最初で最後の[夏]。
観劇の楽しさを知ってしまった大学生の頃、特に劇団四季のライオンキングには何度も足を運んだ。浜松町にあった[春]劇場の3F席は、当時学割で2500円くらい。バルコニーからの眺めは舞台のタネも仕掛けも何もかも丸見えだったけど、弱った心にエネルギーをもらうには十分すぎるご褒美だった。それから卒業旅行先のロンドンと、出張先のニューヨークで観たのを最後にしばらく観ておらず、そして仕事に忙殺されるうちにいつの間にか[春]劇場は無くなっていた。
自覚が無かっただけで実はその出来事を地味に引きずっていたらしく、2021年現在の[夏]劇場での上演が終了間近だと知った時には、移転ではなくてっきり終演してしまうのだと勘違いをし、勢いのままにチケットをポチっていたくらい。落ち着いて情報を辿ったら、劇場が変わるだけのことで胸を撫で下ろしたのだけど、きっとラフィキに呼ばれたんだろうと思い直して、最初で最後の[夏]劇場を堪能することに。
人生初の1階S席で見るライオンキング。学割4回分の値段のチケットを手にする日が来るとは。すぐそばを動物たちが通り過ぎる度に息を潜め、サイの皮膚の質感や、鳥を演じるお姉さんの綺麗なアイラインに感激したり、舞台上の仕掛けもやっと全て真正面から受け止めることができて、いろいろとなんかもう、ぐっときてしまった。感想を語り出すと長くなるのでこの辺で。この世のことを悩み過ぎず、すてきな合言葉を口ずさみながら、明日からもほどほどに楽しくやってくさ。
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