【詩の感想】美しいもの
この詩を読んでまず興味を持ったのは、
「美しいものはまだまだある」という
一文。
一般的に、美しさとは
芸術作品や自然のような感覚的なもの、
有徳な人の心や生き様のような精神的もの、
ファッションや空間のような美意識など、
美醜で捉えられます。
でも、「まだまだある」ということは、
日頃、私たちが意識しないところに
美しいものがまだまだあるということ。
なので、
私たちが見落としている美のなかでも
「いちばん美しいものは何?」って、
私には見えていない世界が
示唆されようとしていることに、
興味を惹かれたんですよね。
そこでまず、
「槍で突かれて血を流すこころ」
をどう捉えたかなんですけど、
これは、現実社会のなかで
清濁合わせのむからこそ
痛みを感じるこころ
と、受け取りました。
というのも、
社会は自分の都合で動いていません。
だからこそ自身が
「好きか、嫌いか」
「やりたいか、やりたくないか」を
グッとこらえ
のみこむ(のみこみにいく)
必要があることも少なからずあります。
すると、自身のこころが
痛むことがあるでしょう。
ときには、自らの手で
己を汚しているように
感じることもあるかもしれません。
それでも、必要であれば
我がひとときの思いに拠らず
誰かの独善にも拠らず
さらに純度の高いもののために
濁り水をのむ。
そうすることでのみ、
流れ出るしずくがあるのでは
ないでしょうか。
それは、
初冬の空のように
厳しい現実社会にありながらも
紅いナナカマドの実のような
純度高きしずく。
では、そのしずくとは一体なにか。
それは、もはや
自分のための「しずく」ではないでしょう。
誰かのための「しずく」でもないでしょう。
自他を超えたものに
まっすぐに向き合うことで流れ出る
「しずく」なんじゃないかな?と。
そのようなことを受け取りました。
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