【日本酒をもっとおしゃれに】ナッツとレーズンのクリームチーズ和え×「月山の試み2024 innovation リンゴ酸」~日本酒ペアリング研究会 報告書No.12~
※「日本酒ペアリング研究会」は、日本ソムリエ協会が認定する日本酒・焼酎のソムリエ資格「SAKE DIPLOMA」を持つ筆者が、ご家庭でもできる料理と日本酒の合わせ方を提案する企画です( ˘ω˘ )。
〇はじめに
こんばんは( ˘ω˘ )。
日本酒と家庭でできる料理のペアリングを考える「日本酒ペアリング研究会 報告書」の第11回でございます。
長かった夏もようやく落ち着きを見せ始めましたね。「昼間は半そでだけど、朝晩は涼しいね。」なんてセリフ、1か月遅いわ。最近、近所の公園で地域の子どもたち向けの祭りが開かれていたようなんですが、ついに9月末なのに「夏祭り」と書かれてましたよ。
通っていた保育園で「夕涼み会」というイベントがあったんですが、あれはたしか8月末だったような。環境は変化し続けるんですね。せめて可逆的であればいいのですが…。
それはさておき、今回はちょっと寄り道です。というのも、今回のお酒は「月山の試み2024 innovation リンゴ酸」。三重県ではなく鳥取県のお酒です。先日、名古屋に行ったときに立ち寄った酒屋さんで、ふと気になって購入しました。
合わせる料理も三重県どころか国産ですら賄いにくいものになってしまいました…(笑)。しかしながら、スーパーで簡単に手に入る食材で手軽に作れるので、より気軽にお試しできると思います!
こういうちょっとオシャレ系な料理も一応できるんです(笑)。たまには、そういうところもお見せしなくてはなりません(笑)。
それではさっそくやっていきましょ~( ˘ω˘ )。
◯材料と作り方
◇材料(2人分ぐらい)
kiri クリームチーズ ポーションタイプ3個(1個あたり16.3g)
無塩ナッツ ひとつかみ(計ったら60gぐらいでした。)
レーズン 好みで
砂糖 小さじ1/2
レモン汁 小さじ1
お湯 大さじ1
ピンクペッパー 好みで
クラッカー 好みで
クリームチーズは昔から「kiri」が好きなので、それを使ってます。「フィラデルフィア」だと、kiriよりあっさり仕上がるんじゃないかなと思います。
ピンクペッパーは以下の画像にて。大きめのショッピングセンターなら打ってると思います。スパイスコーナーを探してみてください。好き嫌い別れるかもしれないんで、使わなくてもいいです。
今回はお酒を飲めなかったり、ラムレーズンが苦手な人も楽しめるよう、材料にラム酒は入れていません。もし料理のほうにもお酒感が欲しかったら、製菓コーナーにはラム酒があるはずです。うさぎが描かれているやつが。直接入れるか、あらかじめレーズンを漬け込んでおくといいでしょう。
ちなみに黒糖焼酎(たぶん減圧蒸留)を使ったら、なかなか美味しかったです。
◇作り方
1.ナッツを袋に入れて砕く。
ジッパー付きのストックバッグがおすすめ。
そこにナッツを入れてから、麺棒などで砕きましょう。どこまで砕くかはお好みで。
2.ボウルにクリームチーズと砂糖を入れ、お湯で伸ばす。
ゴムベラや小さい泡だて器があると便利です。これをやったほうが、あとで和えやすく、まとまりやすくなります。しっかり伸ばしてなめらかにしましょう。
3.ナッツ、レモン汁、レーズン、ピンクペッパーを入れてよく混ぜ合わせる。
ちなみに今回唯一の三重県要素はレモン果汁。御浜町にある「すぎもと農園」さんの「すぎもと農園の100%レモン果汁」を使っています!!
ここの100%柑橘ジュースが美味しいんですよ…。通販もやってるのでぜひ!
三重県の南紀地方は魚介類だけでなく柑橘もたくさん作っていて、とっても美味しいです。おすすめは春のカラマンダリン( ˘ω˘ )。
4.器に盛り、お好みでクラッカーを添えて完成。
◯今回のお酒とペアリング考察
今回はこの「ナッツとレーズンのクリームチーズ和え」に、鳥取県安来市にある吉田酒造さんの「月山の試み2024 innovation リンゴ酸」を合わせていきます。
<蔵元情報>
吉田酒造
所在地:鳥取県 安来市 広瀬町
公式HP:
◇お酒の基本情報とコメント
〇「月山の試み2024 innovation リンゴ酸」(鳥取県 安来市 吉田酒造)
区分:純米吟醸
米:国産米 精米歩合60%
度数:14度
公式商品紹介ページ:なし
IMADEYAさんの紹介ページを貼っておきます。
筆者のコメント:
<香り>
レモン、ライム、青みかんなどの柑橘のような爽やかな酸を感じる香り
白ワインのような雰囲気もある
梨やりんごキャンディのようなニュアンス
蒸米の香りもほんのり
全体的に穏やかで、日本酒では主な「リンゴ・洋ナシ系」「バナナ・メロン系」のどちらとも異なるように感じる。やはり香りからも爽やかな酸を感じ取れるからだろう。
<味わい>
わずかにガス感があり、爽やかさを引き立てる
第一印象は軽く若い。
軽い甘味がほのかに感じられる。
その直後から軽やかな酸味がはっきりと感じられ、急速に広がる。
旨味はほんのり。本来もっとあるのかもしれないが、酸味が中和しているのかも。
柑橘の皮や若いぶどうのようなシャープな苦味・渋みもはっきりとある。
酸味、苦み、渋みは余韻にまで続く。
どっしりとした生酛系の乳酸やパンチのある7号酵母の酸味とは異なり、やはり軽やかさがあるように思う。シャープな苦味・渋みも非常に特徴的。これらによって、今までに無い爽快な余韻が生まれている。
<総評>
分類するならやや辛口ぐらいに入るが、淡麗でも旨口でもない。この爽やかな酸味を前面に押し出したタイプは、やはり日本酒業界のなかでもまだ珍しいといえる。
また、苦みや渋みが強いので、酒単体だと好みが別れそうな味わいではある。ただ、日本酒にとしては新しい感覚であることは間違いないので、ぜひ試してみていただきたい。
しっかり冷やしてワイングラスで。冷やすと酸味がよりシャープになり、苦み・渋みもキリっとする。
◇今回の料理との合わせ方
日本酒の味わいは、基本的に甘味と旨味が主体となります。一方で今回のお酒のように、近年ではワインを意識して酸味を重視した日本酒がすこしずつ増えています。加えて、今回のお酒の酸味は生酛系日本酒にある乳酸発酵由来のどっしりと重厚感のある酸味や、7号酵母のパンチとキレのある酸味とも異なり、リンゴ酸らしく「軽やか」なのがポイント。柑橘類のようなフレーバーにも注目し、料理のほうも軽やかに食べられるものというイメージで合わせました。
まずこの軽やかな酸味と柑橘類のようなフレーバーには、砂糖で少し甘味を足したクリームチーズがよく合います。レアチーズケーキに酸味のある柑橘を合わせたような感覚を意識しました(補完)。そして、レーズンの甘酸っぱさにもよく同調しています。もしかしたら、材料のレモン汁はなしでもいい?と、思ったんですが、同調の鍵にはなっているんじゃないかなとも思います。
そして、クリームチーズやナッツの油脂分と全体のほのかな甘みが、このお酒の鋭利な渋み・苦みを中和してくれます。また、お酒に少ない甘味を補完する役割もありますね。逆に、お酒の酸味はクリームチーズの油脂分を中和して、重さを和らげます。このようにお互いに「中和」しあう関係性が、この料理とお酒を合わせたからこその特別な一体感を生み出します。
また、ナッツは軽やかな食感を生み、クラッカーもタルト生地的な役割でリズム(?)を作ってくれます。こういう「軽やかさ」もマッチする要因…だといいんですけどね(笑)。また、ときおり噛み潰すピンクペッパーが甘やかかつ華やかな香りをふわりと添え、このペアリングにとっていいアクセントになっています。
図にするとこんな感じ。
今回のペアリングは、ちょっとオシャレなテイストにしたい時のお通しやアミューズには最適だと思いますので、皆様もぜひお試しください( ˘ω˘ )。
〇終わりに
今回は、「ナッツとレーズンのクリームチーズ和え」に、「月山の試み2024 innovation リンゴ酸」を合わせてみました。正直、早くも今月の記事の内容に行き詰まってたんですが(投稿時間もぎりぎりだし)、ちょうどいいときに違うベクトルで考えられる新しいお酒に出会えました(笑)。いつもと違う店で、ふらっと気になるものに出会うのも素敵だなと改めて思いました。
実は今回の料理も、ちょっと伊勢まで足を伸ばして飲みに行ったときに、1軒目に入った居酒屋さんで出てきたものをアレンジしてます。ピンクペッパーと黒糖焼酎は僕のアイデアです。やっぱり自分で考えるだけじゃなく、いろんなアイデアが得るための飲み歩きも大事です。特にこういう企画では。
というわけで、今後も三重の地酒と三重の食材中心ではありますが、たまには全国の色んなお酒や様々な方向性の料理、そしてそれらを合わせたペアリング案を紹介していけたらと思います( ˘ω˘ )。
それでは、また次回お会いしましょう。
素敵な日本酒ライフを~( ˘ω˘ )。
「日本酒ペアリング研究会 報告書」のまとめを作りました。
他のメニューとペアリングもあわせてお読みいただけると嬉しいです( ˘ω˘ )。
本企画とは別でやっているエッセイ企画「淡い雲をとどめて」のまとめです。ぼちぼち書いていきますので、こちらもぜひに。