ボディコピーを愛する。
「このボディコピー長いから、バサッと半分ぐらいにしてもらえます?」とか「長いボディコピーなんか誰も読んでくれないよ」とかとか、コピーライターなら一度は言われたことありますよね?いや、一度どころか結構ありますよね(泣)「誰も読まない」とか言っちゃう人は、ボディコピーはキャッチコピーのおまけかなんかだと思っているのかもしれませんね。ボディコピーを愛する一人としては悲しいけど、そうなのかもしれない。
実際の僕の仕事はというと、ボディコピーを大切にする仕事も変わらずできていて、もう6年目になるシリーズ広告もある。クライアント含め関わる人みんながボディコピー(キャッチコピー含め)でいかに企業の志、想いを発信できるかにこだわって。
そもそもボディコピーって何でしょうか。
キャッチコピーであれば、「このろくでもない、すばらしき世界 (BOSS)」とか「アオハルかよ (カップヌードル)」とか、一般の人でもすぐ思いつくものや好きなコピーはあるんじゃないでしょうか。
でも新聞広告や雑誌広告、WEBに綴られるボディコピーを積極的に見てくれるのはコピーライターになりたい人や広告が好きという人がほとんどでしょう。だからと言って、「ボディコピーは読まれない」というのは違うと思うんです。
コピーの先に想像をめぐらせてしまうようなストーリー展開。企業や社員の志に共感して応援したくなったり。ちょっとした小説の物語に触れたような読後感があったり。ボディコピーにはそんな魅力がある、そう思っています。
岩崎俊一さんのボディコピー
僕が尊敬するコピーライターの一人、岩崎俊一さん。亡くなられて5年が経つ今も、ときどき岩崎さんの本や広告を読み返す。
10年以上前になりますが、マルコメの企業広告。お味噌の健康宣言。コピーのみを書き出しました。
お味噌の広告だと思って読み進めるうちに、いつの間にか「味噌のある暮らし」「人と味噌のつながり」「ていねいな生き方」に想像をめぐらせてしまいませんか?そうなんです、これがボディコピーの魅力ですよね。こういう想いの人なら好感が持てて、ちょっと話を聞いてみたくなるし、応援したくなる。
トンボの一連の広告も、同様です。えんぴつや消しゴムの話が、いつの間にか「あたたかな企業のまなざし」「人の創造性」「モノを生み出す尊さ」について考えはじめ、こんな想いを持つトンボの製品は間違いないという共感につながっていきますよね。
企業は何のために存在するのか
記事で読んだ岩崎さんのご自身の言葉に「企業は何のために存在するのか、商品は何のために生まれてくるのかを考えれば自明である」というのがあった。「ロマンを書く」と。その想いで広告に向き合い、コピーという形にして世に問うことをし続けられた。これって、今じぶんが取り組んでいる企業のパーパス(=存在意義)そのものだ。だから岩崎さんが書かれたボディコピーは、製品やサービスのUSPの押し付けではなく、企業の根幹の志があって心を揺さぶるのだなと。
企業の真ん中にある志、普遍的な価値、社会的価値。
コピーライターを目指す人には(今もいるのかな?)コピーの書き方のHOW TOを読むのもいいけれど、上記の3つの視点で好きなコピーを何度も写経するのがおすすめだ。そうすると企業の視座がわかる。企業と社会、企業と人との関係が見える。そして、ボディコピーのおもしろさにはまると思う。
10数年前に通っていた宣伝会議の金のえんぴつ。あの頃、ボディコピーのおもしろさをわかってただろうか(笑)
今年初noteが2月になってしまいましたが、これからもゆっくりとコピーのことやパーパスのこと、コミュニケーションのこと書いていきたいと思います!読んでいただきありがとうございました。