「車でお遍路(御本尊)」 阿弥陀如来とは
自身の体験談として、お遍路で結願をしたものの「もっと御本尊の知識があればなぁ」との後悔もあり、自身のため、そしてこれからお遍路を計画している方のために「御本尊」についてまとめてみました。
お遍路がより有意義なものになることを願っています。
はじめに
お遍路の札所には、必ず本堂に「御本尊」、大師堂に「大師像」が祀られています。
その御本尊は、札所により異なっているため、本堂で読経時に、祀られている「御本尊」のご真言※を唱えます。
弘法大師は、仏教を広めるにあたりこのご真言の大切さを一番に考えたからこそ開創した宗派を「真言宗」と命名したのでしょう。
それでは、「御本尊」ごとに、特徴をお伝えします。
では、四国霊場10札所が祀っている阿弥陀如来について。
阿弥陀如来
名称
阿弥陀仏は、梵名の「アミターバ」「アミターユス」を音写したもの。
無量寿如来
無量光如来、などとも呼ばれている。
この名は、無量(限りない)の寿命と無量の光明(智慧や慈悲)でもって衆生を救う仏さまという意味。
特徴
西方極楽浄土の教主。
三身(仏の三種の在り方、法身・報身・応身)のうちの報身※。
(※報身とは、菩薩が願をたて修行をして悟りを開いた報いとして功徳を備えた仏身のこと。)
阿弥陀如来は、法蔵菩薩として四十八願を立て修行をして悟りを開き成就した仏であり、病や迷いや苦しみから救いを求める全ての人々を極楽浄土へと導いてくださる救世主。
「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えて願う、極楽浄土思想が広く大衆の信仰を集めた。
お姿
頭髪は螺髪、装飾品は身に付けず概ね薬師如来と同じ質素なお姿。
光背(仏さまの後光)は、放射線状の放射光が一般的だが、円状の輪の円光などもある。
印相(手指のポーズ)は特に特徴的で、
・説法印(真実を説く意、両手を胸の前で構え、親指と小指以外で輪を作るが様々なパターンがある)
・阿弥陀定印(瞑想の意、両掌を上向きに臍の前で重ね両手の小指以外の指を立てて合わせて両親指をそっと乗せる)
・来迎印(お迎えの意、右掌は胸の高さで外向きにして親指と人差し指で輪を作り、左掌は仰向けで垂れ下げて親指と人差し指で輪を作る)
と、この3種の印相を基本に、九品来迎印という9種類の印相があるが、いずれも指で輪をつくるというのが特徴。
脇侍には、「観音菩薩(慈悲)」「勢至菩薩(智慧)」と並ぶのが一般的で、極楽浄土へ行くために雲に乗って迎えに来る表現として25菩薩の像を従えたりもする。
ご真言
ご利益
極楽浄土へ迎え入れてくれる来世利益の仏さま
「南無阿弥陀仏」と唱えることで迷いや苦しみから救いを求める全ての人を、悟りを開き極楽浄土へと導いてくれる
四国八十八箇所霊場で阿弥陀如来を御本尊とする札所
さいごに
全ての仏さまの師匠が、厳しい修行をしなくとも「南無阿弥陀仏」と唱えるだけで極楽浄土へ導いてくださるというのなら唱えますよね。
だからこそ、四国八十八ヶ所の札所では、御本尊に薬師如来についで千手観世音菩薩、そして阿弥陀如来を祀っているお寺が多いのだと思います。
開基した当時に様々な病気や苦悩がある人々にとって、現世利益は薬師如来、来世利益は阿弥陀如来、と所望したのではないかとも考えてしまいます。
また、阿弥陀如来は極楽浄土思想により多くの人々の信仰を集めたことから、今に残る多くの言葉が生まれていることも面白いですね。
「他力本願」
・・・本来の意味は自力だけで全ての善行を行うことは困難であり阿弥陀仏の本願の力により救済されることから、厳しい修行をしなくとも仏さまにすがることで成仏することができる
「十八番」(諸説あり)
・・・阿弥陀如来が菩薩の時に立てた四十八願のうち、最も重視したのが十八番(念仏を唱えた人を必ず救済する)だった
「あみだくじ」
・・・阿弥陀如来の光背に似ていた
※ヘッダー画像は、第30番札所善楽寺の御本尊を描いた御影です。
【参考】
・高野山霊宝館
・Wikipedia
・Discover Japan
・文化庁、他
合掌
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