『薔薇ぐるい』のカセットテープ
5月は近所の庭先で薔薇が咲くうれしい季節。今年の春は遠出を控えなければならず、ご近所散歩が特に貴重な外出の機会だったので、満開の薔薇はいつも以上に心の慰めとなった。
薔薇の季節に相応しく、清岡卓行の小説『薔薇ぐるい』を再読してみた。美しい薔薇の絵を印刷した紙でできた箱に、同じ柄で装幀されたハードカバーの本(小説)と、白い装幀(しかし見返しは小説と同じ薔薇の絵の紙!)の清岡卓行編「薔薇の詩のアンソロジー」が一緒に収まっているという、とても贅沢な本。
主人公は五十代半ばの大学