ができ、粘性の低い火山からの噴出物(スコリア)が積もったものらしいです。
お椀を伏せたような形であり、また後述する定期的な山焼きもあって木が全くないため、遠くからも「あれは大室山だ!」とすぐわかるものです。
その昔は、この「池」という地区で良質の葦をとるために約700年前から行われてきた伝統行事でしたが、今では観光の目的から毎年2月の第二日曜日を基準に行われており、伊豆の春の風物詩となっています。
この2月は意外と天候が不順で、また火を扱うため強風や数日前の雨や雪が影響し順延しがちです。2024年も一週順延となりました。
春の風物詩であり、山焼きの点火の際には、観光客もたいまつを持ってつけることが出来るため、整理券を求めて朝早くから渋滞するようです。9時30分から行われる「お鉢焼き」という火口部を焼く行事も人気。
私は、この春の風物詩を見たことがなかったので、楽しみにしておりましたが渋滞がひどいとの情報があり、それならと隣接する「シャボテン動物公園」で動物と戯れながら、見物としゃれこもうじゃないかと思いました。
この日の伊豆は、河津方面への桜見物渋滞も始まっており、伊豆縦貫道は朝から渋滞気味でしたが、それを避けつつ冷川ICから天城高原ICへ抜け、遠笠山道路から入りました。幸い渋滞らしい渋滞に掛からず、大室山周辺までたどり着くことが出来ました。
大室山周辺は10時ごろで駐車場がほぼ満車状態でしたが、シャボテン動物公園にはまだ余裕があり、無事停めることが出来ました。
園内は、やはり大室山の山焼き目当ての人が多かったのでしょうか、かなりの混雑っぷりでした。
シャボテン動物公園は、サボテンなどの熱帯系の植物のほか、鳥、動物がいわゆる行動展示されており、身近に触れ合うことが出来ます。
我が物顔に歩く孔雀には、かなり驚きました!
有名なカピパラやリスザルなどを見ながら正午の点火を待ちます。園内を歩きながら見物スポットを探していると、大室山全体が見える良い場所を発見。当然、そこにはすでに待ち構えている人が多くいました。といっても、すし詰め状態ではなく、程よくゆったりとその時を待つことが出来ました。
煙が上がり始めて20分ほどで全山が焼き尽くされ、黒く染めあがっていきました。煙が青く見えたのはこの時が初めてでした。
大室山の祭神を調べた
これほどの目立つ山ですから、当然神社があります。ここは大室山浅間神社といわれますが、ここはコノハナサクヤヒメを祀っていません。
以前取り上げた松崎の雲見浅間神社と同じくコノハナサクヤヒメの姉、イワナガヒメを祀る神社です。
オオヤマツノミコトから天孫一族のニニギノミコトへと送られた姉妹。ところがシコメであったイワナガヒメは親もとへ返されてしまいます。イワナガヒメは岩のように長い命を保つ=永遠の命を象徴する神 これにより天皇といえども有限の命を持つことになったといわれています。
またイワナガヒメは嫉妬深く、大室山で富士山をほめたたえてはいけないとも言われています。褒めたらどうなってしまうんでしょうね(笑)
おまけ:伊東の新鮮な海の幸を最高の料理で堪能
シャボテン公園の動物たちと名残を惜しみつつ分かれ、お昼ご飯へ。ここはとっておきのいい場所です。
自然が作った奇景 城ケ崎海岸
続いて少し時間があったので、大室山つながりで、近くの城ヶ崎海岸へ出かけることにしました。
駐車場も整備されており、お薦めです。
ジオパークとしても有名ですが、ここは大室山の火山噴出物が海に流れ出るときに形作られた、軽石からなる景勝地。
荒々しい岩肌とスリル満点のつり橋があります。整備された遊歩道があり、駐車場から海岸に向かって歩いていくと荒々しい波しぶきと、岸壁に打ち付ける白い波が見えてきます。
伊東は観光地としても有名ですから、美術館など屋内で楽しんだ後に、おいしい食事を堪能し、そしてここ城ヶ崎海岸の遊歩道を逍遥するのは、とてもいいプランじゃないでしょうか。
城ヶ崎海岸は、自分が学生時代に一度来た思い出があり、約25年ぶりの再訪となりました。懐かしい思い出とともに気持ちよい散歩で、いい半日を過ごすことが出来ました。