Queen-Don't Stop Me Now(洋楽和訳)
考察沼
(所感)(1500字程度)
クイーンのドント・ストップ・ミー・ナウは明るい曲調で、CMにも多数起用されている(と記憶している)。
楽曲の意味としては「僕は超人だ!」という理解が一般的だと思われる。しかしそれでは若干、腑に落ちない部分があるのだ。例えば「ゴディバ夫人」という歌詞である。
難癖といえばそれまでなのだが中々筋が通ると思う。だから、次のように思う人は私以外にもいるのではないだろうか。つまりこれは超人的な強さを歌っているのではなく、人間的な弱さを歌っているのではないかと。
(wikipedia "ゴディバ夫人"より引用)
"領民に対して情け深い夫人が、理不尽な夫に難癖をつけられて、素裸で長髪をなびかせ馬に乗り、町内を横断する羽目になった。町人は夫人に恩義を感じて、目をそむけ野次馬するのを差し控えたものの、ただ一人、トムという男が盗み見た。以来、ピーピング・トムといえば覗き見をする人間の代名詞となった"
楽曲の冒頭及び末尾から察するに、この曲は悲しみを表しているのだ。そしてDon't stop me nowのstopは不用意な同情や慰め、余計な世話焼き、独りにならないようにね・安静にしなよ・等というお節介、を表している。stopとは覗き見であり野暮野郎でありピーピング・トムなのだ。You can't stop meとかYou can't touch thisとかではないのであって、僕は容易に止まってしまう。しかも、そいつは僕がどのくらい"良い時間を過ごしている"のか、全く理解していない(ゴディバチョコレートは無関係)。
確かに僕は途中、破滅的なことを口にする。衝突・制御不能・原爆だ。深く破滅的な欲望、そういう悲しい欲望だとしても決して止めてほしくはない。そして「好きなんだ!」と叫ぶ。叫ばざるを得ない。それなのに止めようとする奴がいる。そんなの偽善だ。なぜなら、"楽しみたいなら真っ向から僕を呼べばいい"からだ。いくら言ってもそいつは、止めることで楽しもうとするそいつ自身の倒錯に気が付かない。私生活を覗き、口を出し、"僕の時間"を邪魔し、じゃあ呼べよと言ってやっても呼ばない。悔しいが、わかっていてもそういうstopは、僕を止め得る。だから止めるな、大きなお世話だ。
いや、僕に舞台裏なんか許されない。僕にはもう、どのくらい良い時間を過ごしているか、常に表舞台で表現する義務がある。僕の個人的懊悩、そういう独りよがりは許されない。それはもう、みんなのための、
超人的なショーなのだ……!
私は洋楽の歌詞なんて読みながら出ないと聞こえないので、思っていた歌詞とは違ってがっかりするということもある。しかし、このドント・ストップ・ミー・ナウのように、しっかり読んでみてよかったと感じるものもあるので、こういった勘繰りはやめられない。また、クイーンの他の楽曲としては"39"がエモい。
さらにペダンティックなことを言うと、"I wanna make a supersonic man outta you"は直前の歌詞とは分離していてこの歌詞こそが"stop"たる周囲の台詞であるとも考えられる。なぜなら、"speed of light"に対して"supersonic"はあまりに遅いからである(もっとも、勢いのある一連のまとまりとして考えても全く支障はないが)。
僕は今夜悲しみに耽ることで良い時間を過ごそうとしており、目には見えなくても気分は光の速度のように高揚しているにも関わらず、「そんな項垂れて、不健康なことではだめだよ、私が君をまっとうな高速に、音速にしてあげるよ」などと「僕」を「止めて」くる輩の台詞だとすると、掛け合いにも聞こえてくるのである。
以上で、段々速く大袈裟にしていくのがセオリーであろう歌詞の構成(1年10年50年〜♪(別に特定の歌詞ではない)等)が敢えて崩されているのは、ただ韻律やリズムを考慮した結果では無い可能性が十分に示されたと思う。
Why do you have to go and make a thing so complicated?ーBecause it's a lot of fun!
(洋楽和訳)
Don't Stop Me Now(1978)Queen
止めないでくれ(≒余計なお世話だ)
Tonight, I'm gonna have myself a real good time
I feel alive
And the world, I'll turn it inside out, yeah
I'm floating around in ecstasy
So (Don't stop me now)×2
'Cause I'm having a good time
Having a good time
今夜、僕は本当に良い時間を過ごすつもりなんだ、
僕が生きていると感じる時間を。
そして世界ーー僕がひっくり返す、そう、
僕は快感に浮かんでいる。
だから今、僕を止めないでくれ、
僕は良い時間を過ごしているんだから。
良い時間を過ごしているーー
I'm a shooting star, leaping through the sky like a tiger
Defying the laws of gravity
I'm a racing car, passing by like Lady Godiva
I'm gonna go, go, go, there's no stopping me
僕は流星で,重力の法則を無視する,虎みたいに空を跳躍。
僕はレーシングカーで,ゴディバ夫人みたいに通り過ぎる。
僕は行くだろう,行く,行くんだ,僕を止めるものは何もない
(※1)
I'm burning through the sky, yeah
Two hundred degrees, that's why they call me Mister Fahrenheit
I'm travelling at the speed of light
I wanna make a supersonic man outta you
僕は空を突っ切る、そう、
200度だ、それで"華倫海特"氏と呼ばれる。
僕は光の速さで旅をしている。
僕は君から超速人間を作り出したい。
(※2)
(Don't stop me now)
I'm having such a good time, I'm having a ball
(Don't stop me now)
If you wanna have a good time, just give me a call
(Don't stop me now)
'Cause I'm having a good time
(Don't stop me now)
Yes, I'm having a good time
I don't wanna stop at all, yeah
(止めないでくれ。)
こんなにも僕は良い時間を過ごしてる。遊んでいるんだ。
(止めないでくれ。)
君が良い時間を過ごしたいなら、ただ僕を呼べば良い。
(止めないでくれ。)
僕は良い時間を過ごしているんだから。
(止めないでくれ。)
そうさ、僕は良い時間を過ごしている。
まったく、止まりたくないんだよ。
I'm a rocket ship on my way to Mars on a collision course
I am a satellite, I'm out of control
I'm a sex machine, ready to reload like an atom bomb
About to oh, oh, oh, oh, oh, explode
僕はロケット船で、火星に行く途中で、衝突コースさ。
僕は衛星で、制御を失ってる。
僕は欲望機械で、原爆みたいに装填準備する、
おお、おお、爆発しかかっているんだ。
(※1繰り返し)
I wanna make a supersonic woman of you
僕は君を超速人間にしたい。
(Don't stop me)×3
Hey, hey, hey
(Don't stop me)×2
(ooh, ooh, ooh)
I like it
(Don't stop me)×2
Have a good time, good time
(Don't stop me)×2 Woah
Let loose, honey, all right
止めないでくれ。
ヘイ,ヘイ,ヘイ。
止めないでくれ。
おお,おお,おお。
僕はそれが好きなんだ。
止めないでくれ。
良い時間、良い時間を過ごす。
止めないでくれ。
手放せ,ハニー,大丈夫。
(※1繰り返し)
(※2繰り返し)
Ah, da, da, da, da
Da, da, ah, ah
Ah, da, da, ah, ah, ah
Ah, da, da
Ah, da, da, ah, ah
Ooh, ooh-ooh, ooh-ooh