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Fish in the tank

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私たちは他者との関係性の中で一生を過ごしている。 縦(自分)×横(他人)×高さ(お互いの関係性)の分だけの水槽の中を泳ぐ魚だ。
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#青春小説

Fish in the tank(6)

Fish in the tank(6)

結局の所、その後も教授が現れる事はなく、四人はとりとめのないお喋りを続けたり、またそれぞれの作業に戻ったりしては長い時間を過ごした。研究室の窓から見える景色は、その間に徐々に日の光を失って、夕時が近づく頃にはすっかり蒼ざめて暗くなっていた。

一向に現れない教授を待ち疲れて、最後は日を改めてまた来ようという事になり、研究室を全員で後にして外に出ると、四人は構内の外れにあるバス停までの道を、寒さに身

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Fish in the tank(7)

Fish in the tank(7)

人気のない静かな住宅地では、それ以降は通行人も車も何も現れなくて、どこからともなく聴こえてくる山鳩の鳴き声だけが響き渡っていた。

その鳩はドゥードゥーと低く短く鳴いた後に、ポッポーと高く長めに鳴いて、それを規則正しくリズミカルにひたすら繰り返していた。

ドゥードゥー、ポッポー、ドゥードゥー、ポッポー、ドゥードゥー、ポッポー、ドゥードゥー、ポッポー、ドゥードゥー、ポッポー、ドゥードゥー、ポッポー

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Fish in the tank(8)

「そうだ、アイス食べようよ」

突然、青柳そう言い出した。

「…アイス?こんなに寒いのに?」

思わず泣き止んだ飛鳥は、顔を上げてそう青柳に聞き返した。

「…いや、あのね。寒いからこそ思い出になるっていうか、なんていうか、思い出作りみたいな…、ほら、大切じゃん?思い出って…ねぇ?」

 自分でも何を言っているのか青柳はだんだんわからなくなってきたが、とにかくその場の空気を何とか変えようと必死に

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Fish in the tank(9)

Fish in the tank(9)

それから違う路線で帰る雄二や飛鳥と別れた後に、青柳は駅のホームでふいに昔の事を思い出してぼんやりとしていた。

......人はね、水槽の中を泳いでる魚と一緒なの

いつだったか母親が、何かの帰りに車を運転しながらそう言っていた。

「この先どういう人達と出会って、その人達とどういう風に過ごすか。それであなたの水槽の広さが決まるのよ」

言われた当時はその意味がよく分からなかったが、青柳は何故かそ

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Fish in the tank(終)

Fish in the tank(終)

自分のアパートに着くと、雄二は冷えたままのコタツに入り、しばらく何もせずに電源の入っていないテレビの暗い画面をみつめていた。

それから思いついたようにリモコンで電源を入れると、チャンネルをあちこちに動かして、最後にニュース番組に合わせると、リモコンをコタツの上に置いた。

番組ではニュースキャスターが今日の出来事を時系列に読み上げていて、それに合わせて映像が次々と切り替わっていた。

薬物中毒で

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Fish in the tank、その後(1)

Fish in the tank、その後(1)

ゼミの教授が死んだという訃報が流れたのは四人が流れ星を見た次の日の朝の事で、四人は何度かお互いに連絡を取り合った後、通夜の翌日に行われるという告別式に参列する事を決めた。

……本当に、何が起きるか分かったもんじゃないな。

 美雪はそう思いながら、鏡の前に立って、古い箪笥の匂いがすっかり染みついてしまった母親の喪服に袖を通してみた。

Fish in the tank、その後(2)

Fish in the tank、その後(2)

環状線沿いのとある駅で降り立つと、飛鳥は改札出口を抜けてすぐの電柱に「西田家式場」という案内看板がくくりつけられているのを見つけて、その案内に従いながらしばらくの間歩いているうちに、やがては目的地の建物が道路沿いに立っているのをすぐに見つける事ができた。

 葬儀場の建物は、傍目からみればそうだとは分からないくらいに近代的で広々とした造りになっていて、その入り口の付近で誰かと待ち合わせをしている喪

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Fish in the tank、その後(3)

Fish in the tank、その後(3)

「…でもさ、こういうのを運命っていうんだと思う」

式場のセレモニーホールに一人で座っている美雪を見つけると、居ても立ってもいられなくなった青柳は思わずそう声をかけた。

「…え?何の事?」

 いきなり話しかけられて驚いた美雪がそう聞き返してみると、青柳は自分の言いたい事をまとめるために一瞬目を伏せて、それから美雪とまっすぐ目を合わせると、葬儀場に来るまでに言おうと思っていた事を話し始めた。

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Fish in the tank、その後(終)

Fish in the tank、その後(終)

読経が終わった後に、葬儀社の司会で弔電が読まれ、最後に親族の焼香が終わると、僧侶が鈴を鳴らしながらゆっくりとした動きで祭壇を離れ、参列客の間をすり抜けるように移動すると、会場を去っていった。

――今はただ、在りし日の姿に思いを馳せながら、ご冥福をお祈りし、別れの時を迎えたいと存じます…。
 
そんなナレーションが終わると、教授の入った棺の中に真っ白な百合の花が所狭しと敷き詰められ、蓋が閉じられる

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