文学フリマ大阪12出店しました日記
9/8(日)、大阪・天満橋のOMMビル A・B・Cホールにて開催された即売会、文学フリマ大阪12に出店(いわゆるサークル参加)してきました。ブース名を『炭酸水彩』といいます。参加している創作コミュニティの一員として出たことはあるんですけど、個人での出店ははじめてございました。それはもうわくわくどきどきです。自分で一から計画を立てたりものを作ったりするわけで。
結論から言うとめっさ楽しかったので以下振り返りというか日記というかそんなふんいきです! もう十日以上経ってるけど気にしない。
※おんぼろスマホのためカメラの性能がかなしいことになっており、まともな写真を撮れる気がしなかったので当日の写真はありません。ちっちゃいデジカメでいいからほしい
文学フリマ大阪、前日まで
来年で二桁年目になるくらいにはお話を書き続けてきた身ですが、今まで作った同人誌はボーカロイド関係の二次創作本が一冊だけで、一次創作だけで作ったことはありませんでした。
やっぱり一次創作でも本を作ってみたいよ~! 最近ちょっとだけ自分の色とか性癖が見えてきた感あるし。あとひっそりひとりでやってる俳句もなんか形にしたい!
ということで新刊を二冊お出ししました。短編集『わたしのパステル』と句集『あの詠(うた)』です。
『わたしのパステル』は、今までの活動を通して縁のあったお三方にそれぞれ表紙イラスト・装幀・題字をお願いしました。一方で『あの詠』はぜんぶお手製です。
あとグッズほしいなと思ってしおりをこしらえました。それと無料配布の名刺も。はじめての個人出店で無茶するんじゃないよ。でも無料配布以外の頒布物が三つくらいほしいなと思ったのもあって強行しました。いくつか売り物があったほうがお店っぽいので!
スケジュールは爆発しました。
一歩間違えてたら句集と名刺は間に合わなかったと思います。ギリギリのギリでなんとかした。
そして頒布物の準備がギリギリだったということは、広報用のあれこれはもっとギリギリだったわけでございます。文フリ当日の朝を徹夜で迎えました。試し読みの用意とお品書き&値札づくりと荷造りをしてたら夜が明けてしまい……discordで作業通話に付き合っていただきながら無事タスクを倒しきりました。無事ではない。
文学フリマ大阪、当日
イベント開始まで(~12:00)
徹夜明けのわりには意外なほど元気で、ぜったいイベントハイだな~~~と思いながら大阪へ降り立ちました。荷造りがどたばただったので不安だったけどなんと忘れ物なし! 今回売り子さんをお願いしたB,Fさんとの待ち合わせ時間より早く着いたし。完璧――と見せかけて、お品書きと値札の印刷がまだだったという。天満橋駅のコンビニに駆け込んでなんとかしました。コンビニなんでもできる。
会場階下のカフェでゆっくり朝昼兼用のごはんを食べてから入場することにしていて、よい時間を過ごせました。ずっとなにかしらのジャズが流れてて。スコーンと紅茶もおいしかった。
キャリーバッグを席の横に置いている、明らかに文学フリマの入場待ちっぽい人もちらほら。おあつらえ向きの場所だもんね。謎のうれしさと一体感を感じました。
混雑するかなと思い、出店者入場の開始時刻より5~10分ほど遅れて入ったんですけど、これが本当によくなかった。なにせわたしは準備がギリギリすぎて、設営道具のパーツはそろっているけど組み立てが一部終わっていない状態だったので。あえて入場を遅らせてる場合ではなかったんですね。見本誌のラベルも書けてなかったし。
そんな状態だったのでB,Fさんといっしょに大慌てで設営をしてました。見本誌コーナー(自由に手に取って試し読みできるとこ)に本を置くのもだいぶ遅くなっちゃって、着いたときには机の上がほぼ本で埋まってる状態。どうにかすき間を見つけて置きました。
これから文学フリマに出るみんなは設営道具の組み立てと見本誌のラベル書きを終わらせた状態で入場しような……。
イベント中(12:00~17:00)
○出店者として
微妙に設営終わってないまま一般入場が始まってしまい、床に膝立ちの状態でイベント開始の拍手をするはめになりました。わくわくどきどきする余裕すらなくてなさけない。
ブースのレイアウトはヘッダー画像の通りです。わりと形になってるというか、少なくとも見やすい感じになった気はしています。頒布物の種類が少ないからともいえるけど。
イベント開始から五分ほど過ぎたころ、ようやく設営が終わりました。やっと両隣のブースの方にご挨拶できる。名刺と、住んでるとこの牛乳を使ったミニドーナツをお渡ししながら自己紹介。喜んでいただけてこっちまでうれしくなりました。
まあ、開始時刻が迫っても設営でわちゃわちゃしているわたしを見かねて、先にB,Fさんが隣のブースへご挨拶されていたんだけど……。慌てて「すみません! 落ち着いたらわたしからもご挨拶します!」と言ったわたしに「大丈夫ですよ、ゆっくりでいいですからねー」と返してくださった隣のブースの方、お気遣いいただきありがとうございました。
設営が終わってすぐのタイミングで大学時代の後輩が来て、最初のお客さまになってくれました。連絡とったり通話したりはしていたけど会うのは卒業式以来だったので、そういう意味でもうれしかったですね。
差し入れもいただきました。塩ラーメンおいしかったよありがとうね。
その後もちらほらと見本誌を手に取っていただけたり、中にはそこからお迎えいただけたりもしてにこにこしていました。声かけが上手にできなくて、B,Fさんの声かけのあとにちいちゃく復唱するみたいな感じになってたのは反省ポイントですけど。
わたし、自分から人に声をかけるのが本当に苦手で、迷惑に思われないか不安になってめさめさ小さな声しか出ないんです。だから今回売り子さんをお願いしたとはいえ、自分でもちゃんとできたらなあと思います。
話は変わりますが、どんな方がブースにいらしてくれたか、一部をふんわり挙げていきます。
・前述した、わたしが参加している創作コミュニティ『わらこみゅ』の方々
今回、コミュニティメンバーのうち小説を書く人たちが、『わらこみゅ文芸部』というブース名で出店していました。画像の通り、新刊の文芸雑誌を引っ提げて。
サークル参加していたメンバーも一般のお客様として来たメンバーも、わたしのブースに来ていただけて。はじめてお会いした人もいてうれしかったです。お互いサークル参加がんばりましょうね! と声をかけ合いました。
・Twitterフォロワーのみなさまや、過去に接点のあった方など
ふだんから交流のある方や、過去に寄稿したアンソロジー本でご一緒した方などが本を手に取ってくださいました。趣味や今までの物書き活動が回りまわってここに繋がっていると思うと、本当にありがたい限りです。存在はお互い知っていたけど実際の交流は初めてになる方もいて、名刺をいただいたときに思わず「わー○○さんだー!」って大きめの声が出たりしました。
・Twitterに載せた試し読みから興味を持ってくださった方
今回特にうれしかったことその1です。
だって「試し読みで『これはすごいぞ』と思って来ました」ですよ? 顔がゆるむのを微妙に抑えきれてない状態で応対しました。
前述の通り宣伝が遅れまくってしまい、Twitterに試し読みを載せたのが前日の22時。いまさらやってもあんまり意味ないだろうな~と思いつつ、頒布物の雰囲気がわかるものはあったほうがいいので載せたんですけど。本当に試し読み載せてよかったです。自分のお話がそれぞれの冒頭だけでも雰囲気が伝わるものになっていたことと、そこから強く興味を持ち、お手に取ってくださったことがうれしかった。
・句集の見本誌を何度か読み返してから買ってくださった方
今回特にうれしかったことその2です。
見本誌を読んでくださっている最中に邪魔はしたくないので、その間は声をかけず、視線もそこまで向けないスタンスで今回お送りしていました。ただこの方の場合はあまりにも興味を惹かれていく過程が見えたのでつい横目で追ってしまい……。
見本誌を手に取り、まず全体をパラパラ眺めたあと、気になる句などを見つけてくださったのか今度は最初から、食い入るように読み返しておられて。そうやって何度か全体を見る→途中まで戻って読み返すの流れを続けてたあと、「一冊お願いします」と購入してくださったんです。
はじめての方がわたしの作品を見つけ、中身をのぞき、興味を惹かれて実際に手に取るまでの過程。心の動き。それを目の前で見た、作者のわたし。
風が下から吹いてきて、身体がぶわっと浮き上がる。そんな錯覚を覚えるくらいの高揚感がありました。
その方がブースを去ったあと、あまりにうれしくてB,Fさんにいっぱい話しかけちゃいました。だいぶテンション高かったと思う。
わたしのブースを一時でも気に留めてくださった皆さま、本当にありがとうございました。
○お客さんとして
Twitterのフォロワーさんなど、ふだんお世話になっている方へご挨拶しに行くのも兼ねて、途中一時間ほどブースを抜けてお買い物しました。
まず感想としては人がたくさん!!! ブースもたくさん!!!!! あとであった会場アナウンスによると出店者も含め五千人近い方が来場されたそうで、本当にすごい盛り上がりでした。活字媒体やそれ以外のものをこしらえて届けたいと思った人と、それを求めて来た方がこんなにたくさん、と思うと、広い草原の真ん中で風に吹かれているかのような果てしない気持ちになります。
特に短歌や詩などのエリアがかなり人多かった印象です。若干通るの苦労したもんね。混雑が解けるまで待つこと自体は苦じゃないので大丈夫でしたけど。
わたしは安直に『あ』のブースから順番に回っていきました。一時間でいっぱい見て回るぞ! のつもりで歩き始めたんですけど……ブース配置が『あ』~『ち』まであるのに対して、『か』の時点で時間と予算が尽きました。なんなら予算は5,000円ほどオーバーしました。こわいよこのイベント。いくらあっても足りない。
お迎えした本やいただいたフリーペーパーについてはそのうちTwitterかなにかで感想を言おうと思います。まだ読めてないけどゆっくり向き合っていくつもりです。
見本誌コーナーにお客さんとしてはじめて足を踏み入れました。人がめっちゃいる!!!(なんのひねりもない表現) みんなが思い思いに気になる本を手に取っていて、静かなのににぎやかだった。わたしも見本誌コーナーで読んでめっさ惹かれた本を一冊お迎えしました。針金鳥様の『静黙の祈り』です。
挨拶回り的なものもつつがなく終えました。『わたしのパステル』の装幀を依頼させていただいた方に献本を直接お渡しできたりとか。
イベント終了後
設営のときと同じようにわちゃわちゃしながら撤収作業をしました。出店者のみなさまとスタッフさんの手で会場が瞬く間に元へ戻っていくのを見て、なかなかできないことだなあと思ったりしながら無事会場をあとにして。
串カツ屋さんでB,Fさんと打ち上げをしました。本当に大当たりのお店で、食べ物も雰囲気もサービスもめーっさよかった!!! また行きます!!!!! 飲む前にちゃんとその日の反省会もしました。反省会というほど重たい感じでもないけど。
B,Fさんと対面でゆっくり話すの、意外とはじめてだったりした。会うのだいたいなんかのイベントのときで、他に人がたくさんいるからね。ふだんあんまりしないような話もできて楽しかったです。
帰りのバスで今日買った本たちをさっそく読む予定が、気がついたらすやすやしてました。そういえばわたし、徹夜明けで文学フリマに臨んでたんだった。
でも、よい疲れでした。
今回の出店を振り返って
本当はわたし、この文学フリマ大阪12への出店をもって創作活動をお休みする予定でした。無期限活動休止というか、第一部完というか。第一部完って第二部が始まることあんまりなくてかなしいですよね。ライトノベル『軋む楽園の葬花少女』の第二部をいつまでも待ってるアカウントです。だって第一部完って書いてあったもん。
話が逸れました。
今年の春に私生活でいろいろあって(一時的な休職とか)、創作活動にリソースを割く余裕がなくなってしまったんです。じゃあなぜ文学フリマ大阪12に出店したかというと、心身の状態を崩して休職する二週間前の、まだかろうじて元気だったころのわたしが申し込みと入金を済ませていたからなんですね。
加えてここ一年ほどは、ただでさえ亀の歩みの執筆だったところに輪をかけて書くペースが落ちていて。書きたいお話はたくさんあるのに、書き始めて十分や十五分で集中が途切れてしまう状態が続いていました。
千字前後で止まった書きかけの短編だけが積み重なっていく。物書きとしてのわたしはもう、息をしていないのかもしれない。そもそも今は生活を物書きに割く余裕がない。だったら、はじめて個人で即売会に参加するこの機会に今までの自分の総まとめになる短編集と句集を作って、創作活動にひと区切りつけようかな。今のところ創作活動はその二軸が中心だから。
自分の好きなものや、物書きする人としての色が、最近少しずつ見え始めてきた気もするし。この二つさえ出せればそんなに思い残すこともないかも。
そう思ったわたしは、キャンセルという選択をせず、半ば無理やりに今回の文学フリマへ出店したのでした。
もちろん戻れるなら戻ってきたいけど、最悪二度と筆を取らなくなったとしても、今までどこをどう歩いてきたのかは思い出せるように。
そのつもりだったんです。
どうすれば整って見えるんだろう。目に留めてもらいやすくなるんだろう。お客さんの視線の動きは? そうやってブースのレイアウトを考える時間は、とってもわくわくしました。
自分の作ったものが人の興味を引く瞬間を、人に届く瞬間を直接見られるのは、こんなに胸が高鳴ることだったんだなって思いました。
「twitterの宣伝で気になって来ました!」
「試し読みでこれはいいなと思って」
700以上のブースの中から、広報がめっさ後手後手になったわたしを見つけてくれ、そんな言葉をかけていただけたことのうれしさを嚙み締めました。
スケジュールは爆発したけど、本を二種類こしらえてよかったなと思いました。それぞれがちゃんと届くべきところに届いた感じがあったから。「欲を言えば、これくらい手に取ってもらえたらうれしいんだけどな」と思っていたのとほぼ同数の本が、わたしの元を旅立ちました。
二年前の参加時より会場が広くなっていて、賑わいもあのとき以上でした。ブースの前を通るお客さんの流れは絶えることがありませんでした。
いただいたフリーペーパーはどれも、お金を払いたくなるくらい素敵なものでした。
事前にブースカタログを確認する余裕がなかったのもあって、一期一会の出会いをたくさんしました。
見本誌コーナーにもっとゆっくりいたかったなと思いました。
久しぶりにお会いする方がいました。
前々から存在は知っていたものの、今回はじめてお会いする方がいました。
わたしの知らない方が、わたしの本に出会ってくださいました。
またいつか、文学フリマに出ようと思いました。
物書きと俳句、ゆっくりにはなるけどやっていくぞ~~~!!
お礼、そして宣伝
今回、同人誌制作から当日に至るまで、たくさんの方々のお世話になりました。まとめてのお礼となってしまい申し訳ございませんが、皆さま誠にありがとうございました。
最後に宣伝を失礼いたします。
今回の文学フリマ大阪12で頒布いたしました新刊、短編集『わたしのパステル』と句集『あの詠』の通販を始めました! BOOTHにてお求めいただけます!
※『あの詠』は残り1部です。時期は未定ですが再販を考えています
『わたしのパステル』の試し読みは以下からどうぞ。まずは雰囲気だけでも味わっていただければ幸いです。
『あの詠』のほうも、通販ページの画像から少し中身が覗けます。
どちらにも、今の自分が持っているフルパワーを込めました。なにとぞよろしくお願いいたします。
最後までこの文章にお付き合いくださり、本当にありがとうございました。魚田羊(うおたひつじ)でした! またどこかで!